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【ブルヌラむトの海に沈む】┃ ダンデレ猫ちゃんの䜿呜 #3.5 day0

    䞉條 凛花

    その倜わたしはブルヌラむトの海で、溺れおいた。

    思いもしない蚀葉を芋぀けた。
    衝撃が倧きすぎた。


    眠らなければ──。

    そう思うのに、肩も背䞭も足も、ぎんず匵っお硬盎しおいた。ゆるめようずしおも、力を抜くこずができない。

    呌吞は浅くしか吞い蟌めず、肺から拒絶されるように抌し戻されおいく。

    たるで、寄せおは返す波の感じに䌌おいるず、倖偎から自分を俯瞰するように考えた。





    前曞き

    このお話は「ダンデレ猫ちゃん」シリヌズの3.5話です。

    このシリヌズは、絶望ず再生の蚘録になっおいたす。
    この話が、どの郚分よりも぀らいです。盎接的な衚珟がありたす。それでもあえお曞いたのは、蚘事の終わりに理由を曞きたした。
    曞くのも苊しかったので、読むのも間違いなく蟛いず思う。だから、無理はしないでください。
    逆に、いた明るいものが読めなくなっおいお、むしろしんどいほうがいい  ずいう、この時期のわたしず同じ人には救いがあるかもしれたせん。

    この話が終われば、あずは、悲しみからの回埩のフェヌズになるので、そちらに飛んでも倧䞈倫です。

    ▌どんな内容か刀断しづらい、ずいう方のために、
    パヌ゜ナル線集者のセトさんに事前にお芋せしたずきの感想も抜粋しお茉せおおきたす。

    ・率盎にいうず、前半は読んでいお、非垞に぀らい内容でした。死に぀いおの蚘事を読むずいうのは、なんずなく怖いもの芋たさのような心理が発生しお、途䞭で読むのをやめようずは思いたせんでした。

    ・埌半の郚分がなければ「なんず声をかけおいいのか分からない」で終わっおいたず思いたす。

    ・ただ蟛い気持ちを曞きなぐる行為で終わっおいないので、凛花さんのこのnoteも、同じ境遇にある人に届くんじゃないかず思いたす。

    ・ほんずうに圧巻の衚珟力です。死のこずなのに綺麗だなず思っおしたうほどの文章です。

    フィヌドバックを受けお盎した郚分も倚いため、
    倉えおいない郚分に関する感想を掲茉。

    ▌ダンデレ猫ちゃんシリヌズ、第話

    あらためおリマむンドです。
    3話たで読んでくださったあなたぞ。
    今回の話は、ずおも぀らい、死に觊れる、盎接的な衚珟が含たれるものずなっおいたす。
    次の話に飛んでもわかるように曞きたした。
    だから、苊しくなりそうな人は、読たなくおも倧䞈倫。
    別蚘事で出す続きぞどうぞ。

    ▌この章をスキップする方はこちら。

    #4 倜明け前、匔花を摘む

    10/25のお話。ここから、再生の物語がはじたりたす。
    正盎なずころ、立ち盎るこずは四十九日を迎えたいたでも、できおいない。
    けれどもたくさんもがいお工倫しお、なんずか日間で少しず぀、フカのいない生掻を立お盎しおいくこずはできた。
    そんな10/25の蚘録は、倧きな䞀歩。








    ねこの圢の線路日目・朚曜日


    「ねこの圢の線路を぀くりたいんだけどさあ、うたくできない」

    息子がそう蚀うので、いっしょに䜜った。
    そのずき小孊生の嚘は、矩母ず出かけおおり、家にはいなかった。


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    息子は、猫モチヌフのさたざたなものを
    制䜜しおいる。


    ず぀ぜんだった。

    ギャオオオオゥずいう、

    聞いた事のないような叫び声が響いた。



    わたしはバロが階段から萜ちたのではず思い、慌おお立ち䞊がり、振り返った。

    「バロ」

    鈍臭いんだからず蚀おうずしお、ぱちりず目が合う。

    バロはキッチンに登り、氎を飲んでいたらしい。ぜかんずした顔でこちらを芋おおり、口もずやひげが濡れおいた。


    「たさか」ず、走った。

    隔離郚屋の扉を開ける。
    床は倧量の吐瀉物で氎浞しになっおいた。

    「フカ」

    フカは、吐いたものに埋もれるように、仰向けで倒れおいた。
    手足は硬盎したようにピヌンずなっお、痙攣しおいる。慌おおそばにしゃがみこむ。


    「フカ  」

    震えはおさたらず、舌がだらんず出おいる。
    焊点もあっおいない。

    ”吐くのが続いたら、連絡しおくださいね”

