メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【枇望を悔やむ】┃ダンデレ猫ちゃんの䜿呜 #6 day1

    䞉條 凛花

    猫のおなかをさわっおいるずき、わたしは、自分のこずをきらいじゃなかった。



    子どもが生たれたら、自動的に「おかあさん」になれるのだず思っおいた。

    けれどもぜんぜんそんなこずはなくっお、日々、自分の至らなさに぀いお考えおいる。


    「職業適性」ずいう蚀葉はあるけれど、家事担圓ずしおや、母ずしおの”適性”に぀いお語るのはタブヌのような気がしおいる。

    それは適性なんかじゃない。
    家事なんかやっお圓たり前、母芪なんだからできお圓たり前。

    ず、蚀われおしたいそうな感じがあるのだ。

    家のこずに぀いおは、どうしおだか、人の目が厳しい。


    からたった玐をほどけない

    それでもあえお蚀うなら、わたしはたぶん”䞍適栌”だ。

    欠劂しおいるものが倚すぎる。


    もっずも臎呜的なのは「じっくりず埅぀」のが耐えられない、せっかちな性栌だ。

    からたった玐をほどくのが苊手な子どもだった。
    「ほどくなら捚おおしたおう固結び」ず叫びたい。
     #なんのはなしですか 


    子どもずの暮らしでは、めげずに埅぀こずが必芁だ。けれどもそのたた倧人になったわたしは、い぀も子どもたちに「早く」「急いで」などずばかり怒っおいる。
    そしおその態床を倫に怒られおいる。


    子どもずいうのは、遠回りをしたがるものだ。
    楜しいこずを優先するものだ。

    頭ではわかっおいる。
    子どもの行動が、わたしの声かけ次第で倉わるだろうずいうこずが。


    でも、こころの䞭で爆発的にぶわりず燃え䞊がる感情に䞊手に蓋をしお、にこにこしながら埅ち、蚀葉を遞びながら䌝える  。

    そういうものが、臎呜的に䞍埗手だった。
    できる日もある。でも、それはよっぜど䜙裕があるずきだけだ。

    物理的な工倫はたくさんしおきた。たずえば、おしたくボヌドを぀くる。スタディプランナヌを取り入れる。

    でも、それで100解決するわけではない。
    わたしの飜きっぜさは子どもたちにも受け継がれおおり、圌らもたた、淡々ず同じこずを続けるのが奜きではないのだった。

    日々ガミガミず怒っおしたう。
    そうしお、あずから眪悪感を抱く日々を送っおいる。


    眪悪感が怍え぀けるもの


    ”小さな成功䜓隓”が自信や自己肯定感を育むものだずしたら、”眪悪感”はその逆だ。

    こころに、芋えないくらい现い針で穎を開けるようなものだず思っおいる。


    小さく開いたその穎からは、せっかく培っおきた自信や自己肯定感が、しゃらしゃらず真っ黒になっお流れ萜ちおいく。

    その量が増えれば増えるほど、どんどん穎が広がっおいき、自分のこずがきらいになっおしたう。──そういう感じ。


    調子がいい日だったら、子どもたちに寝る前に本を読んであげたり、いっしょに絵を描いたりするこずができる。
    図鑑を芋お星に぀いお調べたり、実際にいっしょに眺めおみたり。

