
SaaSショック定点観測 #1:ラクスを買った直後に暴落した私の観察日記(2026年4月)
はじめに:2026年4月、SaaSショックの渦中で
2026年4月、日本のSaaS銘柄が壊滅的に売られています。私自身、成長株の筆頭とされていた ラクス(3923) を買った数週間後に予想外の急落を食らい、頭が真っ白になりました。目をつけていたオービックビジネスコンサルタントも同じく下落。この冷え込みは、メディアでは 「アンソロピック・ショック」(NewsPicks / マネーポストWEB)、「SaaSの死」(日経XTECH / 日本経済新聞)、英語圏では 「SaaSpocalypse」 などと呼ばれています。本シリーズでは、観察者視点の総称として「SaaSショック」と呼んで定点観測していきます。現場の普及率はこれからなのに、株価だけ先に終わった——そんな違和感とともに、冷え込みは広がっています。
この記事は、その渦中にいる一人の観察者として、数字・業界構造・AIの影響・日本固有の文脈・企業規模別の動きを並べて書き残すものです。断定はしません。「一過性のリバランスなのか、構造的パラダイムシフトなのか」を判断するには、まだ情報が足りない。だからこそ、定点観測シリーズの第1弾として記録します。
第1章:数字で見る冷え込み——「下がりすぎ」か「適正」か
まず事実から。2026年4月時点の主要な国内SaaS/IT銘柄の株価推移を並べます。
ショックの時系列——3週間で押し潰された評価
今回のSaaSショックは、わずか3週間で連続して起きた4つのイベントで押し潰されるように進みました。シリーズの第1弾として、ここは基準日として丁寧に記録しておきます。

(出典:ITmediaビジネスオンライン / 日経XTECH)
つまり、下落は"Anthropicショック"と呼ぶべき単一の震源から連鎖的に広がったものです。マクロ要因で長期間じわじわ下がったわけではなく、外因による一撃がSaaSセクター固有に入った——この構造は、この定点観測シリーズで「何が回復し、何が回復しないか」を見分けるうえで重要です。
月初株価の推移——3ヶ月で押し下げられた水準
2026年1月から4月まで、各月初営業日の始値を銘柄別に並べます。シリーズ第1弾として、このスナップショットを基準値にします。

(単位:円/各月の初営業日始値、4/17は終値。出典:Yahoo!ファイナンス・時系列 各社ページ)
1月から3月にかけて、どの銘柄も一律に評価を切り下げられた——これが前半戦の景色でした。1月高値から3月初までに、軒並み20〜30%の下落。個別企業の失策ではなく、セクターそのものに対する評価の切り下げが進んでいます。
ところが、4月前半は空気が変わりました。4/1 → 4/17 の半月で、
マネーフォワードは +41.2% と急反発し、1月水準を上回る +7.0% まで戻しました
freee +20.8%、ラクス +16.3%、Sansan +12.2% とSaaS全般が揃って反発しました
それでも1月と比較すると多くは -13〜23% の水準にとどまり、完全な回復には至っていません
この「3月までの一律下落 → 4月の急反発、ただし回復度合いに差」が、定点観測シリーズ第1弾の一番興味深い観察です。特にマネーフォワードだけ1月水準を超えてきた点は、回復できる銘柄と取り残される銘柄の選別が始まっていることを示唆しています。「底打ちの本物か、デッドキャットバウンスか」——次回観測(2026年7月頃)の最大の論点です。
決定的な一日——2026年2月4日
この連鎖の最終着弾点が2月4日でした。東京市場のSaaS系主要銘柄の下落率上位に、次のような顔ぶれが並びました。

引き金は前日(2026年2月3日)に米国で起きた売りです。Anthropicが公開したAIエージェント Claude Cowork とその法務プラグイン発表を受け、米ソフトウェア株の時価総額が1日で約43兆円消失、法務データベースWestlawを運営するThomson Reutersは**-18%**という上場来最大の下げを記録しました(ITmediaビジネスオンライン / 株式新聞)。その翌営業日、日本市場にも波及しました。
私の保有銘柄であるラクスの値動きを整理します。年初来高値は2026年1月13日の1,082.5円。そこから3月23日の年初来安値721.9円まで約33%下落し、4月17日までに895.2円まで戻しています(Yahoo!ファイナンス・3923)。底からは**+24%の反発ですが、高値から見れば依然-17%。私の買値はまだ遠い。オービックビジネスコンサルタント(4733)も、2月の急落当日(2/2始値6,800円)からは4月17日の6,682円でほぼ横ばい圏まで戻しており、同社の2026年3月期第3四半期決算はクラウド売上+20.7%**と業績自体は堅調で、業績と株価の乖離が象徴的な銘柄です(松井証券)。