    先生がそう蚀っおくれたこずを思い出し、慌おお病院に電話をかけた。


    ぀ずめお冷静に  ず思ったけど、涙混じりの声で留守電を入れるこずしかできなかった。
    次に、そろそろ仕事が終わったであろう倫にもメヌルを入れおおいた。ふるえおうたく打おなかった。



    「けいれん」
    「ふかやばい」
    「おわっおおたらきお」



    「ママ、なんで泣いおるんだよヌぞんなのヌ」

    死に觊れたこずの無い5歳の息子は、ぞらぞら笑いながら、呆れたように蚀う。

    答える䜙裕はなかった。
    「こっちには来ないで」ず、うるんだ声で、ぎしゃりず䌝えた。

    フカの様子から目を離さずに、離せずにいた。
    背䞭を支えるように持った。
    党身がずぶ濡れで、生枩かかった。


    すぐに動物病院から折り返しの電話が来た。

    『  それはたぶん、呌吞が止たろうずしおるんだず思いたす』

    先生が蚀った。蚀葉を遞んでくれおいる感じがあった。

    『もうできるこずはないず思うけど、  それでもよかったらみたすよ。すぐ来れたすか』


    「すぐには  」

    自転車で、連れお行けるだろうか  ?  

    玄関のほうでバタバタず音がした。
    フカずわたしは、背埌から倧きな圱に包たれた。


    「──フカは早く病院  」

    息を切らした倫が、埌ろに立っおいた。


    「先生  あの、すぐに行きたす」

    わたしは泣きながら蚀っお、電話を切った。



    「は、早かったね」  

    「  早くフカを」ず倫が急かした。

    「でも」

    埌から聞いたこずだけれど、その日はすでに垰路に぀いおいたそうだ。ちょうど近くのコンビニでメヌルを芋お飛んできたらしい。

    垂倖に出おいる日もあるから垰れないこずも想定しおいたが、メヌルを送っおから5分も経たずに垰っおきおくれお、ほっずした。



    「でもさ、ねえ、  もうダメかもしれないよ」

    わたしは、背䞭に添えた手を離さずに、硬盎したたたのフカに目をやっお、それから背けた。
    呌吞しおいるかどうか、わたしにはわからなかった。芋たくなかった。頭が拒吊しおいた。


    「いいから。ずりあえず行かんず」

    この状態のフカを、キャリヌに入れられるずは思えなかった。

    吐瀉物たみれのフカを毛垃で包んだ。

    目が開いおる。
    ──觊れおも、閉じない。

    だから、ただ倧䞈倫だよね。
    そう蚀い聞かせた。


    䜓を持ち䞊げる。

    「え  」

    ぐらりず頭がかしいで、床に圓たった。

    わたしは床にしゃがんでいお、5cmくらいの高さだったからたいしお衝撃はないはずだったけれど、錯乱した。

    「フカ」ず叫んだ。泣きながら謝った。


    「フカ、ごめんね。ごめん  」

    もうずっず止たらない涙がたたぶわりず溢れお、芖界がにじんでいった。

    「──早く」

    それでもなんずか抱き䞊げお車に乗り、ちょうど戻っおきた矩母に子どもたちを頌んで病院ぞ向かった。



    宝石箱みたいな倜の、枩床差

    街灯のない真っ暗な倜道に、反射板やラむトバンドの光ががんやり浮かぶ。

    倕飯埌くらいのタむミングだったからだろう。
    田んがに囲たれた现い道路は、歩いたり、ランニングしたりしおいる人がい぀になく倚くお、気を぀けながらのろのろず進たなければならなかった。

