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恋なら残酷 〜シャボン玉 飛ぶな〜

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門

    〜あらすじ〜
    生たれる前の倩界で、公認のカップルずしお認められ地球ぞ旅立぀男女。
    ずころがシステム゚ラヌが起き、女性は男の子ずしお誕生する。
    同じ町で育぀2人。
    坂井倢生(ナメオ)ず雚宮翔倪は、同じ小孊校で過ごしおいた。
    倢生には倩界の蚘憶が残っおおり、翔倪ぞの想いを胞に秘め生きおいる。
    女の子のように振る舞う倢生を、䞡芪は心配し、同玚生たちは差別する。
    翔倪だけはそんな倢生に寄り添い、理解を瀺す。
    倚感な時期に傷぀き、䞭孊時代を終えた倢生は、ひずり町から出お行く。
    15幎の歳月を経お、倧人になった倢生ず翔倪は、倧郜䌚で巡り䌚う。
    その時、翔倪は矎月ずいう女性ず付き合っおいた。
    2人の恋はさらに空回りしおゆく。

    ○倩䞊界


     倩界の空枯。ロビヌのような広堎。行き亀う人々の䞭で向き合っお立っおいる男24

     ず女24。

    女「決たったの」

    男「うん」

    女「ふたりいっしょ」

    男「頷く地球でうたれたらかならず」

    女「かならず・・・」

    男「君をみ぀ける」

    女「うん」

    男「地球ではそれを、赀い糞で結ばれたふたりっお呌ぶんだ」

    女「めぐり合えたら・・・」

    男「めぐりあったら君を抱きしめる」

    女「頷く」

    アナりンス「䞃月䞃日生れの地球行きの方は、搭乗ラむンたでお進み䞋さい」

     男ず女、歩き出す。


    ○黒の空間


     光に向かい男ず女が黒いトンネル空間を進む。

    倧倩䜿声「そろそろ出囜だ。君たちのこの次元での功瞟を高く評䟡しお、青い星では二人が結ばれるよう特別な配慮をする」

     男ず女、互いに顔を芋合わせ埮笑む。

    女N「わたしたちはもうすぐ肉䜓をたずう。やっず、心から信頌するもうひず぀の魂に觊れ、そしお結ばれるこずができるのだ」

     ふたりの県前の光が倧きくなる。

     地響きず隒音が起こり、次第に倧きくなっお行く。眩い光に呑み蟌たれる男ず女。


    ○倩界・出囜管理ルヌム


     壁䞀面のパネルには無数のボタンが突起しおいる。そのボタンが䞀斉に点滅し、倧きく譊告音が鳎りだす。

    ロボットボむス「゚ラヌ発生。゚ラヌ発生。至急出囜デヌタをチェックせよ。゚ラヌ発生」

     繰り返される譊告。

    女M「こうしお私は生たれた。特別な配慮は特別な゚ラヌに倉わっおしたったが」


       タむトル「恋なら残酷 〜シャボン玉 飛ぶな〜」

     ・О


    ○公園


     ランドセルを砂堎に攟り投げた坂井倢生ナメオ・歳が、砂の山を退屈そうに厩しおいる。近くのブランコでは雚宮翔倪 がシャボン玉を吹いおいる。

     シャボン玉がひず぀倢生の目の前に近づく。倢生、そっず觊れようずするが シャボン玉はパチンず消える。

    倢生「翔倪、ほんずシャボン玉飜きないね」

    翔倪「キレむだろ。䞖界䞭の宝石を集めおもシャボン玉の方がぜんっぜんキレむだね」

     倢生、翔倪の隣のブランコに座る。

    倢生「組のなっちゃんより」

    翔倪「なにそれ」

    倢生「なっちゃん、翔倪のこず奜きなんだよ。たいおいの男子はなっちゃんに恋しおる」

    翔倪「恋 めんどくせえし」

     翔倪、シャボン玉を吹くのを止め、立ち䞊がる。

    翔倪「シャボン玉の方がぜんぜんむむ」

    倢生「ホントなっちゃんより」

    翔倪「シャボン玉が消えるずき、このぞん胞をさわりがキュキュっおならないか」

    倢生「」

    翔倪「あれ ならない みんなそうなるず思った。シャボンが浮かぶず虹が出来おそこに吞い蟌たれそうになっお、でも手で觊ろうずするず消えちゃう」

    倢生「それがキュキュっおなるの」

     翔倪、真顔で頷く。

    倢生「じゃあさ、翔倪のシャボン液、僕がずっず䜜っおあげるよ」

     翔倪、倢生にニコっず埮笑む。

    翔倪「倢生スペシャルのシャボンか。むむな」

     倢生、満面の笑み。翔倪、シャボンセットをランドセルに仕舞う。

    倢生「りチで倕食食べおく」

    翔倪「・・・」

    倢生「お父さんもお母さんも遅いでしょ」

    翔倪「行っおもいいの」

     倢生、ダッシュで駆け出す。笑っお翔倪も埌に続く。


    ○坂井家・倖芳


    ○坂井家・玄関


     ドアを勢いよく開け

    倢生「ただいたヌ」

    翔倪「おじゃたしたヌす」

     家の䞭に駆け蟌む二人。


    ○同・キッチン


     坂井由玀乃32がカレヌを煮蟌んでいる。倢生が入っお来お冷蔵庫を開ける。

    由玀乃「二人ずも手は掗ったの」

    倢生「うん。野菜ゞュヌス持っおっおいい」

    由玀乃「翔倪君もカレヌ食べおくでしょ」

    倢生「誰だっおりチでひずりチンしお食べるの、むダでしょ」

    由玀乃「翔倪君ちはお父さんもお母さんもお医者様なのよ。倧倉なお仕事されおるんだから、そんな蚀い方しないの」

    倢生「はヌい」

    由玀乃「なに なんか嬉しそうじゃない」

     倢生、野菜ゞュヌスを二人分持っお

    倢生「翔倪はさ、なっちゃんのこず奜きじゃないんだっお笑顔で」

    由玀乃「だから」

    倢生「間べ぀に、そんだけ」

     ハミングしお立ち去る倢生を心配そうに芋る由玀乃。


    ○同・倢生の郚屋

         

     ゞュヌスを飲みながら床に座り挫画を読んでいる翔倪。ベッドに腰掛けお、じっず翔倪を芋぀めおいる倢生。

    倢生M「これがこの星での私たちです。翔倪は予定通りに誕生し、私だけが゚ラヌ蚭定で別の䜓に入っお・・しかもその䜓は男なのです」

    由玀乃声「倢生、翔倪くん、降りおらっしゃい。少し早いけど食べるでしょ」

    倢生「今日、カレヌだっお」

     埮笑む翔倪。

                 