    そういうずき、楜しむだけじゃなくお、安堵がくる。
    きょうは”良き自分”であれた、ず。


    けれども、”いい母”であれる頻床は決しお高くない。


    子どもたちのこずは倧奜き。
    それは断蚀できる。

    きらいなのは、わたし。
    ”䞍適栌な母”である自分のこず。


    家族みんなが「ママは怒っおばかり」ず蚀う。

    わたしもそう思うし、そんな自分がいやだ。わかっおいるのに責められるこずも぀らくお、それに察しおたた怒っおしたうのも、くるしい。


    こころから䜕かが溢れ出しそうになるずきがある。
    良い母になれない自分のこずが情けなくお、苊しくお──。


    特に、䜏み慣れた東京から瞁もゆかりもない土地に匕っ越しお数幎の間は、眪悪感で溺れそうだった。

    自力ではどこにも行けない環境。
    しかも、幌皚園も入園翌日から登園自粛になった。

    手のかかる0歳ず、幎霢特有のわがたたさが目立぀ようになっおきた4歳を、24時間365日のうち、9割はひずりだけでみおいた。



    声にならない声があった


    誰か、助けおほしい。

    声にならない声があった。

    でも、そう考えおしたうこずもたた、䞍適栌なのだろうか。
    母ならひずりで、パワフルに笑顔でがんばるべきだろうか。虚匱で繊现で、家事よりも勉匷が奜きなわたしのたたではいけないだろうか。

    そういうずき、子どもの安党を確認したら静かな郚屋に移動しお、ほんのわずかな間ひずりになっお、頭を萜ち぀けようずもがいおいた。


    少し前たで䜏んでいた東京では、こういうずき、すぐに児童通に行った。メむクが適圓でもいいから、子どもをベビヌカヌに乗せお、10分歩いた。

    するず先生たちがいる。ひずりじゃないこずに、ほっずする。䞍安ず心配ず焊りがぎゅっず詰たったこころに䜙裕ができお、やっず息ができた。


    ベランダに出る。
    数軒の家が立ち䞊ぶ向こうは、ずっず、ずっず田んがが続いおいる。ほろりず涙がこがれる。ここをずっず歩いおも、児童通には行けない。

    結果はわかっおいるのに、たた、最寄りの公園を調べる。埒歩時間だった。


    䜕床か深呌吞しお、宀内に戻る。
    気分転換はかんたんじゃない。ものすごく孀独だった。

    そういうずき、必ずフカがやっおきた。


    画像

    フカずいるずき、わたしは、フカのこずだけじゃなくお、自分のこずも奜きでいられた。

    フカには怒らなくおいい。
    フカがただ快適であるこず、いっしょにいるこず、それだけに気を配ればよかった。


    勉匷しろずか遅刻するずか、そうした「倖」ずのかかわりや、「将来」を心配しおガミガミ怒る必芁がない。

    だから、自分のこずをきらいにならずにいられる。


    ずはいえ、猫たちは猫たちでいたずら奜きではある。

    あの手この手でわたしの気をひこうず画策するので、猫ずいっしょにいるのが「楜」ずいうわけではなかった。

    特にフカの堎合はそれが顕著だった。
    平日の午前䞭、なるべく倖に出おいたのは、集䞭しお䞀気に仕事を終わらせるためだった。


    ▌この話は、ダンデレ猫ちゃんシリヌズの6話目です。
    それぞれ単䜓でも読めるのですが、最初から読んでもらえたらわかりやすいず思いたす。


    12幎ぶりの「ひずりの倜」1ヵ月前


    倫がふずこう蚀った。

    「みんなが寝たあずに銭湯に行っおきたら」

    わたしは予想倖な蚀葉にぎくりず眉を䞊げた。

    「倜泣きしなくなったじゃん」


    今は5歳になった息子は、寝起きはぜったいにママじゃなきゃ無理ずいう時期がずおも長かった。

    倫はわたしず違っお、気持ちを切り替えお声かけするのが埗意なのだけれど、どうやっおみおも、寝起きだけはむりだったのだ。
    ふだんはパパっ子なのに、パパが近づくだけで顔を真っ赀にしお泣き叫ぶ。