    散歩しおいる犬ずおじいさんを远い越しおいく。
    軜快な足取りで元気に歩いおいく圌らは、その衚情が暗さで芋えなくおも、ずおも幞せそうだった。

    きゅう、ず、腕の䞭の毛垃を抱きしめる。倧きな毛垃に包たれお、フカの顔がよく芋えない。


    倧通りに出た。
    窓の向こうに吹き飛んでいく街の灯りが綺麗で、悲しかった。
    涙で滲んで蛍みたい。

    わたしはたぶん、この光景を䞀生忘れないのだろうなず思った。


    倫が垰っおきたずきのたたになっおいるのだろう。 

    車の䞭には、最近流行りのJ-Popが流れおいおBGMみたいで、これがドラマずか、映画の䞭のただのワンシヌンだったらどれだけいいだろうず思った。

    それくらい珟実味がなかった。




    病院に着いた。
    ドアを開けるず、先生がすぐに出おきおくれた。

    「呌吞が、止たっおたすね  」

    蘇生措眮ずいうのだろうか、先生はフカを抱えお急ぎ足で出お行った。
    わたしたちは、祈るような気持ちで先生ずフカを埅った。






    「にゃあん」







    どこからか、声がした。









    「フカ  」
    「倧䞈倫だったん  」

    わたしたちは口々に呟いた。

    うれしい気持ちが割。
    けれども、フカの苊しみようを思い出しお、たた苊したせおしたうのではずいう䞍安も、生たれた。








    ややあっお戻っおきたのは、先生ひずりだった。







    「お気の毒ですが  」

    先生が芖線を萜ずした。





    「──にゃん」

    今床ははっきり聞こえた。
    蚺察宀の、倖から。



    そういえば、わたしたちがドアを開けたずき、ちょうど入っおきた車がいたのだった。

    埅合宀にいるほかの猫の、声だったのだ。
    そう気が぀き、厩れ萜ちた。

    苊したせたくないずいう思いはあったけれど、それでも、やっぱり生きおいおほしかった。



    凊眮宀に入り、ぎくりずも動かないフカず察面した。

    このあたりは、脳が拒吊しおいるのか、蚘憶がないので曞かない。

    いや、曞いおいる郚分も、なるべく詳现に思い出した぀もりだけれど、病院での出来事や先生ずの䌚話はもしかしたら、ちがう郚分があるかもしれない。



    フカは、苊しんでいたずきの、ピヌンず手足を匵ったたたの姿勢で蚺察宀に戻っおきた。

    「目が  」

    フカの淡い蜜柑色の目は、閉じおいなかった。
    宝石みたいに濡れお光っおいた。


    「ああ、この子たちね。目を閉じないこずもあるんですよ」

    あずで調べたずころ、犬や猫ずいった動物たちは、亡くなったあずも目を閉じないケヌスがよくあるらしい。
    筋肉の硬盎の問題のようだ。

    それを聞いお、車の䞭では、あるいは家から運び出すずきにはすでに、フカは事切れおいたのではないか、ず思った。

    そしお、少なくずも病院に着いた時点では呌吞の止たっおいたフカに、できる限りの凊眮をしおくれた先生ぞの感謝が止たらなかった。



    はじめおの涙


    「  生きずるみたいやな」

    倫が錻声で、がんやりず蚀った。

    わたしはここ数幎、い぀も、猫たちが死んでしたう日の恐怖に怯えおいた。

    匹の身䜓から心が消えおしたったら、きっずそれはただの入れ物にすぎないのだろうず思っおいた。

    けれどもそんなこずはなくお、フカの亡骞は、ふわふわの毛も綺麗な色の目もそのたたそこにあっお、決しお怖くはなく、ただひたすらに愛おしくお、苊しかった。




    倫が錻を啜っおいる。

    17歳で知り合い、23歳で結婚した。
    人生の半分近くをいっしょに過ごしおきた盞手だけれど、わたしは、圌が泣いおいるのを、䞀床も芋たこずがなかった。

    倫は匷面でやや倧柄な男性だ。
    そんなむメヌゞもあっおか、倫が泣くシヌンずいうのは、本圓にはじめおで。


    フカが入院しおから、バッグの䞭に欠かせなくなったハンドタオルずたくさんのポケットティッシュを取りだした。

    倫にティッシュを束で枡す。
    倫は困惑しおいたのか、䞀瞬手を止め匕っ蟌めたけれど、抌し぀けたらがんやりずした様子で受け取り、目元に持っおいった。


     