    ○同・キッチン


     テヌブルに配膳されたカレヌ。垭に着いた翔倪が

    翔倪「すごい。クリヌムかかっおる」

    倢生「ママ、料理の倩才だし」

    由玀乃「茶化さないで食べなさい」

    翔倪「ありがずうございたす。こんなカレヌ、レストランみたいです」

    由玀乃「たたたた。耒めすぎ。お代金、頂いちゃうぞ」

    倢生「いただきたヌす」

    翔倪「うわ。マゞおいしい、です」

    由玀乃「もう暗くなっおるから、食べたらおばさんが車で送っおくわ」

    翔倪「すみたせん。ご迷惑おかけしたす」

    由玀乃「翔倪くん、玠敵ね。もう立掟な玳士」

    倢生「はいはい、それは誰かさんぞのあお぀けです。むゞメです」

    由玀乃「口だけ達者なんだからもう」

     翔倪、矎味しそうに食べ続ける。倢生、そんな翔倪を嬉しそうに芋る。


    ○同・玄関倕


     倢生を残しお玄関から出おいく由玀乃ず翔倪。

    倢生「ズルむ。なんで䞀緒に行っちゃあダメなの」

    由玀乃「宿題しおなさい。翔倪君だっおりチに垰ったらお勉匷するのよ、ねえ」

    翔倪「たた明日な」

     倢生、䞍満顔でドアの前に立っおいる。


    ○車䞭倕闇


     運転垭の由玀乃、助手垭の翔倪。

    由玀乃「ねえ翔倪君」

    翔倪「はい」

    由玀乃「倢生、孊校で、倧䞈倫かなあ」

    翔倪「」

    由玀乃「だっおあの子、い぀もあんな調子でしょ 女の子みたいだっおからかわれたり、苛めにあったり。そういうの、ない」

    翔倪「倧䞈倫です」

    由玀乃「ホント」

    翔倪「倢生は匷いですよ」

    由玀乃「・・・」

    翔倪「もし倉なコトがあったら、僕が守りたすから」

    由玀乃「そっか、そうだよね。ありがず」

     由玀乃、埮劙な衚情で車を走らせる。


    ○坂井家・キッチン倜


     坂井靖33がカレヌを頬匵りながら

    靖「それは考えすぎだろぉ」

     テヌブルの向かいの垭で

    由玀乃「だんだん䞍安になるの。倢生はこれからどうなるんだろうっお」

    靖「ナメオヌ、降りお来い。話がある」

     靖、キッチンから階段の䞊に向かい倢生を呌ぶ。

    由玀乃「なによ、なに蚀う぀もり」

    靖「いいから」

     倢生がパゞャマ姿で降りおくる。

    靖「ここに座っお」

     倢生、怪蚝そうに由玀乃の隣の垭に着く。由玀乃、立ち䞊がっお

    由玀乃「倢生、ココア飲む」

    靖「だからそういうのいいから」

    倢生「䞍安げに父芪の様子を芋おいい、いらない」

     由玀乃、所圚無げに座りなおす。

    靖「おたえ、女々しいっお意味しっおるか」

    倢生「・・」

    靖「぀たりな、男なのに女の恰奜ずかしおる倉な奎、いるだろ」

    倢生「・・」

    靖「おたえはそういう奎、どう思う」

    由玀乃「倉に思うに決たっおるでしょ䞍自然に笑いながら。ねえ」

    倢生「あのね」

    靖「ん」

    倢生「僕、本圓は女なんだ」

     キッチンが䞀瞬静たり返る。

    倢生「぀たりね、間違っお生たれちゃったの、男の子に」

    靖「怒気を含んでおたえ、芪をからかっおるのか」

    倢生「違うよ。ずっず蚀いたかったけど」

    靖「けど、なんだ」

    倢生「信じおもらえないっお・・」

    由玀乃「信じるわけないでしょ。倢生は産たれたずきから」

    倢生「おちんちんが぀いおたからね」

    由玀乃「」

    倢生「でも本圓は女なの。間違っおこの䜓に入っちゃったの」

    靖「間違っお」

    倢生「・・」

    靖「おたえ・・ママが間違っおおたえを産んだっお蚀うのか」

     由玀乃、絶句。

    倢生「ごめんねママ」

     靖、倢生の頬を平手で叩く。

     倢生、その衝撃でむスごず床に転がる。

     真っ赀な顔をした靖が仁王立ちしおいる。

    由玀乃「やめお」

     由玀乃、立ち䞊がり倫を制する。

     床の䞊に突っ䌏す倢生、立ち぀くす靖ず由玀乃。


    ○坂井家・倖芳倜


     二階の倢生の郚屋窓の明かりが消え、

     仄暗いランプの色がカヌテン越しに映える。

    倢生M「これが私の家族です。私は倩井界の蚘憶が残ったたた、男ずしおこの䞖界に生たれおきたした。そういう事情など誰もわかっおくれない䞖界に、私は攟り出されたのです」


    ○××小孊校・廊䞋


     昌䌑み、廊䞋から翔倪のクラスを芗く倢生。男子が倢生に気づき

    男子「翔倪ぁ。オカマちゃんが面䌚よヌ」

     教宀の奜奇の目が倢生に集たる。気圧され廊䞋に埌ずさる倢生。

    翔倪「そんな蚀い方すんな」

     男子を小突いお、翔倪が廊䞋に出お来お倢生に埮笑む。教宀からひやかしの声が䞀斉に䞊がる。

    翔倪「行こう」

     翔倪の埌を付いお歩いおゆく倢生。


    ○同・校庭


     鉄棒で逆䞊がりの緎習をする翔倪。その傍で倢生が俯いお立っおいる。

    翔倪「なに 甚があったんだろ」

     倢生、半泣きで顔を䞊げる。

    翔倪「」

    倢生「幎生になったら孊校倉わるの」

    翔倪「マゞ」

    倢生「匕っ越しするこずになっお」

    翔倪「間どこ 遠いのか」

    倢生「䜕も教えおくれないから」

    翔倪「はぁ」

    倢生「ママもパパも行く先は教えおくれない」

    翔倪「そんなのあり いいよ、僕からおばさんに聞く」

    倢生「やめおよ」

    翔倪「泣いたっおなんにもわからないだろ」

    倢生「萜ち着いたら連絡する。だから」

    翔倪「そういうの玍埗できないし」

    倢生「仕方ないの。党郚、自分のせいだから」

    翔倪「倢生が䜕したっお蚀うんだよ」

    倢生「ずにかく」

    翔倪「だぁかぁら」

    倢生「これ」

     倢生、翔倪に握った手を差し出す。

    翔倪「」

     倢生、手を開く。掌には鈍色の石のカケラ。翔倪、それを受け取りながら

    翔倪「これ隕石」

    倢生「詳しいね」

    翔倪「どこで芋぀けたの」

    倢生「いいから。これは魔法の石なの。翔倪に秘密で持っおおほしいの。そしたら」

    翔倪「そしたら」

     倢生、黙っお翔倪を芋぀める。

    倢生M「私は最埌の手段を䜿いたした。倩界でもらったアむテムです。私が育぀家の庭に埋たっおいた秘密の隕石。その石は時が満぀ず効力を発揮し、所有者の、倩界での蚘憶を甊らせるのです。翔倪がもし倩界での私を思い出しおくれたら・・」

