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もう怒ってないけど

  恋人が甘やかしてくれる時間がとっても好き。

 私はそんなに怒りっぽくないし、付き合い始めたあの頃に比べたら、不安になることなんてほとんどない。信じてるから。信じられる人になったから。

 だけど、ちょっとかまってくれなかったり、二人で夜道を歩くときに相手の背中が見えすぎてたり、私の声が遠すぎたりすると、少しばかりムッとしちゃう。
 恋人がそれに気づくとよしよしってなだめてくれる。どーしたの?なんかした?ごめんね?怒っちゃった?って。好きだよ。だいじょうぶやよ。かわいいね。とか、意味わからないくらいに。

 恋人といれる時間、そうやって甘やかしてくれる時間。私は私を世界一かわいいって信じれる。私のことを好きで、こんなにめんどうなことにも付き合ってくれて、愛おしそうな笑顔で眺めてくれるから。この人の中では、前では、いっちばんかわいくて魅力的であると信じてる。好きな人の前やもん。そうあり続けたい。だからこそ、もし他に好きな子ができたとかなんて言われたら。世界一かわいかった私はいない。そうじゃなかったことを受け入れなくちゃいけない。そんなんきつすぎ。せめて、好きな人の前でくらいは世界でいちばん、私はずっとかわいいの。

 だから、私はその時間がとっても好き。恋人に包まれて、視界が真っ黒になって、その人の匂いが、ぬくもりが、頭に広がるあの時間が。好きだから、もう全然、なんならはじめっから、かまってほしくて、それに気づいてほしくてちょっとかわいこぶってムッとしてただけ。それほど怒ってなんかいなかったけど、気づいてくれたことがうれしくて、甘やかしてほしくて、怒ったふりをする。なだめてもらうふりをする。あなたが思ってるほど私はずっとずるくて不器用。いつもごめんね。でも、甘やかしてくれる時間が、あなたがある限り、大好きなこの時間を何度も繰り返したい。

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