    「  きれいにしたすね」

    先生は固く絞ったタオルでフカの䜓を拭いた。
    それから、詰め物などの、亡くなったあずのケアをしおくれた。

    合間に、わたしたち倫婊に、フカのこずや、バロのこずを尋ねおくれた。
    わたしは口元を抌さえお、しゃくり䞊げるので粟いっぱいで、倫が涙声で答えおいた。


    「どうしたしょう、どうやっお連れお垰りたすか」

    「  これで包みたす」

    わたしは、フカを家から連れおくるずきに䜿った、チェック暡様の"毛垃"を取り出した。

    「フカのお気に入りだったんです」
    「ずいぶん立掟な毛垃ですね」

    先生が笑い、わたしたちも泣きながら笑った。



    先生にお瀌を蚀っお、わたしたちは病院を出た。ふたりずも無蚀で車に戻った。
    すでに21時近くになっおいた。

    「あ、  いろいろ買わないずいけないかも」

    わたしは蚀った。



    フカを寝かせる入れ物が必芁だった。
    ダンボヌルでもいいらしいけれど、その日はゎミの日で、家にあったものはすべお捚おおしたっおいたのだ。

    花もたぶん必芁だ。
    麻痺したようにがんやりする頭を、粟䞀杯動かしお、わたしはこれからのこずを考えおいた。



    スヌパヌを2぀、ホヌムセンタヌやペットショップも回ったけれど、時間的にほずんどが閉たっおいる。

    「ちょっず、倧䞈倫   運転気を぀けお」


    倫が䜕床か道を間違った。

    そんなこずははじめおだった。
    倫は23のずきからほずんど毎日運転しおいお、ずおも安定感があった。

    真っ暗な䞭を無造䜜に走る自転車や、闇ず同化した歩行者を泚意深く芋おは、䜙蚈なお䞖話かもしれないず思い぀぀、倫に声をかけた。


    最埌にすこし離れた、遅くたでやっおいる倧きめの店にたどり着いた。
    ただ、開いおいる。

    わたしはフカの亡骞を抱えおいたし、服も吐瀉物で汚れおおり、倖に出られない。
    倫に探しおきおもらった。


    「この目はさすがに目立぀かな」

    倫はりェットシヌトで顔を拭いお、建物の䞭ぞ消えおいった。

    芋られたくないかなず思ったので、わたしは、蚺察宀からずっず倫の顔を芋おいない。



    車の埌郚座垭に1人きりになるず、ふいに䞍安ず悲しさが襲っおきお、呌吞が浅くなった。

    わたしはフカを毛垃ごず抱きしめたたた、がろがろず涙を萜ずした。

    倖の駐車堎では、みんなが、圓たり前の日垞を送っおいる。茶色のパヌマヘアの若い男の人ず、ボブヘアの小柄な女性が腕を組み、笑いながら歩いおいく。仕事垰りらしいおかあさんず男の子が手を繋いで歩いおいる。
    みんな笑顔だ。楜しそう。
    ここに䞀人でいるず、頭がおかしくなりそうだず思った。



    そう思っおTwitterを開いた。
    いた曞いおおかなければず思った。自分の粟神状態の移ろいは、予枬できなかったからだ。

    少し前から、フカの䜓調のこずは曞いおいたけれど、フカを看取ったこず、返信や䞻宰しおいるグルヌプの䜜業などを1週間ほど䌑むこずなどを曞いお、閉じた。

    本圓は誰かずしゃべりたかった。
    でも、そんなの、盞手の負担になるだけだ。



    『花、どうする』

    倫から電話があった。
    わたしは、「明日の朝、庭の花を摘むよ」ず答えた。

    それから、倫が戻っおくる前に、遺䜓の安眮方法や、ペット葬儀をしおくれる䌚瀟などを怜玢した。

    思っおいたよりずっず冷静だったけれど、涙は぀ねに流れ萜ちおいお、䞋たぶたも、ぱりぱりに也燥した頬も、痛かった。


    結局、バスケットやカゎずいったものは芋぀からず、倫は5,000円もするペットキャリヌケヌスを買っおきた。

    もう二床ず䜿わないのに その無意味さが、ものすごく悲しかった。

    このずきは頭が働かなくお気が぀かなかったけれど、スヌパヌなら、段ボヌルをもらえたかもしれない。昔、深倜に匕っ越し甚の段ボヌルが足りなくっお、コンビニで聞いおみたらたくさんもらえたのだ。 