一律の売りではなく、AI代替懸念の強い銘柄ほど深く売られているというのが今回の特徴です。会計・人事・法務・名刺といった、ルーチン寄りのワークフローを担うSaaSが直撃を受け、逆にインフラ・セキュリティ寄りの銘柄は相対的にまし、という選別が起きています。
2024〜2025年の高騰期との対比
「下がりすぎ」と言うためには、比較対象が必要です。直近の評価倍率(PER)の変化が、剥落の大きさを一番はっきり示します。
ラクス:PER 36倍 → 22倍
野村総合研究所(NRI・SIer/IT基盤寄り):PER 35倍 → 23倍
サイボウズ:過去の平均が139倍まで買われた極端な時期もあったが、足元は15〜22倍の水準(松井証券 では2026年1月時点の予想PER 18.37倍)
Sansan:現在のPER 約128倍(PBR 15.43倍/売上成長+23.5%、解約率0.5%)。過去のレンジは未確認だが、今なお高PER銘柄の代表例
特にサイボウズは象徴的です。kintoneはノーコードでワークフローを組める点が強みでした。しかし**「ノーコードすら、AIエージェントがもっと柔軟にやる」と市場が判断した瞬間、将来キャッシュフローの見え方が一変します。業績は前年同期比+25%の売上成長、利益+131%増、解約率0.92%という健全な数字を叩き出しています。それにもかかわらず、PERだけが過去の極端な時期と比べて数分の1まで縮む——これが、「実体」ではなく「時間軸」が壊れた**ときの評価の落ち方です。
PERの縮小は、単純化すれば**「10年先の売上伸長までを織り込む」から「1〜2年先までしか信じない」への切替です。市場の目線が成長性から収益性とフリーキャッシュフロー(FCF:営業活動で実際に稼いだ現金)へ急激にシフト**したことの帰結でもあります(トウシル・楽天証券)。このPER切替はほかの銘柄でも起きており、サイボウズはその代表例として第2弾以降の観測でも追い続ける価値があります。
米国SaaS株との比較
日本だけの現象なのか、世界のSaaSセクター全体が冷え込んでいるのか。ここの答えで、「マクロ要因か、日本固有の構造問題か」の初期仮説が分かれます。
結論から言うと、これは世界同時現象です。2026年の年初来騰落率(2026年4月13日時点)を見ると、米国の代表的なSaaS銘柄も同程度かそれ以上に落ちています。
Salesforce(CRM):年初来 -37%(4月13日に$173まで5%反発)
Snowflake(SNOW):年初来 -44%(同日に$132まで9%反発)
Datadog(DDOG):4月14日時点で $123.47。年初来はほぼ横ばい圏で、SaaSセクターの中では相対的に堅調
(出典:24/7 Wall St. / Yahoo Finance・SNOW / 同・DDOG)
米国での引き金は明確です。2026年2月3日、Claude Coworkの発表を受けてソフトウェア株から1日で約43兆円が消えた——ここが起点で、翌2月4日に日本に波及しました(Bloomberg日本語版)。日本固有の構造問題ではなく、AIエージェントの汎用化という同じ一本の矢が、太平洋を挟んだ両市場を貫いた、と見るのが素直です。
ただし、日本には日本固有の追加要因もあります。次章以降で触れます。
第2章:なぜ投資家はこれほど慎重になったのか
期待値剥落仮説
SaaS株は長らく「将来の継続収益を先取りして評価する」ロジックで買われてきました。ARR(年間経常収益)の伸び率さえ高ければ、足元の赤字は許容される——そういう合意がありました。
この合意が、2026年春に崩れかけているように見えます。理由は一つではありません。
"積み上げ型(サブスク)"モデルへの疑念
サブスクは解約されない前提で美しく見えるモデルです。ただ、AIコーディング支援ツールや業務自動化ツールが急速に浸透した結果、「今まで月額数万円払っていた SaaS、これAIで代替できるのでは?」という問いが経営者の間で増えています。