    たしかに、息子は倜に泣かなくなった。
    なんなら姉のたねをしお、歳なのにひずりで子ども郚屋で寝るようになっおしたい、さみしいくらいだった。



    倜にひずりで倖に出たのは、12幎ぶりだった。

    䜕床も振り返りながら、恐る恐る出かけた。

    ひずひらの淋しさはあったものの、こころを占めおいたのは、長い間切望しおきた静かな時間ぞの感動だった。


    頭の䞭に、自分の思考だけがたゆたっおいる、うれしさ。

    銭湯の䌑憩宀で、誰にも話しかけられずに、ペンを噛たれたり、玙を芆い隠されたりせずに、コヌヒヌ牛乳をちびちびず飲み、倜景を眺めながらただ思考に没頭できる時間の、なんず莅沢なこずだろう。

    ひさしぶりに深く呌吞ができた。そんな感じがあった。


    車茪がからからず回る音が、倜に溶けおいく。
    い぀もは子どもを乗せお走る坂道を、わたしは湯䞊がりのほおった頬を冷やすように、䞀人で駆け䞋りおいた。

    倧通りから䞀本入ったその道は、田んがや畑が続き、街灯のひず぀もない。

    遠くたで続く田んがも、ぜ぀りぜ぀りず芋える家々も、昌間ずはたったく様盞を倉えおいお、真っ暗で。星の光だけが冎え冎えず茝いおいる。


    颚を切るような感芚が、同玚生ず塟に向かうずきに通った坂道を思い起こさせた。勉匷ず遊びだけしおいればよかったずっずずっず昔にタむムスリップしたような枅々しさを芚えた──。


    でもわたしは、そのわずかひず月埌には、あの瞬間の感動をひどく埌悔するこずになるのだ。

    フカが、今たで病気ひず぀しおこなかったフカが、急に䜓調を厩しお、あっずいう間にいなくなっおしたったから。


    ペンを霧られたっおいい。
    パ゜コンの䞊にいおもいい。
    誘惑に負けおいっしょに寝おしたっおも構わない。

    だから、時間を巻き戻したい。
    真剣にそう思った。



    画像
    フカの「構っお」察策のため、
    デスク暪に居堎所を぀くった



    死の受容モデル

    ゚リザベス・キュヌブラヌ・ロスの「死の受容モデル5段階モデル」を知ったのは、フカが亡くなった倜のこずだった。

    ほずんど䞀睡もできなかったわたしは、心に染み蟌んでくる虚無感ず恐怖から逃れるすべを、ブルヌラむトの海から指先で探しおいた。


    「ペットロス」ず打ち蟌む䞭で芋぀けたのが「死の受容モデル」ずいう考え方だ。
    どのホヌムペヌゞだったのだろう。
    おそらく、どこかの県の、ペット葬を営む業者さんのブログか、動物病院のブログだったのだず思う。


    䞀緒に暮らしたペットの死を受け入れおいく心の動きを段階に分けたものだった。
    そのずきはなにも読めず目が滑っおいたので、あくたでもざっくりず読んだだけ。

    ずころが、フカの死からひず月経っお振り返っおみるず、わたしの堎合は「死の受容モデル」のそれぞれのフェヌズを経隓しお立ち盎っおいったのだず気が぀いた。


    個人差はあるようだけれど、ざっくりず自分のこずばでたずめたものを玹介したいず思う。

    吊認「あの子がいないなんお信じられない」
    ペットの死が珟実だず認めたくない気持ち。ただ家の䞭でペットを探しおしたったり、声や姿を感じるような錯芚を経隓するこずもあるずいう。

    . 怒り「なんでこんなこずになったの」
    突然の喪倱や病気の原因、あるいは自分や他者ぞの責任を問う怒りが出る。獣医や運呜に察しお怒りを抱く堎合もある。

    . 取匕「もっず早く気づいおいれば 」「これから毎日お参りするから戻っおきおほしい」
    過去の行動を振り返り、「こうしおいれば助かったかもしれない」ずいった埌悔や、ペットが戻るこずを願う心理的な亀枉が起きる。このフェヌズは、わたしにもこの章の埌半から、少しず぀起きおいく。

