晴耕雨寝「晴れた日は畑を耕し、雨の日は寝る。」
私には秘密基地があります。
4畳くらいあるベランダにテントを張って、週末、子供たちがいる間は避難と言いますか、時間が過ぎるのを待っています。
このテント内には最近、ユーカリとラベンダーのドライフラワーを大量に飾っていて、コーヒータイムはとても心地よい空間になっています。
今日は雨が強く、テントにバチバチあたる雨の音ですら、ゆらぎに感じます。
この暮らしをしていますと、SNSも辞めて、知りたいことだけ集める。
どこに何を聞けばいいかが、少しずつわかってくる。
なるほど。
自分が何者かわからなくなっていた原因は、情報の多さだと気づきました。
誰かの成功。
誰かの正解。
誰かの暮らし。
誰かの肩書き。
誰かの言葉。
毎日それを浴びているうちに、自分の輪郭が少しずつ薄くなっていたのだと思います。
やりたいことがないのではなく、
やりたいことが聞こえなくなっていただけなのかもしれません。
静かな場所にいると、自分の中から大きな夢が湧いてくるわけではありません。
急に人生が変わるわけでもありません。
ただ、少しだけわかることがあります。
今日はコーヒーが飲みたい。
今日は花の匂いが心地いい。
今日は雨の音がうるさくない。
今日は何もしなくてもいい。
それくらいの小さな声が、ようやく聞こえてくる。
昔の私は、休むことが苦手でした。
止まることは負けだと思っていました。
何者かにならなければいけない。
結果を出さなければいけない。
人より前に進まなければいけない。
そんなふうに思いながら、ずっと走ってきた気がします。
でも、雨の日にまで畑を耕そうとすると、人は壊れる。
濡れた土を無理やり掘り返しても、うまくいかない。
泥になるだけです。
晴れた日に耕せばいい。
雨の日は寝ればいい。
それは怠けではなく、自然のリズムなのだと思います。
人間も本当は、天気みたいなものなのかもしれません。
晴れる日もあれば、曇る日もある。
理由もなく重たい日があり、何かを始められる日がある。
毎日、前向きでいられる人なんていない。
毎日、強くいられる人なんていない。
だからせめて、雨の日の自分を責めないようにしたい。
テントにあたる雨音を聞きながら、コーヒーを飲む。
ユーカリとラベンダーの香りが、湿った空気に少し混ざる。
外では世界が動いている。
誰かが働き、誰かが発信し、誰かが焦り、誰かがまた何者かになろうとしている。
でも、今の私はここにいる。
4畳ほどのベランダのテントの中で、
雨音を聞きながら、ただ呼吸をしている。
それだけで、今日は十分なのかもしれません。
晴耕雨寝。
晴れたら耕す。
雨なら眠る。
人生も、それくらいでいいのかもしれない。