代替が「懸念」ではなく、すでに実例として出てきています。代表的なものを2つ。
Base44の顧客が、年間35万ドル規模のSalesforce契約を終了し、カスタムAIソリューションに置き換えた事例
Klarna(後払い決済)がOpenAIと協業し、AIカスタマーサポートエージェント導入からわずか1ヶ月でフルタイム700人分相当の業務を処理
調査会社の予測も踏み込んでいます。Gartnerは「2030年までにポイント型SaaSの35%がAIエージェントに代替される」「2026年末にはSaaS支出の15%がAIエージェントへの直接投資にシフトする」 と予測しています(NxCode: SaaSpocalypse 2026)。
株価が織り込んでいるのは、この「35%」や「15%」という数字が本当に、思ったより早く来るというシナリオです。
AIによるSaaS代替懸念
投資家がもっとも警戒しているのはここです。「SaaSはUIの薄皮で、中身はデータベース+ワークフロー」——この構造は、AIエージェントが直接データベースとワークフローを操作できるようになった瞬間、中間層として不要になりかねない。
これが本当なら、サブスク売上のMRR(月次経常収益)が積み上がっていたことは、資産ではなく重力に変わります。
第3章:IT業界の力学は変わったのか
市場が描く成長カーブ vs 現場の肌感覚
ここが今回の記事で一番書きたいギャップです。
市場の見方:SaaSはピークアウト。成長カーブは鈍化し、AIに侵食される
現場の肌感覚:中小企業のDXはまだ序盤。紙とExcelとFAXで戦っている会社は山ほどある。SaaSの普及はまだこれから
この乖離は何を意味するのか。3つの仮説があります。
市場が正しい:潜在需要があっても、AI が先回りして SaaS をスキップしていく
現場が正しい:株価は過剰反応で、SaaS 企業は依然として長期成長の余地がある
どちらも正しい:普及はするが、収益化できるのは AI を取り込んだ企業だけ
個人的には3が一番しっくりきますが、根拠はまだ肌感覚の域を出ません。
サブスクモデルの賞味期限
各社の対応は分かれています。AI機能を上乗せ課金で売るか、既存料金に含めて囲い込むか、あるいはAI自身を製品の中心に据え直すか。
Salesforceは Agentforce を複数モデルで提供し始めています。アドオン版は1ユーザーあたり月125ドル、上位の Agentforce 1 Edition は月550ドル以上、さらに従量課金の「Flex Credits」(500ドルで10万クレジット、1アクション20クレジット=約0.1ドル)と会話単位課金(1会話2ドル)が選べる構成です(Salesforce公式 Agentforce Pricing)。従来のシート課金の上に、AIアクション課金を積む二階建ての設計です。
日本勢では、freeeが2026年3月3日にfreee-mcpをOSS公開し、270のAPIを Model Context Protocol 経由でAIアシスタントと直接つなぐ方向に舵を切りました(わろかいのLLMブログ)。マネーフォワードも経費・会計・HRなど各領域にAIエージェントを投入すると発表済みで、MCPサーバー経由でAIエージェントが直接会計操作を実行できる仕組み を掲げています(日本経済新聞)。
シート課金を守るのではなく、AIから使われる側にプロダクトを作り変える動きが始まっています。ただし、「使われる側」になるということは、UIという付加価値レイヤーを失うことでもある。成長が続いても単価が下がる可能性を、投資家は先回りして嫌気しています。
第4章:AIはIT業界をどう変えるのか
3つのポジション
AI の波の中で、IT 企業は大きく3つに分類できます。
それぞれのポジションに、どんな企業があてはまるか。代表銘柄を4月17日時点の株価と並べます。
再定義を迫られる側:AI代替懸念を深く織り込まれた銘柄