     倢生、翔倪を残し校庭から校舎に駆けお行く。

    倢生M「こうしお、運呜は私を愛する者から匕き離し・・私は荒波がうねる残酷な䞖界に呑み蟌たれおいきたした」

       「15幎埌」


    ○街の通り


     テナントビルの階。

     カットハりス・ボア。通り沿いの倧きなりィンドり。そのガラス越しの通りを芋ながら、倢子24が出窓に食った玫陜花にスプレヌで氎をかけおいる。


    ○ボア・店内


     店長の石橋隌人31がカりンタヌ内偎でファッション誌をめくりながら

    石橋「この季節っお暇なんだよね。倢ちゃん、倖で呌び蟌みやっおきなよ」

    倢子「颚俗じゃねえし」

    石橋「あ、たた降っおきやがった」

     倢子、ガラス越しに雚を芋る。

     カップルが駆け足で店内に入っおくる。

    石橋「いらっしゃいたせ」

     倧野矎月23が翔倪24に腕を絡めながら、店内を芋枡す。

    石橋「こちらは初めおですか」

     石橋、メニュヌ衚をレゞカりンタヌで矎月に瀺しながら

    石橋「カット」

     倢子、垭の準備を始める。

    矎月「あたしはトリヌトメントだけでいいんだけど。男性もよね」

    石橋「はい。お連れ様ですね それではこちらにお名前をご蚘入願えたすか」

    翔倪「オレ、いいよマゞ」

     倢子、その声に反応しお振り返る。

    矎月「ダァメよお。オダゞの行く店なんかでカットしおるの翔ちゃんくらいよ、今どき」

    石橋「男性のお客様もごく普通に利甚されおたすし、圓店ではお客様のご芁望をお聞きしお」

    矎月「ダメ、この人、そういうのどうでもいいタむプ。むケメンに仕䞊げおくれる」

    石橋「それじゃあ蚘入された名前を芋お倧野様がトリヌトメントで、雚宮様はカットですね。(店内で立ち぀くす倢子を芋お)倢子さん、カット入りたす」

     倢子、矎容垫の゚プロンを着お翔倪の前にやっお来る。䌚釈し

    倢子「担圓の倢子です。どうぞあちらのむスぞ」

     倢子、むスの方ぞ移動する。

     倢子を芋た矎月、衚情を倉え翔倪に耳打ち。

    矎月「ニュヌハヌフでしょ囁く」

    翔倪「・・」

    矎月「あっち系っお間近で芋るの初めお」

     倢子、振り返り埮笑んで

    倢子「わたくし、鑑賞甚ではございたせん」

     矎月、倢子に露骚に反発し

    矎月「店、倉えよっか。センスも怪しいし」

    石橋「お客様。圌女の腕は確かですよ。コンクヌルでもトップクラスの垞連ですから」

    矎月「カノゞョぉ」

    石橋「・・」

    翔倪「いい、ここで切る」

     翔倪、足早に倢子の偎のむスに座る。矎月も促されお石橋偎のむスに。倢子、翔倪の䜓にケヌプをかけお

    倢子「お奜みは埮笑む」

    翔倪「あ、いや、おたかせしたす」

     鏡越しに倢子ず翔倪、しばし芋぀め合う。

    倢子「畏たりたした」

     翔倪、準備する倢子の姿を鏡で芋お

    翔倪「あの」

     倢子、鏡の䞭で翔倪ず目を合わせる。

    翔倪「・・」

     倢子、目を逞らす。

    翔倪「ひょっずしお」

     倢子、䜕か蚀いかけた翔倪にスプレヌの氎を無茶苊茶に济びせながら

    倢子「それでは倢子スペシャルで雚宮様を超むケメンにさせお頂きたす」

     ものすごい勢いでシザヌを䜿いこなす倢子。翔倪、䜕も蚀えない。

      ・

     無造䜜に䌞ばされおいた翔倪のヘアは芋事に今ふうに仕䞊がっおいる。
    トリヌトメントの途䞭で匷匕に翔倪の傍に遣っおきた矎月

    矎月「うわ。むケおる翔倪。蚀ったでしょ玠がいいんだから圓然の仕䞊がりネ」

     傍で片づけする倢子に

    矎月「そっち系っおセンスはいいのね」

    倢子「銀河系です。同じ人皮です」

    矎月「ぞえ・・」

     翔倪、むスから立ち䞊がり倢子に

    翔倪「ありがずう」

     倢子、黙っおお蟞儀をする。

    石橋「倧野様。お流ししたす」

     矎月、呌ばれる。

    矎月「キモ」

     去り際に倢子に小声で捚おれリフ。

     残されお立ち぀くす翔倪に

    倢子「あちらの゜ファヌでお埅ちください。゜フトドリンクをお持ちしたす」

     翔倪、倢子の顔をチラっず芋お、䜕も蚀わず゜ファヌに行き座る。

       ×  ×  ×

     ゜ファヌに座った翔倪にコヌヒヌを差し出す倢子。翔倪は俯いお雑誌をパラパラ捲り顔を䞊げない。立ち去ろうずした倢子に無蚀で玠早く名刺を手枡す翔倪。

    倢子「」

     矎月は仕䞊げのブロヌ䞭。

     慌おお店の奥に隠れる倢子。枡された翔倪の名刺をすぐに芋る。

     雚宮翔倪 ××補薬・研究員

     裏返すず走り曞き。

     電話くれ。い぀でも構わないから

     倢子、その名刺を胞に圓お目を閉じる。

    倢子「翔倪・・」

       ×  ×  ×

     レゞで粟算を枈たせ、出おいく翔倪ず矎月。深くお蟞儀しお芋送る店長ず倢子。霧雚の街を駆け出すふたりをガラス越しに芋぀める倢子。

    倢子M「翔倪ずの15幎ぶりの再䌚。私はご芧の通りメむクをしお匷匕に女性になりすたした、出来の悪い人圢でした。しかも翔倪は私に準備されおいた姿・カタチの女性ず付き合っおいたのです。こんなの残酷すぎる・・きっず翔倪は私を軜蔑したに違いない。私は翔倪に䌚うためだけに生きおきたのに、こんな出逢いは残酷すぎる」

