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第十六話 楽しい一日|新しい春

第三章 ユウ先輩編
第十六話 「楽しい一日」

数日後。

ショウタが、
本当にみんなを誘ってくれた。

ナナとユリ。
ショウタと、
同じ学部の男の子たち。

休日にみんなで、
海へ行くことになった。

まだ泳ぐには少し早い季節。

それでも、
靴を脱いで波打ち際まで行ったり。
砂浜に文字を書いて、写真を撮ったり。

「冷たっ!」

ユリが笑う。

「だからまだ早いって。」

「リオも入ろ!」

「絶対やだ!」

そう言いながら、
結局、波打ち際まで連れていかれた。

波が来るたび逃げて、
また近づいて。

気づけば、
ずっと笑っていた。

「リオちゃんって、
もっと大人しいと思ってた。」

隣にいた男の子に言われる。

「え?」

「ショウタ以外、
あんまり喋ってなくない?」

「あ……うん。
男の子と話すの、ちょっと苦手。」

「でも今、普通に喋ってくれてる。」

「二人なら平気かも。」

「そうなんだ。
これからは気軽に話しかけてよ。」

男の子が笑った。

もしかして、この人なのかな。
この前、
ショウタから聞いた話を思い出す。

そう思ったら、
少しだけ意識した。

嫌じゃなかった。
むしろ、
ちょっと嬉しかった。


帰る頃には、
空が少しずつオレンジ色に変わっていた。

「今日楽しかったな。」

「うん。」

「またみんなで行こうよ。」

「行きたい。」

海を背に、
みんなで駐車場へ向かう。

今日は、
本当に楽しかった。
たくさん笑った。

ユウ先輩のことを、
考えていない時間もあった。

こうやって、
いろんな人と遊んでいたら、
いつの間にか、
忘れられるのかもしれない。


帰りの車。

窓の外を、
流れていく景色を眺めていた。

次のサークル、いつだっけ…。

頭に浮かんで、
自分で少し嫌になった。

今日、あんなに楽しかったのに。

他の人といても、
ちゃんと楽しい。
また遊びたいとも思う。

それなのに、

会いたいと思う人は、
変わっていなかった。


第十七話へ続く



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