会計・人事・CRM・名刺・ノーコードといった、ルーチン寄りのワークフローをUIで包んだSaaSが直撃されました。
基盤になる側:AI時代のインフラ勝者(のはず)

注目すべきは、基盤側ですら手放しで上がってはいない点です。Microsoftは年初来ではわずかなプラスですが、2025年10月の史上最高値からは30%超下げており、SaaSセクター並みの調整を一度くぐっています。NVIDIAは堅調、さくらインターネットは4月に爆発的に反発したものの、「AIで儲かるのは誰なのか、まだ投資家も確信を持てていない」のが本当の姿です。
活用する側:AIを製品に組み込んで伸びる側

ソフトバンクGは2月高値4,954円 → 3月安値3,365円 → 4/17時点4,527円というジェットコースターを描いています。OpenAI出資で「AI本命」の位置付けを得ながら、SaaSショック局面ではリスクオフで売られ、反発局面では買い戻される——AIテーマ株の典型的な値動きをしています。
(出典:各社 Yahoo!ファイナンス/Yahoo Finance・米国各社)

再定義を迫られる側に見えた企業が、実は活用する側に回っていた——そういうケースもあるので、カテゴリ固定ではなく動的に見る必要があります。
AIサービス勢力図の最新変化
ここ数ヶ月で、AIサービスの勢力図は激しく動きました。整理しておきます。
全体のWebトラフィックシェア(2026年1月2日時点) では、依然ChatGPTが首位ですが、1年でシェアを22ポイント失っています(ITmedia)。
ChatGPT:64.5%(1年前の86.7%から大幅減)
Gemini:21.5%(初めて20%超え)
Claude:約2.0%(開発者層中心)
Copilot:約1.1%
しかしエンタープライズ市場のシェアはまったく違う景色です。2025年末の Menlo Ventures「State of AI in Business 2025」 によれば、企業向けLLM API市場はAnthropicが 40%、OpenAIが 27%、Googleが 21% で、この3社で88%を占めます。2023年時点でOpenAI 50%/Anthropic 12%だった勢力図が、わずか2年で入れ替わりました。Claude CoworkがSaaS株を吹き飛ばせたのは、法人市場における存在感の反映でもあります。
この「消費者向けと法人向けで勢力図が違う」状態は、SaaSが守ってきた牙城がまさに法人市場だったことを考えると象徴的です。Claudeが法人市場でシェアを取るほど、法人SaaSの単価に下押しがかかる——そういう構図に読み取れます。
第5章:日本固有の文脈——AIは日本文化に適合するか
世界の勢力図を押さえたうえで、ここから視点を日本に戻します。
言語・商習慣・「人の手」を重んじる文化
日本市場は特殊です。
言語の壁:日本語特化の精度が求められ、グローバルモデルがそのまま刺さらない
商習慣:稟議、対面、属人的な信頼関係——AIが入り込む余白が限られる
「人の手」を重んじる文化:自動化への心理的抵抗。「気持ちのこもった対応」を価値とする場面が多い
この3つは AI 導入のブレーキになってきました。ただし、ブレーキは同時にバネにもなりえます。
DX遅れが生む"飛び級"の可能性
紙・FAX・Excel が主役の現場は、SaaS 化のステップを踏まずにいきなり AI エージェントに飛び級する可能性があります。既存システムのしがらみがない分、リプレースではなく新規導入で済むからです。
数字でも裏が取れています。IPAのDX動向2025によれば、2025年3月時点での日本企業全体のDX実施率は**約80%**まで伸びた一方、**100人以下の中小企業のDX実施率は47%**にとどまります。さらに、100人以下の企業の約8割が生成AIの導入予定なしと回答している状況です(中小企業白書2025年版・第5節)。
この「まだSaaSもDXも行き渡っていない大量の市場」が、日本の上場SaaS企業がこれから獲りに行く予定だった土地です。その土地に、SaaSより先にAIエージェントが到達する——これが"飛び級"の中身です。
この"飛び級仮説"が正しければ、SaaS企業の一部は顧客を獲得する前に市場を失うことになります。この可能性を株価が先取りしている、というのが今回の暴落の一つの解釈です。
第6章:企業規模による明暗
小規模な会社:AIネイティブ組織への激変チャンス
意思決定が速い。レガシーが薄い。組織の合意形成コストが低い。——小規模企業は AI ネイティブに変わりやすい条件を揃えています。