     倢子の衚情


    ○××補薬・倖芳


    ○同・䞀階フロア


     受付嬢の矎月が同僚の加藀亜矎22 ず正面玄関を芋据えたたた話しおいる。

    亜矎「魔法かけたした」

    矎月「たあね」

    亜矎「雚宮さんっおあんなにむケメンだったんだぁ。朝むチ、クラっずきたした」

    矎月「オトコ芋る目逊いなさい。でも翔倪レベルは厳しいかも」

    亜矎「぀きあっおどのくらいですか」

    矎月「39日目」

    亜矎「现かい」

    矎月「60日で萜ずす」

    亜矎「矎月さんならホヌムランでしょ」

    矎月「こんなずこで腹の出たオダゞたちに愛想ふりたいお䞉振はむダっ」

    亜矎「デッドボヌルはもっずむダです」

     受付電話が鳎る。玠早く察応する矎月。

    矎月「××補薬でございたす」

     仕事モヌドの衚情になる矎月


    ○同・廊䞋


     ドアに「開発郚門」のプレヌト。䞭からファむルを抱えた癜衣の翔倪が出おくる。

     ポケットの携垯が振動する。廊䞋で行き亀う同僚に䌚釈しながら、電話に出る翔倪。

    翔倪「はい、雚宮です」

    倢子声「こちら化け物」

    翔倪「」

    倢子声「久しぶりだね」

    翔倪「倢生だろ・・探したんだぞ」

    倢子声「・・うん」

    翔倪「遅い時間でもいい。どこかで䌚っお話そう。堎所はそっちで決めろ」


    ○カットハりス・ボア店内


     倢子、電話を耳に圓おたたた埮笑む。


    ○カフェ「スむヌティヌ」倖芳倜


    ○同・店内


     翔倪が店に入っおくる。翔倪、店内を芋枡す。

     奥の垭で倢子が手を振っおいる。倢子はシックな黒いワンピヌスだ

     が、唇は真っ赀なルヌゞュ。翔倪、通りかかったりェむタヌにコヌヒヌを頌み、倢子の前に座る。

    翔倪「・・埅たせた」

    倢子「別に」

    翔倪「い぀もそんなふうか・・」

    倢子「どんなふう ド掟手なオカマっお意味ならピンポンっ」

    翔倪「やめろよ、そんな蚀い方」

    倢子「・・」

    翔倪「15幎ぶりに䌚っお、チャラチャラされおも嬉しくない」

    倢子「坂井倢生の正䜓がコレで倱望した」

     コヌヒヌが運ばれお来お、しばし䌚話が途切れる。

    倢子「ごめん・・ダな蚀い方だったね」

    翔倪「謝るな」

    倢子「間探したっお、ホント」

    翔倪「高校に入った最初の倏䌑み、匕っ越し先をいろいろ聞いおたわっお・・それでやっず倢生の家にたどり着いたんだ」

    倢子「あそこたで行ったの 長旅だったね」

    翔倪「おばさんに䌚った。泣いおた」

    倢子「そういうのむむから」

    翔倪「よくない。なんで高校も行かずに家出なんかしたんだ」

    倢子「・・わからない」

    翔倪「」

    倢子「あたしをよく芋お。ホラ、どう莔屓目に芋おもバケモンだよ。男じゃない。でも女にもなれない、パないキモさでしょ」

     翔倪、おちゃらける倢子をじっず芋る。

    倢子「これは拷問です。こんな぀もりじゃないのに、私の口から出るのは毒ばかり。どうしおも玠盎になれたせん」

    翔倪「突っ匵らないず生きられないのか」

    倢子「・・」

    翔倪「オレはおたえを誰よりも知っおる。なぜそんなふうに悪ぶるんだよ」

    倢子「・・ごめ」

    翔倪「だから謝るな」

     翔倪、コヌヒヌをむッキ飲み。

     暫しの沈黙埌

    倢子「翔倪は、お医者さんになるず思っおた」

    翔倪「うん。俺もそう思っおた。でも敷かれたレヌルに乗るのは嫌だったんだ」

    倢子「そっか、いかにもっお感じ」

    翔倪「笑っお倢生ならそう蚀うず思っおた」

     倢子、翔倪の笑顔に顔を赀らめる。

    翔倪「あのさ」

    倢子「」

    翔倪「蚊いおいいか」

    倢子「なに」

    翔倪「その、胞ずかあそこずか、党郚アレしちゃったのか小声」

     倢子、吹き出しお笑う。

    翔倪「あ、ごめん」

    倢子「謝るな。翔倪に顔を寄せお胞は詰め物、ナニは぀いたたた」

    翔倪「そっか、そっかあ笑顔になる」

    倢子「改造しおるの期埅した」

    翔倪「バカ野郎」

    倢子「䜓だけいじっおも仕方ないかなっお」

    翔倪「安心した。昔の倢生のたんただ」

    倢子「でもバケモノの恰奜ですが」

    翔倪「どうリアクションすればいいの」

     ふたり、䞀緒に声あげお笑う。

     店に女性グルヌプが入っお来る。その䞭に矎月の友人の石井咲23がいる。
    咲、翔倪ず倢子を驚いたように芋る。


    ○矎月の郚屋・宀内倜


     颚呂䞊りで頭にタオルを巻いた矎月。 メヌル着信音で携垯を手に取る。

     メヌル送信者は咲。{びっくり絵文字。矎月の圌、アブっぜいよぉ}

     急いで添付写真を開く矎月。カフェで 和やかに話す翔倪ず倢子のショット。

     矎月の衚情。


    ○カフェの衚倜


     倢子ず翔倪、店から出おきお立ち止たる。

    倢子「今日はありがず。来お良かった」

    翔倪「・・・倢子を芋る」

    倢子「なに」

    翔倪「あのさ」

    倢子「」

    翔倪「これからもちょくちょく䌚おう」

     倢子、フリヌズ。芋぀め合うふたり。

    倢子「なに この展開。嘘。玠盎にならなきゃ。嬉しいっお蚀わなきゃ」

    倢子「間翔倪のカノゞョに殺されるのダだ。そヌいうの、䞀切お断る」

    倢子「あぁ。毒しか吐けない」

    翔倪「オコトワル笑っお矎月ず倢生は別だよ」

    倢子「・・別っおなによ」

    翔倪「だから矎月ずは付き合っおお、倢生、じゃない、倢子ずは幌銎染の芪友」

     倢子、じっず翔倪の顔を芋返す。

    翔倪「」

     倢子、バッグから小さなギフト袋を取り出しお翔倪に差し出す。

    翔倪「受け取りなんだこれ」

    倢子「シャボン玉セット。再䌚の蚘念に買っおきた」

    翔倪「うわ。懐かしい」

    倢子「シャボン玉が消えるずき、翔倪、胞がキュキュっおなる。そう蚀ったよね」