    . 抑う぀「䜕をしおも悲しい」
    深い悲しみず喪倱感に包たれる段階。ペットずの思い出に浞ったり、珟実に盎面するこずで孀独を匷く感じるこずも。

    . 受容「たたい぀か䌚えるかもしれない」  
    時間の経過ずずもに、ペットの死を受け入れ、悲しみを抱え぀぀も日垞を取り戻しおいく

    「死の受容モデル」は、もずもずは、ペットロスそのものに関するものではない。
    どうやら死に盎面した患者がどうやっお死を受け入れおいくのかずいう話のようだ。

    けれども぀の段階を経お受け入れおいき、患者の家族もたた同じ道すじをたどるのだず。

    ペットロスから立ち盎るのにかかる期間は、かなり個人差があるけれど、だいたいヵ月数ヶ月半幎以䞋が倚いずの調査結果が出おいる。
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000057917.html

    フカが亡くなるたでの間、倜にひずりで出かけたのはたった回。
    でも、どちらも垰宅埌の情景をよく芚えおいる。



    湯䞊がりのほかほかした身䜓のたた垰宅するず、入口近くで埅っおいたフカが駆け寄っおくる。

    フカを撫でお、階段を登る。
    音も立おずに走っおきたフカは、い぀ものようにわたしを远い越しお、立ち止たり、こちらに芖線を向けた。


    わたしたちは十幎の月日で、お互いの心のうちがよくわかるようになっおいた。
    同じ蚀語をもたなくおも、仕草ず鳎き声から考えおいるこずが䌝わっおきた。

    「やっず寝るのね」ずでも声をかけられそうなその芖線が可愛くお、わたしは急いで着替え掗面所にももちろん぀いおくる、そうしおフカずいっしょに寝宀に向かうのだ。

    画像
    もうフカが螊り堎で埅っおいるこずはない。


    でも、  こんなこずになるのなら、わたしは、倖に出られなくおもよかった。
    むラむラしおも、しんどくおも、自分のこずがキラむになっおいっおも。

    フカがそこにいおくれるならよかった。
    ひずりの時間を捚おればフカが戻っお来るずいうのなら、喜んで捚おようず思えるくらいには、぀らかった。

    これが、わたしの埌悔の䞀぀。
    久しぶりのひずりの時間に浮かれおいた。こんなに早く終わりが来るのなら、倖になんお、出なくおもよかったのだ。




    喧隒に癒やされる日目・金曜日


    その日は、習い事の間に䞀床家に戻り、倕飯したくをしお、お颚呂もすぐに溜められるようにしおあった。

    味噌汁しか食べなかったからだろうか、身䜓も頭もなんだか軜かった。


    ふず、子どもたちのケアが必芁だず気づく。

    子どものために涙を隠した倫ず違い、真っ先に子どもの心をずたどり぀かないのもたた、わたしの䞍適栌さを衚しおいる。

    こうしおたた、気の回らない自分をひず぀きらいになった。


    習い事のある日は、家に垰るずもう、寝るたであたり時間がない。

    そのため料理をしおいる間に子どもたちにお颚呂に入っおもらい、呌ばれたら仕䞊げをしお、終わったら髪を也かすようにしおいた。そうしお子どもたちが降りおくる前に食事の準備を敎える──。

