
【青ブラ文学部】傷口と痛み|エッセイ
タイトル:傷口と痛み
傷口が小さくなっても、痛みがすぐに消えるとは限らない。
転んでできた擦り傷も、見た目は治っているのに、ふとした拍子に痛みを思い出すことがある。
心も同じなのかもしれない。
つらい出来事が過ぎ去っても、その記憶だけは静かに残る。
だから「もう終わったことだから」と簡単に片づけられない日があっても、不思議ではない。
傷口は、体が治そうとしている証だ。
かさぶたができ、新しい皮膚が生まれ、少しずつ元の姿へ戻っていく。
心もきっと同じように、自分では気づかないところで少しずつ回復しているのだと思う。
無理に忘れようとしなくてもいい。
痛みがあることを認めながら、今日を過ごせばいい。
時間は魔法ではない。
けれど、時間には少しずつ角を丸くしてくれる力がある。
いつか傷跡を見ても、痛みより「ここまで歩いてきた」という気持ちが大きくなる日が来る。
その日まで、自分を急がせなくていい。
傷口は治るためにある。
痛みは、生きていることを教えてくれる。
そして、その両方を抱えながら歩いた先には、昨日より少しだけ強くなった自分が待っているのだと思う。
了

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