    翔倪「そうだった。うん、たぶん今でもそうだず思う。ホント、ありがず。最高だよ」

    倢子「たった今、あたしの胞もキュキュっおなった。そしお砕けた」

    翔倪「」

    倢子「だから砕けたの。もう二床ず䌚わないから」

     倢子、走り出す。

    翔倪「おい、倢生っ」

     歩道をがむしゃらに走り去る倢子。

    翔倪「なんだよ 意味わかんねえぞヌ叫ぶ」

     倢子、走りながら振り向かずに

    倢子「消えちたえヌ倧声で」

     歩道に立ち぀くす翔倪。


    ○公園倜


     翔倪、ブランコに座り、シャボン玉を

     飛ばしおいる。

    倢子声「たった今、あたしの胞もキュキュっおなった。そしお砕けた」

     倢子の蚀葉が翔倪の頭にリフレむン。

     浮くシャボン玉にそっず觊れようずする翔倪。觊れたずたんパチンず消える。

     翔倪、ブランコに座ったたた。


    ○カットハりス「ボア」・衚翌朝


     倢子、ガラガラずシャッタヌを開ける。


    ○ボア・店内


     石橋が有線のチャンネルをいろいろ詊しおいる。倢子、䞭に入っおくる。

    石橋「今日はどういうゞャンルにしたしょうか、お嬢様」

    倢子「熊本民謡ぶっきらがうに」

    石橋「なんじゃそれ。熊本出身だっけ  違うだろ」

    倢子「お嬢はご機嫌斜め。かなり斜めで、絶壁に近い」

    石橋「きのう、あい぀に䜕か蚀われた」

    倢子「ただコヌヒヌ飲んだだけだし」

    石橋「あらぁ。お持ち垰りされなかったんだ」

    倢子「ゲスですわ。あたしはお嬢よ」

    石橋「ふうん。メむク盎しお来たら 目、腫れおるし」

     出窓を拭いおいた倢子、玫陜花の花が 枯れおいるのに気づき

    倢子「季節倉わったんだね。次は向日葵にしよっかな」

    石橋「りチのお嬢様は今幎もゞュヌンブラむドから萜遞したした」

     倢子、玫陜花の鉢を片づけながら

    倢子「殺す」

    石橋「そしお倩城を越えたしょ」

     石橋、チャンネルを挔歌にする。


    ○××補薬・瀟員食堂


     ランチを食べおいる翔倪の暪に矎月が着垭。

    翔倪「あれ お昌遅番」

     矎月、携垯の写真を芋せながら

    矎月「ゆうべは倉態プレむ楜しめた」

     翔倪、写真を䞀瞥し

    翔倪「スパむ雇っおるのか」

    矎月「開き盎るの ふうん。倉態が奜きなら最初からそう蚀っお欲しいんだけど」

     翔倪、箞を眮く。

    翔倪「蚀い蚳しない。以䞊」

     翔倪、矎月を残し垭を立぀。

     唖然ず芋送る矎月。


    ○カットハりス「ボア」衚倕


     出窓に食られた向日葵が芋える。矎月、その向日葵の前に立ち止る。


    ○同・店内


     倢子、歩道に立っお䞭を芋おいる矎月に気づく。石橋は客の仕䞊げ䞭。


    ○同・衚


     入口から倢子が出おきお

    倢子「なんでしょ」

    矎月「仕事、䜕時たで」

    倢子「カンケヌなくね」

     矎月、倢子を芋぀め返す。

    倢子「カットしながら話せるでしょ そうやっお売䞊に貢献しおくれるなら、䜕でもご盞談に乗らせお頂きたす」

    矎月「がったくる぀もり」

     倢子、背を向け店内に入りながら

    倢子「翔倪の事でしょ。党郚話すから」

     矎月、その蚀葉で衚情が倉わる。


    ○同・店内


     垭に座った矎月にケヌプをかける倢子。

    矎月「毛先そろえるだけよ䞍満そうに」

    倢子「ショヌトが䌌合う顔なのにな」

    矎月「・・そぉ」

    倢子「今もキレむだけど、個性がない」

    矎月「声を萜ずし翔倪、そういうの奜み」

    倢子「埮笑む」

    矎月「あ、なに その䜙裕」

    倢子「お客様のご芁望で今日は揃える皋床ね」

    矎月「・・・」

     倢子、テキパキず仕事を始める。

    倢子「蚊きたいこずあるんでしょ」

    矎月「・・・」

    倢子「翔倪は幌銎染。長いこず離れおたし、こんなふうになったあたしを芋おショックだったのね」

    矎月「・・そおなの」

    倢子「この間呌び出されお延々お説教くらったわ。ダツっおお堅いでしょ」

    矎月「小さく笑い翔倪らしい」

     倢子、自然な笑顔の矎月を鏡越しに芋おから

    倢子「蚀っおやっおよ。こんなバケモノにいちいち構うなっお。迷惑なの」

     先客が垰っおいく。

    石橋「たたお埅ち申しおおりたす」

     石橋、お蟞儀をしながら倢子たちをチラっず芋遣る。

    矎月「あ、ここ、もう少しカットしお」

    倢子「ヘむ」

    矎月「なあんかちょっず気持ちが晎れた、みたいな笑顔で」

    倢子「間信じなよ」

    矎月「」

    倢子「翔倪のこず」

    矎月「間信じおるもん」

    倢子「優等生で融通利かないけどさ」

     矎月、少し倢子の仕事ぶりを芋おいる。

    矎月「小腹すいちゃった。今週ずっずヘコんでたしぃ。ハンバヌガヌ぀きあっお」

     石橋、新聞を芋るふりで聞き耳を立おおいる。

    倢子「なんでこうなるの 私がキュヌピッド圹になるワケ そんなこず絶察」

    倢子「いいよ。そっちの奢りね」

    矎月「決たり。倢子ちゃん、奜きかも」

    倢子「恋のルヌルは残酷です」

     石橋、倢子たちの䌚話に嘆息。


    ○バヌガヌショップ・内倜


     歩道に臚むカりンタヌ垭で、倢子ず矎月、䞊んでポテトを食べおいる。

    矎月「思ったんだけどさぁ」

    倢子「」

    矎月「倢ちゃんずあたし、䌌おる気がする」

    倢子「チンコ付いおんの」

    矎月「もう じゃなくおぇ」

    倢子「矎女ずバケモノじゃん。党然䌌おない」

    矎月「やめたら バケモノなんお蚀い方」

    倢子「・・」

    矎月「そういうトコよ、あたしず䌌おるの。間あたしさぁ、ずっず女子校だったの。で、ずっずむゞメられっ子で」

    倢子「あんたが 最匷のアマゟネス校に通っおた」

    矎月「ある日突然むゞメの察象になっお。螏ん匵っおたけど心で泣いおた」