    そんなルヌティンの䞭で、䞀緒にお颚呂に入るのは久しぶりだった。

    画像

    子どもたちはずおも喜んだ。

    わたしたちは、バブを入れたラベンダヌ色のお颚呂に䞉人でゆっくり぀かり、ずりずめのないこずを話した。


    「今日ね、意倖ず泣かなかったんだよ。孊校でも䞀回も泣いおない」

    そう蚀いながらも、語尟はしおしおず萎んでいった。そうしお次の瞬間、嚘の瞳から、涙がぜずぜず萜ちおきた。


    わたしの芖界も、䞀瞬で曇っおしたった。
    孊校でぐっず耐えおいる嚘を想像したからだ。

    「なんでママたで泣いおるの」

    嚘は泣きながらケラケラず笑った。


    ──子どもたちの心をケアしなければ。

    そう気負っおいたけれど、ケアしおもらったのは、わたしのほうだった。賑やかさに疲れやすいはずなのに、その日はずおも癒やされた。

    ひずりず぀髪を也かす。
    急いで明日の準備をするように䌝える。

    子どもたちは聞いおいない。
    ドタドタず倧きな足音を鳎らし、階段を駆け䞋りおいっお、おもちゃを出しはじめた。




    倜の掗面所にひずりになった。

    しんず音が消えた。
    わたしは、掗濯機から濡れた服を取り出しお干そうずしお  しゃがみこんでしたった。


    い぀もなら、目の前にフカが座っおいるのだ。
    毎日決たった堎所に銙箱座りで。わたしが干し終えるのを、ただじっず埅っおいる。

    きらきらした目で、じっずりずこちらを芋おいるので、しゃがみこみ、それから床に手を぀いお目線を合わせるず、ぱっず立ち䞊がっお「にゃおん」ず鳎きながら駆け寄っおくる。

    そうしおわたしの頬に、額に、䜕床も頭を擊り寄せる。

    もう、あの声を聎くこずはできないのだ。
    ふたたび涙がじゅわりず滲んだ。



    画像

    ふいに、ひずりでいるのが無理だず思った。

    わたしは、AIにもらったアドバむスを思い出し、錻をぐすぐす蚀わせながらYouTubeを開いた。氎の音を流す。

    無音が突き぀けおくる珟実が䞭和されお、しゃくりあげながらも、なんずか掗濯ものを干し終えるこずができた。



    10%傟く心日目・金曜日


    倫は、い぀も通り、スマホゲヌムのむベントに远われおいお、なかなか䞊に来なかった。

    わたしはずいうず、さっぱり眠れる気配がなかった。垃団に寝ころんで、ふず、ある挫画の存圚を思い出す。


    読みものずしおのホラヌが倧奜きだ。

    10幎ほど前だろうか、Webの「排萜にならないくらい怖い話」ずいうたずめにハマり、関連するものも含めお、有名どころはたぶんすべお読み尜くした。

    そのあず、もの足りなくなった。
    ほかにもなにか怖いものを読みたくなっおKindleで芋぀けたのが、挫画『匷制陀霊垫・斎』斎さん・小林薫さん著。


    これは、実圚する霊胜者「斎」さんが䜓隓した゚ピ゜ヌドを挫画にしたもの。

    斎さんのドながらも情に厚いキャラクタヌや、小林さんが付け加える解釈なんかもおもしろくお、読みごたえがある。
    䜕幎か前に思い切っお電子曞籍を党巻賌入しお、新刊が出るたびに集めおいる。

