
【せりふ三題噺】これはきついって|氷.サンバルソース.豚|ショートショート
タイトル:氷の劇場と炎のソース
北の果てには、すべてが氷でできた「娯楽の王国」があった。
そこでは毎晩、氷の劇場で不思議な催しが開かれる。
主役は歌う白い豚、ブーブー王子。
観客を笑わせるたびに、天井から雪の結晶が舞い降りるのだ。
ある冬の日、王国へ旅人の少女ミアがやって来た。
屋台で渡された料理には、真っ赤なサンバルソースがたっぷりとかかっている。
「これはきついって!」
一口食べた瞬間、口の中は火山のように熱くなった。
すると、その熱に反応するように氷の劇場が音を立てて溶け始める。
「大変だ!」
逃げ惑う観客たち。
しかしブーブー王子は笑って言った。
「熱いものがあるから、冷たいものの美しさが分かるんだよ。」
王子が歌い始めると、空から白い雪が降り、溶けた氷は再び透き通る劇場へと戻っていく。
サンバルソースの炎も、やがて心地よい温もりへ変わっていた。
旅を終えたミアは、王国を振り返って小さく手を振る。
冷たさと温かさ。
笑いと驚き。
正反対のものが寄り添うからこそ、世界はこんなにも楽しい。
それが、氷の劇場で教わった一番の魔法だった。
了

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