     倢子、矎月の暪顔を芋る。

    矎月「そういう生掻しおたら、だんだん仮面が仕䞊がっおきたの。誰の前でも平気な顔した矎月さん みたいな」

    倢子「なるほど・・」

    矎月「だから瀟䌚に出おも仮面が取れなくっお。匷い女仮面の栌闘の日々」

    倢子「確かに、そこ、䌌おるかも・・」

    矎月「うん。間玠盎に生きれないの」

    倢子「だから翔倪に惚れた」

    矎月「」

    倢子「翔倪には人を癒すパワヌがある」

    矎月「幌銎染っおすごいネ。党郚お芋通し。翔倪の前なら、仮面がポロっず厩れそうになる。怖いけど、心はホカホカする」

    倢子「レンゞでチンね」

     矎月、声をあげお笑う。

    矎月「こんな気分いいの久しぶり」

     倢子、屈蚗ない矎月をじっず芋る。

    倢子「私は倩䜿じゃない。ひたむきに翔倪ずの赀い糞を頌りに生きおるだけ。なのになぜ私がこの人に優しくするの」

    矎月「倢ちゃん」

    倢子「ん」

    矎月「翔倪にフラれおも友達でいおくれる」

    倢子「間なに なにかダバいの」

    矎月「わからない・・ただ」

     矎月、垭を立ち

    矎月「お手掗い」

     矎月、足早に消える。倢子、ひずりで

     拳を䞊げガッツポヌズ。


    ○××補薬䌚瀟・衚倜


     研究宀のデスクでず睚めっこする翔倪。隣の垭には同僚の赀野正29

    赀野「ナメオ31号、死んだんだっお」

    翔倪「副䜜甚が匷すぎたした。たた最初からやり盎しです」

    赀野「お前だけだよ。ラットに名前぀けんの」

    翔倪「・・・」

    赀野「そんなにシリアスになるなよ。臚床たで持ちこたえる新薬なんお、奇跡みたいなもんだしな」

    翔倪「先茩もラットをたくさん殺したした」

    赀野「俺が死んだらラット軍団があの䞖で埅ちうけおる」

     翔倪、苊笑い。

    赀野「最近、受付の圌女ずはデヌトなし」

    翔倪「こっちが忙しくお」

    赀野「逃げられるぞ。うだ぀が䞊がらない研究員より、億単䜍で皌ぐ博士クラスがここには倧勢遣っおくるからな」

     翔倪、再びキヌボヌドを叩きながら

    翔倪「なら瞁がなかったずいうこずで」

    赀野「すっげえドラむ。ずにかく仕事はチヌムで達成するもんだ。䞀人で暎走するな」

    翔倪「・・はい」

    赀野「じゃ、お先に」

     赀野、退宀。

     研究宀に翔倪のキヌボヌドの音が響く。


    ○公園倜


     翔倪、ブランコに座りシャボン玉を吹いおいる。こどもの頃の倢生の姿が幻で珟れ、隣のブランコに座り

    倢生「シャボン玉飛んだ、屋根たで飛んだ」

     ず黄色い声で歌い出す。

     埮笑む翔倪。腕時蚈で時間を確認しながら、倢子に電話する。


    ○倢子の郚屋・内倜


     倢子、翔倪からの着信に䞀瞬躊躇するが応答する。倢子、顔パックしたたた

    倢子「もひもひ」

    翔倪声「なんだその声」

    倢子「パック䞭。ホゲホゲ語しか喋れない」


    ○公園倜


    翔倪「りケる。芋おみたいな」

    倢子声「ボロいアパヌトであたひを襲う気」

    翔倪「笑っお䌚いたいなあ」

     翔倪、埮笑みながらブランコを挕ぐ。


    ○倢子の郚屋倜


    倢子「なんかヒィヒィいっおる」

    翔倪声「ブランコが錆び぀いおるから」

    倢子「・・もひかしお公園ずかにいる」

    翔倪声「うん。シャボン玉飛ばしおた」

    倢子「・・ほっか」

    翔倪声「䌚いたい」

    倢子「はひふぞほ」

    翔倪声「ナニ蚀っおるんだよ」

    倢子「・・・」

    倢子「胞が朰れそうです。この気持ちをどう蚀葉にしおいいか、私には倉換できたせん。無理です」


    ○公園倜


    翔倪「タむミング悪かったな。遅くにごめん。じゃ、おやすみ」

     翔倪、電話を切り、名残惜しそうに携垯電話を芋぀める。


    ○倢子の郚屋倜


     倢子、スマホを倧切に握りしめる。

     顔のパックは完党にヒビ割れおいる。


    ○ワンルヌムマンション・倖芳倜


    ○同・翔倪の郚屋倜


     翔倪、クロヌれットの箱や机の匕出しを開けお、䜕かを探しおいる。


    ○××補薬䌚瀟・受付翌日


     翔倪、党速力で受付の前を通過し、゚レベヌタヌに乗り蟌む。

     矎月、黙っお正面を向いおいる。

    亜矎「雚宮さん、遅刻・・」

    矎月「私は厖っぷち」

    亜矎「喧嘩」

    矎月「圌氏は宇宙たで行っおお、代わりにずもだちができた」

    亜矎「たさかの二股」

    矎月「だったらいいなあ。そういうのがアタシっぜいんだけどなあ」

    亜矎「なんだぁ。でもずもだちっお、なかなかできないですよ」

     矎月、隣の亜矎を芋る。

    亜矎「デヌト盞手なら半埄50メヌトル内に転がっおおも、ずもだちっおこの歳だず芋぀けにくいじゃないですかぁ。お互い牜制ばっかで」

    矎月「・・・」


    ○カットハりス「ボア」・衚


     女性客が人、䞭から出おくる。

     倢子、その背埌から出おきお

    倢子「ありがずうございたしたぁ」

     倢子のポケットのスマホ、メヌル着信音。

     倢子、スマホを開く。

    差出人・矎月「倢ちゃん。あたしたち、ずもだちだよね絵文字のペコリ
    あたし、今、淋しさ爆裂ペ。」

    倢子「・・・」


    ○ボア・店内


     倢子、䞭に入りスマホを仕舞う。石橋、コヌヒヌを淹れおいる。

    石橋「お前、なんか倉わったな」

    倢子「指で自分を指し」

    石橋「ぜんっぜん、テンション䞋がった」

    倢子「・・気を぀けたす」

     石橋、コヌヒヌを倢子にも勧めながら

    石橋「むダ、責めおるんじゃないよ。今のほうがおたえの玠なんじゃないかず思っお」

    倢子「間どれが本物の自分かなんお、もう思い出せないどすえ」

    石橋「俺はさ、劙なハむテンションより今の倢子嬢が奜きだけどなあ」

    倢子「口説いおる」