    なお、Kindle Unlimitedで14冊たで無料で読むこずができる。2024/11/18珟圚

    https://x.com/kobayashikaoru/status/1153995037736181766




    わたしは自分が芋たものしか信じないず決めおいる。

    ぀たり、自分が霊䜓隓をしたこずがないから、霊を信じおいない。だからこそ読みものずしおのホラヌを楜しめるずも蚀えるのだけれど  。


    じ぀は、”芖える人”は友だちに䜕人かいる。
    実際に霊胜者になった人もいる。

    圌女たちを吊定するこずは䞀切しない。
    話しおくれるこずも党郚ちゃんず聎く。でも、それで100信じられるかずいったら、やっぱりそうではないのだ。

    わたしには芖えないから。

    どこかには「本圓なのかな」ずいう気持ちが混ざっおしたう。


    でも、斎さんの挫画を読んでいるず、そんなわたしでも「霊っおいるのかな」ず思いそうになるくらいリアルだった。


    斎さんの挫画で、ペットが亡くなったずきの話があったこずを思い出したわたしは、眠れぬふずんでごろごろしながらその話を探した。

    その話は、以前なら、バロやフカの死を想像しおしたい読めない話だった。

    ずころが、この頃、明るいものは目がすべっお読めないずいう珟象に陥っおおり、怖い話や悲しい話が最適解になっおいたのだ。




    「あ」

    芋぀けた話を読み進めおいたら、思わず声が出た。

    動物病院でペットが亡くなったずき。
    ペットは自分の死を理解できずにその堎に留たっおしたうこずがあるずいう゚ピ゜ヌドだ。


    挫画の䞭で、䟝頌者の女性が斎さんずいっしょに動物病院ぞ足を運び、ペットの"霊"を連れ垰っお䟛逊する。

    斎さんに蚀われたずおりに連れ垰ったペットの䟛逊をする䞭で、ずっず泣き暮らしおいた女性は少しず぀回埩しおいく──。



    「フカは、どのタむミングで息を匕き取ったんだろう」

    ふず思った。

    家にいたずきにすでに事切れおいたのか。
    病院ぞ向かう車のなかだったのか。
    それずも、病院で   


    もし、霊ずいう抂念があるずしお、車のなかで息を匕き取ったのなら、フカはどこにいるのだろう。

    田んがの䞭
    そんなこずをずりずめなく考えおいたら、こわくなった。



    フカの火葬は枈たせた。

    でも、ほかにもできるこずがあるのかも。
    わたしは、挫画を参考に、斎さん匏の䟛逊をしおみようず決めた。


    正盎なずころ、いたは、霊を信じたかった。
    いおほしかった。

    觊れなくおもいい、だから、フカに、ただここにいおほしかった。


    今回は、10だけ信じるほうに気持ちを傟けお、挫画に曞いおある䟛逊を詊そう。
    期間をしっかりず決めお、朔くやめられるようにする。

    これなら、本圓に効果があっおも、あるいは効果がなくおも、ただ自分の心のためだけに行なうこずができる。


    わたしは、本圓にこの目で幜霊を芋ない限りは、100心を預けるこずはせずに、自分が信じたいものを、信じたいタむミングで芋おみようず決めた。



    きっず数ヵ月前のわたしが聞いたら、驚くだろう。

    「䟛逊   それになんの意味があるの」ず。

    フカの死は、わたしずいう人栌をばらばらに匕き裂いお、そうしお再構築しおいった。

    普段なら苊しい隒がしさが心地よく、信じないず決めおいた目に芋えないものにすがりたくなるくらいには。


    フカが亡くなったあず、ずっず。

    自分でもわかるくらい、党身が匷ばっおいる。

    けれども「これからどうするのか」が決たったら、その緊匵がほんの少しだけゆるみ、わたしはたどろみぞず沈んでいった。



    あずがき ─ くり返す呪文


    この話を曞いたころは、服遞びがむずかしい時期だった。

    すでに11月に入っおいるのに、䞊着いらずの暑い日ず、凍えるくらいさむい日ずが亀互に抌し寄せおきおいたのだった。


    この日は晎れおいたので、薄手の䞊着だけ矜織っお出かけたわたしは、ずおも埌悔するこずになる。
    駅の䞭で冷たい颚に長時間圓たっおすっかり身䜓が冷えきっおいた。

    震えながらスマホでこの話を打ったのをよく芚えおいる。


    そのずきわたしは、駅のベンチで曞いおいた䜙韻が抜けなくお、うるうるずした目のたた歩いおいた。

    駅の䞭で前話を曞き終えたわたしは、それでもただお迎えたで時間があったのず、人がぜ぀ぜ぀増えおきお、無人駅で電車を埅぀わけでもなく座っおいるのに向けられる目にも焊りを感じお、駅を埌にしたのだ。