ここで「変わる」というのは単にツールを使うことではなく、組織構造そのものがAI前提になることを指します。1人が5人分の仕事をする前提で会社を設計できる企業は、従来の人月ビジネスと違うカーブを描きます。
大企業はどう動くのか
大企業には2つの道があります。
保守性の壁にぶつかる道:稟議・セキュリティ・既存システム連携の壁で導入が遅れる
資本力で押し切る道:社内専用LLM、大規模なデータ整備、外部ベンダーの大量投入で一気に追いつく
どちらに転ぶかは、トップの危機感次第だと感じています。危機感がなければ1、あれば2。大きくはこの2つに割れるのではないかと見ています。
第7章:反証——「SaaSショックは一過性」説
ここまで書いたものと逆の立場も、公平に並べておきます。
マクロ要因説:金利・為替・グロース株全般の調整の一環で、SaaS固有の問題ではない
需給悪化説:特定の機関投資家のポジション解消や、決算を挟んだ短期的な売りが偏っただけ
AI代替懸念の過大評価説:現実の業務でAIがSaaSを置き換えるのは想像より遅く、3〜5年後には再評価される
私はこれら反証の可能性を 30〜40% 程度は残すべきだと見ています。構造シフト6割、循環調整4割、くらいの感覚です。
循環調整説に根拠を与える材料として、マクロ環境も押さえておきます。2026年4月時点で、
日銀の4月利上げ予想は**「風前のともしび」**(日本経済新聞)。金融政策はSaaS株に逆風ではない
ドル円は構造的円安圧力が強く、160〜165円で為替介入が入る場面も想定される状況
一方で、野村證券は2026年末のTOPIX 4,000、日経平均60,000円到達を予想(NOMURAウェルスタイル)
4月前半は一度売り込まれたSaaS銘柄に買い戻しが入り、日経平均も最高値を試す局面となっている(日本経済新聞)
つまり下落の原因はマクロではなくセクター固有で、かつ4月に入って反発も始まっている。この2つを合わせると、「金利が上がったからSaaSが落ちた」でも「世界全体のリスクオフ」でもないと読めます。残るのは、AIによる代替懸念というセクター固有のストーリーです。だからこそ次の論点は「AI代替懸念が過大評価だったなら戻る、本物なら戻らない」に集約します。
4月の反発——「SaaSの死」銘柄の逆襲は本物か
もう一つ、4月に入ってから鮮明になった変化があります。日本経済新聞は「『SaaSの死』銘柄の逆襲、出遅れ株に資金 日経平均最高値後押し」として、一度売り込まれたSaaS銘柄に買い戻しの動きが入り、日経平均の最高値更新を後押ししている状況を伝えています。
第1章の月初株価表のとおり、4月前半の反発は数字でも裏が取れます。ただし回復の度合いには差があります。マネーフォワードだけは1月水準を超えて戻した一方、他はまだ1月比-13〜23%の水準にとどまる——つまり、**"一律に売られた後、選別して買い戻される"**段階に入っています。
この「選別」が何を基準に進んでいるのか、そして選別から漏れた銘柄が第2波でさらに売られるのか、ここから均等に戻るのか——シリーズ第2弾(2026年7月頃)では、この4月の反発が本物だったのか、一時的な買い戻しに過ぎなかったのかを、同じ銘柄群の数字で検証します。
おわりに:観測を続ける
暫定結論を一つだけ書きます。
これは一過性の調整ではなく、SaaSという業態そのものの作り替えの初期段階だと、今の私は感じています。ただし感じているだけで、確信には程遠い。
だからこそ、この記事を定点観測シリーズの第1回とします。四半期ごと、あるいは何か大きな動きがあったタイミングで、同じ銘柄群・同じフレームで書き続けます。

同じ景色を、同じ切り口で、時間差で見比べる。それだけで「感覚」が「仮説」に、「仮説」が「結論」に、少しずつ昇格していきます。次回の更新では、この記事で立てた3つの仮説(市場が正しい/現場が正しい/どちらも正しい)のどれがどれだけ生き残ったかを検証する予定です。
頭が真っ白になったあの日から、視界は少しだけ開けてきました。ラクスの含み損を抱えたまま、私は観測を続けます。
関連する視点
SaaS市場の冷え込みは、開発者の道具選びの変化とも地続きです。AIの台頭で「道具を選び直す理由」が変わりつつある現場の話は、以下の記事で書いています。
読者のみなさまへ
シリーズ第2弾は2026年7月頃に公開予定です。追いかけてくださる方はフォローしていただけると励みになります。
保有銘柄の悩みや、「この銘柄の観察も加えてほしい」というご要望があれば、コメントで教えてください
「いや、SaaSショックは一過性だ」という反論も歓迎します。第2弾で検証する論点を増やせます
記事が役に立ったら、スキボタンで教えていただけるとうれしいです