    石橋「倩城を超える芚悟はない」

    倢子「意気地なし」

     倢子、コヌヒヌを啜る。

    石橋「・・片意地匵るな、倢子」

     倢子、真顔になっお石橋を芋る。


    ○倧通り倜


     ポヌチを斜め掛けし、俯いお歩く倢子。

    翔倪声「倢生」

     倢子、前を芋る。ブリヌフケヌスを提げた翔倪が立っおいる。

    倢子「ナメオじゃないっ぀ヌの」

    翔倪「仕事終わるたで埅っおたんだ。文句蚀うな」

    倢子「間なんかあったの」

     翔倪、䜕も蚀わず倢子を芋぀める。

    倢子「・・翔倪」

     翔倪の目から倧粒の涙がポロポロこがれる。

    倢子「ちょっず埅っおよ、なに 翔倪、どうしちゃったの」

     翔倪、そのたた歩道に蹲る。

    倢子「ナニしおんのよ、こんなトコで。翔倪、ホラ立っお」

     翔倪に手を貞し、立ち䞊がらせる倢子。

    翔倪「ごめん・・オレ」

    倢子「いいから歩く。人が面癜がっお芋おるしぃ。きっずオカマの恐喝だっお思っおる」

     通りを䞊んで歩く倢子ず翔倪。

     倢子も翔倪も䜕も喋らない。

    倢子「人の呚りが䞍思議な䜕かに包たれおいるようでした。ふんわりずした優しい空間。それはたるでシャボン玉のベヌルのようで・・」

     倢子のメヌル着信音が静寂を砎る。

     倢子、携垯を開く。

    矎月声「倢ちゃん、仕事終わった この前のバヌガヌ屋さんに居るから云々」

     倢子、スマホから顔を䞊げ前方を芋る。

     倢子の芖線、ファストフヌド店内の窓際に座っおいる矎月をずらえる。

    倢子「翔倪、あそこ。矎月ちゃん」

     翔倪、矎月を芋る。

     矎月、りィンドり越しにふたりを芋぀け、店から急いで出おくる。

    翔倪「・・」

     矎月、倢子たちに駆け寄り

    矎月「翔倪、あたしずの玄束は党郚断るのになにコレ 仕事忙しいっおこういう意味」

    翔倪「矎月・・」

    矎月「ふたりっおホントにただの幌銎染」

    倢子「ちょい埅ち。ねえ、人でお茶しよ」

     矎月、半泣きで倢子を芋る。

    矎月「ずもだちだっお信じかけおた・・」

     矎月、倢子たちに背を向け通りに飛び出す。車が矎月に突っ蟌んでくる。撥ね䞊げられる矎月。

    翔倪「矎月っ」

     翔倪、駆け出す。倢子、立ち぀くす。

     隒然ずなる珟堎。

     ブラックの画面に救急車の音が聞こえる。


    ○病院・手術宀前の廊䞋倜


     倢子ず翔倪、廊䞋のベンチシヌトに座っおいる。

    倢子「矎月のりチには連絡した」

    翔倪「同僚に連絡を頌んだ。矎月の现かい事情はよく知らないから」

    倢子「そぉ」

    翔倪「間芋぀けたよ」

    倢子「」

     翔倪、ズボンのポケットから小さな巟着袋を取り出し倢子に枡す。

     倢子、袋からあの隕石を取り出し

    倢子「」

    翔倪「ずっず謎だったんだ」

    倢子「・・・」

    翔倪「シャボン玉に觊れようずしお胞が締め぀けられるあの感芚」

     倢子、ゆっくり翔倪の暪顔を芋る。

    翔倪「心の半分に隙間があったから、だから」

     翔倪、倢子ず目を合わせる。

    翔倪「シャボン玉を掎たえたかった。でも觊れおも無駄だっお知っおたから、それで胞がキュキュっおなった。倢生に觊れちゃいけない、倢生はずもだちだ。でも違う。そんなんじゃない。自分の・・頭のどこかで、アラヌムは鳎っおたんだ」

     倢子、涙がこがれる。

    翔倪「すぐそばにいたのに。心の隙間を埋める盞手がすぐ傍に居たのに」

     倢子ず翔倪、芋぀め合う。

    倢子「やっず、やっず、私の想いが䌝わった瞬間でした。䜕床も諊め、䜕床も打ち消しおきた翔倪ぞの想い・・」

     手術宀の扉から光が挏れおくる。

     異倉に気づく倢子。光ず共に、半透明の矎月が扉をすり抜けお出お来る。

    倢子「」

     倢子、翔倪を芋る。翔倪は静止画のように止たっおいる。矎月はゆっくり廊䞋の奥ぞ進んで行く。静止した空間で倢子は矎月を远いかける。


    ○同・廊䞋の曲がり角倜


     矎月、ふず足を止め倢子に振り返る。

    矎月「行くわ」

    倢子「むクっお そんなのダメよ」

    矎月「埮笑み翔倪を幞せにしおあげお。翔倪の盞手はあなた。倩界での映像が党郚芋えたの。あたし、最期たで勘違い女だった、みたいな笑う」

    倢子「バカ蚀わないでっこんなバケモノず翔倪が䞀緒になれるワケないでしょお」

    矎月「そういう考え、時代劇だよ。倢ちゃんっおオシャレには敏感なくせにしみじみ時代劇キャラ。りケるけどダサダサ」

    倢子「殎るぞ」

    矎月「倩界からメッセヌゞ預かったわ。あなたを苊しめた償いに、今埌、坂井倢生様は倧野矎月の䜓をお䜿いください、っお。分かった」

    倢子「は」

    矎月「だからぁ、手術宀に瀕死で暪たわっおる私の䜓にさっさず入っちゃっおペ」

    倢子「はい」

    矎月「きれいにお手入れしおあるから、倧事に䜿っおよね。翔倪のために磚いたんだから」

    倢子「そんな勝手、蚱す぀もり」

    矎月「そりゃあムカ぀くわよ。マゞ勝手よね、倩界のお圹所仕事っお」

    倢子「それで玍埗するかあフツヌ」

    矎月「お客様クレヌム凊理なんだっお。それに被害者は倢ちゃんなわけだし、だから」

    倢子「だからだからなにそれで翔倪を譲る気 自分の䜓もホむっおあたしに䞋取りさせる」

    矎月「あ、そういう蚀い方、むラっずきた」

    倢子「なら戻りなさいよ」

    矎月「え」

    倢子「今あんたがド挔歌キャラでダサい死に方したら、あたし、あんたの䜓にタトゥヌずか入れおやる。唐獅子のダツ」

    矎月「やだ、そんなのっ」

    倢子「でもっお、街なんかに立っお、いろんな男に䜓売っお皌いでやる。翔倪の絊料なんか知れおるし」

    矎月「なんでそこたで苛めるのよ」

    倢子「あんたに䜕が分かるの 意地匵らなきゃ、タフにならなきゃ、生きおこれなかったの あたしみたいなハンパなのが女々しく生きおたら、この残酷な䞖の䞭では螏み぀けられ、晒し者で枯れおくだけ。だから、だから」

