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第三十話 「好きです」|新しい春

第三章 ユウ先輩編
第三十話 「好きです」

サークルが終わったあと。

私は、
少しだけ遠回りをして帰ることにした。

ユウ先輩と仲良くなった場所。

なんとなく、
今日はそこを通りたかった。

本当は、
ちゃんと理由があった。

今日会えたら、
伝えようと思っていたから。


校舎裏につくと、
見慣れた後ろ姿が見えた。

「ユウ先輩!」

振り返ったユウ先輩が、
少し驚いたように笑う。

「リオ?」
「久しぶりじゃん、ここ来るの」

その足元に、
いつもの猫がいた。

先輩はいつものように、
やさしく猫を撫でていた。

「こいつ、
気ままでいいよな」

「ですね」

その横顔を見ていたら、
前のことを思い出した。

私の髪に触れて、
猫みたいだと言ったこと。

でもそのあと、
やっぱり私は犬みたいだと
笑われたこと。

あのときは、
ただ嬉しかった。

好きな人に、
自分のことを見てもらえている気がして。

「先輩」

「ん?」

立ち上がったユウ先輩が、
私を見る。

心臓が、
急にうるさくなった。

言わなきゃ。

サークルを辞めたら、
今までみたいには会えなくなる。

何も言えないまま、
終わりたくない。

「私……」

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