
アカリウム深層 新種発見 冥灯角魚(めいとうかくぎょ)
深海で発見された美しき灯
冥灯角魚(めいとうかくぎょ)

深海域のさらに奥、ほとんど光の届かない海溝付近に生息するとされる大型の幻想深海生物。
全身は竜を思わせる硬質な鱗と鋭いヒレに覆われ、頭部からは長く湾曲した二本の角が伸びる。最大の特徴は、二股に分かれた長大な尾と、その片方から吊り下げられた発光器官「冥灯」である。
分岐した尾の一方は大きく前方へしなり、その先端から細い器官を伸ばして冥灯を吊り下げる。まるで釣り人が竿からルアーを垂らすように、自らの頭上から少し離れた位置へ光を漂わせる独特の姿をしている。
冥灯から放たれる紫色の光は非常に強く、完全な暗闇であるはずの深海を、自らの色に染め上げるほどだ。
遠方から見るその光景は美しく、暗い海中に一つの幻想的な灯籠が浮かんでいるようにも見える。
しかし、冥灯は周囲を照らすためのものではない。
それは獲物を誘い寄せるための「疑似餌」である。
冥灯角魚は自らの巨大な身体を闇の中へ沈め、尾だけをゆっくりと動かしながら冥灯を漂わせる。光に惹かれて近づいた深海生物に対し、十分な距離まで接近した瞬間、一気に暗闇から飛び出して襲いかかる。
性格は極めて凶暴で、縄張り意識も非常に強い。
特に冥灯の光が強く脈動している個体は狩猟状態にあると考えられており、その光が届く範囲へ不用意に侵入することは非常に危険とされる。発達した巨大な顎と長い牙は、硬い外殻を持つ深海生物すら噛み砕くほどの力を持つという。
深海に浮かぶ、美しい紫の灯火。
それは暗闇を照らす道標ではない。
冥灯角魚が垂らした、獲物を誘うための釣り針である。

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