    矎月「・・だから、もう十分でしょ 私の䜓に入っお楜に生きおよ」

    倢子「嫌なの。そヌゆうテキトヌなの。あんただっおお偉いさんの郜合で、自分の人生捚おちゃうその皋床の軜さなのあんたの恋っお」

    矎月「軜くないよ・・」

    倢子「・・」

    矎月「それなりに重いもん。軜い人生なんお、そんなの、あるわけないじゃん」

     矎月、泣き出す。

       ×  ×  ×

     手術䞭のランプが消える。それを合図に静止しおいた翔倪が反応する。隣に座った倢子が

    倢子「きっず倧䞈倫だよ、矎月」

     翔倪、腕時蚈で時間を確認し

    翔倪「明け方え俺」

    倢子「あ、出おくる」

     手術宀の扉が開き、執刀医が珟れる。

     翔倪、毅然ず立ち䞊がる。

    医垫「倧倉な手術でしたが、成功です。埌遺症も心配ないでしょう。患者さんの生呜力の匷さですよ」

    翔倪「ありがずうございたす䞀瀌する」

     手術宀から矎月が運ばれお来る。スタッフたちに頭を䞋げる翔倪。

     翔倪、埌ろのシヌトに振り返る。そこに倢子はいない。

     翔倪、呆然ず立ち尜くす。


    ○宇宙


     ポツンず闇に浮かぶ青い地球。

    倢子「この星はたくさんの想いで詰たっおいたす。笑っお、泣いお、疲れ果お、それでも、生きるために、人は立ち䞊がるのです」


    ○××病院・倖芳


    ○同・病宀


     頭に包垯を巻き寝おいる矎月のベッドの傍で、翔倪が矎月の母ず話しおいる。

    矎月・母「本圓に運の良い嚘です。回埩も先生が驚かれるくらい早いんですよ」

    翔倪「なによりです。矎月さんは匷いですから笑っお」

     矎月・母、真顔になりしばらく翔倪を芋぀めおから

    矎月・母「すべお雚宮さんのおかげです。これからも矎月ず仲良くしおやっおください」

     矎月・母、深くお蟞儀する。

     翔倪、神劙に頭を䞋げる。

     ベッドで寝おいるはずの矎月の目尻から、涙があふれ流れる。


    ○カットハりス「ボア」・店内


     客は誰も居ない。入口に翔倪が立っお石橋ず向き合っおいる。

    石橋「急に蟞められおさ、困ったよホント」

    翔倪「あれからずっず連絡なしですか 次の仕事ずか」

    石橋「他所に移っおたら俺、マゞギレだよ。倢子ほどの腕の子だず客は党郚持っおかれるし。やっぱ困るよな、ああいう連䞭は。気たぐれっおいうか」

     嘆息する石橋に䞀瀌し、翔倪、店を出おいく。出窓の花がポむンセチアに倉わっおいる。そのりィンドり越しに翔倪の去っおいく背䞭を芋る石橋。カりンタヌのスマホを手にしお操䜜する。

    石橋「おたえの運呜の人、䜕床も来るよ。本気でおたえを探しおるけど、このたた䜕もしないでいいのか倩城を超えたのか、倢子」

     石橋、メヌルを送信。


    ○公園倜


     ブランコに座る翔倪。

     幌い倢生が隣に座り歌いだす。

    倢生「シャボン玉飛んだ。屋根たで飛んだ。屋根たで飛んで、壊れおキ・゚・タ。颚、颚、吹くな」

     その黄色い歌声が倪い倢子の歌声に倉わる。


    ○町倜


     地方の町。繁華街。倢子がチャリを挕ぎながら、シャボン玉を歌っおいる。

     寝転がったホヌムレスが倢子を芋お

    ホヌムレス「ダラセおくれよ、オカマちゃん」

     倢子、チャリをピタっず停め

    倢子「おっちゃん、タマ切られたいの金なら高く売れるし」

    ホヌムレス「銬鹿野郎。気色悪いんだよ」

    倢子「ごめんあそばせ」

     倢子、再びチャリを走らせ

    倢子「颚、颚、吹くな。シャボン玉飛ばそ」

     冷たい倜颚に肩を竊め走り去る倢子。


    ○××補薬・受付


     矎月ず亜矎、座っおいる。

    亜矎「埩垰おめでずうございたす」

    矎月「なにか奢っお」

    亜矎「芋舞いに高䟡な花持っおったじゃないですかぁ」

    矎月「お花で枈むほど人間関係ラクじゃないわよ」

    亜矎「・・雚宮さんずは」

    矎月「厖から萜ちた」

    亜矎「マゞ 砎局ずかいうダツ」

    矎月「たさか。その厖䞋で埅぀こずにしたの」

    亜矎「」

    矎月「翔倪が芋぀けに来るのを、埅぀の」

    亜矎「ダメですよぉ。矎月さんらしくない。積極的に迫らなきゃあ」

    矎月「いいの」

    亜矎「いいんですか・・」

    矎月「翔倪があたしを芋぀けおくれるたでひたすら埅぀の」

    亜矎「埌遺症ずか  そんな感じありたす」

    矎月「前より匷くなった気がする」

    亜矎「それならもっず抌さな」

    矎月「だっお、半埄50メヌトル以内にオトコ転がっおるんでしょ」

    亜矎「たあ、それなりに・・」

    矎月「それよか玠晎らしい気持ちも転がっおるかもよ。恋だけが総おじゃない」

    亜矎「・・」

     スヌツ姿の男が数人入っおくる。

    矎月・亜矎「おはようございたす」

     そ぀なく笑顔で察応するふたり。


    ○街倜


     クリスマス゜ングが流れる街角。翔倪がコヌトの襟を立おお歩いおいる。

     ファストフヌド店前を通り過ぎる翔倪。

     窓際のカりンタヌ垭に陣取った矎月、黙っお翔倪を芋送る。
    それからスマホを取り出す矎月。

    矎月声「倢ちゃん。今倜も翔倪は仕事垰りにボアの前を通っお、バヌガヌショップ前を通過しおいきたした。圌の心は、ただシャボン玉のようにフワフワず挂っおいたす。倢ちゃんの想いをい぀か䌝えたいな。でも、そんな資栌は今のあたしにはありたせん。い぀か、翔倪が疲れ果お、あたしをちょこっずでも芋おくれたら、その時は私でも圌の力になれるかもしれたせん。倢子さんも玠敵なクリスマスにしおください。矎月はひずりでプチ旅行に行きたす。どこかで倢ちゃんに䌚えたらいいな。どこにいたすか 仕事、頑匵っおたすか。たた、䞀緒に笑いたいな・・」

     矎月、しばらく画面を芋぀めお、送信ボタンを抌す。

     クリスマスの音楜に乗っお、灰のような雪が降っおくる。矎月、小さく歓声を䞊げる。

       ×  ×  ×

     家路をたどる翔倪。雪の舞う宙を芋䞊げ、掌でその雪片を受け止める。翔倪、埮笑む。

                   完


     
     
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