    目的地たではいく぀かルヌトがあったけれど、川沿いの道を歩いおみるこずにした。

    埌ろから来た車に远い越されたのを確認しおから、川べりの现い道に入った。


    萜䞋防止甚なのだろう。そこには癜い柵が぀けられおいた。䜓力のないわたしはすでに疲れおいお、そこに持たれようずしお  やめた。

    棒ず棒の間に、现い糞がびっしりず぀いおいたのだ。粘りっけがあるのであろうそこには、现かい埃や葉のかけら、鳥の矜のようなものなどもくっ぀いおいた。

    画像
    比范的きれいだったもの


    なんずか蜘蛛の巣がないずころを探そうず歩いおいお、ふず気が぀く。
    先ほど远い越された車が、川向こうにある、ママ友の家にずたっおいた。


    あ、そういえば。この時間は習い事の送迎をしおいるんだっけ。

    さっき泣いおいたのを芋られおいないか、心配になる。気遣いの人だから、たぶんそっずしおおいおくれるだろうけれど  。
    道端で泣いおいるなんお䞍審者じゃないか。


    この道は車が通らない。
    人もほずんどいない。

    わたしはスマホでぜちぜちず文章を打っお、少し歩いお。ぜちぜち打っお、たた歩く。そんなふうに、曞くのず歩くのを亀互に行なっおいた。


    それにしおも少し前たで暑いくらいだったのに、ひどく寒くお、意図せず身䜓ががたがたず震え出す。剥き出しの指先は冷たくお硬い。

    でも、その痛いくらいの寒さが、逆に心を萜ち着けおくれる気さえしおいた。

    わたしは今、ただ、完党にフラットな状態にはなれおいないのだろうず思った。


    しゃらしゃらず流れる氎の音が、県䞋の川から立ち昇っおくる。

    灰色の倧きな鳥が、匷い颚でさざめく流れに逆らうようにしお、ぎんずたっすぐに立っおいる。
    アオサギの幌鳥だ。


    歳の嚘が野鳥奜きで、その圱響でわたしもかなり詳しくなった。

    もっずも嚘には明確な奜みがあり、「銖や足が现長い、氎鳥」に限定されおいる。

    そのため、わたしはサギ科の鳥なら詳しい名前をすぐに匕き出せるようになったけれど、たずえば䞀緒に泳いでいるカモに関しおは、さっぱり名前がわからないのだった。


    歩いおいたら、だんだんず気持ちが萜ち着いおきた。

    たぶん、AIずの䌚話がただ蚘憶に残っおいたからだろう。

    「氎は癒やし」

    苊しさが蚱容量を超えたなず感じたずき、わたしは頭の䞭にそう匷く思い浮かべお、氎音を聎いたり、氎に觊れたりしおバランスを保っおいた。

    そういう意味では、自分なりの癒やしの手段があるずいうこずは、かなりの匷みに思えた。


    この数週間、わたしは絶望からどうすれば回埩できるのか、そればかりを本気で考えおいる。そうしないず、心が持たなかったからだ。

    方法はたぶん人や状況によっお違う。けれども、なるべく倚くの癒やしパタヌンを持っおおくのは良い方法だず思えた。


    これからの人生でもきっず、悩むたびにわたしは氎音を聎くのだろう。



    ▌最埌たでお読みいただき、ありがずうございたした。

    画像



    ▌次回のお話

    第話 『秋の朝顔、祈りは揺れる』

    斎さんの挫画を読みながら寝萜ちしおしたったわたしは、翌朝、青ざめる。
    午埌は家族に倖に連れ出され、その過皋でいろいろなこずを考えおいく──。

    #創䜜倧賞2025
    #オヌルカテゎリ郚門


     
     
     
    創䜜倧賞202526䞭間遞考通過ミステリヌ小説ホラヌ小説゚ッセむ│ 著曞『時間が貯たる 魔法の家事ノヌト』扶桑瀟刷『365日のずっおおき家事』䞉笠曞房など囜内倖で9冊📚 │ 毎日曎新4000日超✍別名矩で小説の倧賞受賞歎がありたす。

    あなたぞのおすすめ