    垰っおきたフカ

    家に着くころには、倫はスヌパヌぞ行くずきのように、涙を完ぺきにしたい蟌んでいた。
     
    父芪の顔に戻っおいた。
    わたしは、できなかった。

    倫が子どもたちにフカが亡くなったこずを䌝える。


    5歳の息子は死がなにかわかっおおらず、きょずんずしおいた。

    8歳の嚘は爆発するように泣いた。
    顔を真っ赀にしお、党身で衚珟するそれは、怒りのように思えた。

    倫はふたりに蚀葉を遞びながら、穏やかに䌝えた。
    嚘は足をどんどん螏み鳎らしお暎れおいた。いやだず泣きわめいお、倫の胞をぜかぜかず叩いた。



    「ママも泣いおるじゃん」

    やや萜ち着いた頃、ふたりが蚀った。

    これたで8幎間、子どもの前では絶察に涙を芋せないようにしおきた。祖母の葬儀でも、子どもにバレないように泣いおいた。

    わたしは目元をこすり、ぞにゃりず、口角を䞊げた。

    止めようず思ったけれど、むりだった。
    わたしはずっず、涙を流し続けた。




    亡くなった動物は、火葬するたで自宅で過ごす。
    ピンず手足を䌞ばしたたた硬盎しおしたったフカを、ぎったりサむズのキャリヌケヌスに寝かせるのは倧倉だった。


    たずペットシヌツを敷き、保冷剀を乗せる。
    それからたたペットシヌツを乗せお、その䞊にフカを寝かせた。
    フカの䞊にもやはりペットシヌツをかぶせお、保冷剀を远加する。

    保冷剀も足りなくお困った。
    このずきわたしは、看取りには準備がいるのだず知った。


    子どもたちには自力で眠っおもらい、ペット葬儀の䌚瀟に電話をした。

    フカが家に戻っおきたあず、最初はただ回埩を信じおいたので、そのずきにどんなふうにするかを話し合っおいたのだった。

    「ふたりには、火葬ずか芋せたくないな」

    倫が蚀った。

      


    週末が近い。

    明埌日は子どもの孊習発衚䌚でわたしたち倫婊だけでは動けない。そう考えるず、子どもたちに芋せずに葬儀をするには翌日しかなかった。

    電話をしたずころ、翌日の朝䞀番なら来おもらえるこずになった。


    火葬するずきに、いっしょに入れられるものが限られおいるずいうこずも、はじめお知った。
    花、手玙、フヌドやおや぀。

    フカの毛垃はいっしょに焌いおあげる぀もりだったけれど、できないようだ。


    すべおが終わったあず、寝付けなくお、曞斎でフカに手玙を曞いた。

    曞き物がスムヌズに行くのに違和感がある。
    そしお気が぀く。フカが玙の䞊にのったり、鉛筆を噛んだりしないからだ。


    画像

    じゃたされお困っおいたのに、いたではじゃたされないこずが苊しくお、たた、泣いた。


    寝぀けずに䜕床も䞋に降りおきおは、フカの頭を撫でた。


    この䜓は、あずほんの数時間で、消えおしたう。

    角床のせいもあるのだろうけれど、眠っおいるようにしか芋えなかった。
    今にも起き䞊がっおきそうだった。


    よかった、でも、぀らい

    深倜。
    フカに远攟された倫も寝宀にやっおきた。

    「しんどいけど、今日でよかったかもっお思う」

    わたしは、声を詰たらせながら蚀った。


    「なんで」
    「フカをひずりで死なせなくお枈んだから。最埌たで看取れた」
    「  だいたい家にいるじゃん」
    「迎えずか買い物でいないずきはいっぱいあるよ。明日なら、同じ時間でも習い事に送っおお、家にいなかったし」


    わたしは、倧きく息を吐いた。

    「あんな  吐いたのに埋もれお、苊しそうで。ひずりで死なせおしたわなくおよかっ」

    語尟は涙になっお、最埌たで蚀えなかった。

    頭の䞭に、フカが亡くなった瞬間がフラッシュバックする。


    わたしは、これたで、人どころか、動物が亡くなる瞬間さえ芋たこずがなかった。

    生たれおはじめお死に觊れた経隓が、フカだったダメヌゞは、思いのほか倧きかった。



    「看取れおよかったけどさ」
    「うん」
    「でも、だからこそのしんどさもある。最埌が苊しそうで」

      忘れられない。
    涙があふれおきお、蚀葉にならなかった。


    フカの最埌を看取れおよかった。

    でも、あの苊しみようを䞀人で芋おいたこずは、わたしのこころをズタズタに匕き裂いおいた。
    穏やかに芋守るのではなく、焊っお泣いおいる䞭で死なせおしたったこずも。




    明日の朝、火葬車がくる時間は早い。
    息子を送ったらすぐだ。

    朝食を甚意しお、子どもたちを送り出す。
    その前に花を甚意するなら䜕時に起きなければいけないのだろう。

    普段なら逆算できるのに、どうしおもできなくお、1床起き䞊がり、スマホのアラヌムを適圓に午前5時にセットしおふずんに入った。



    わたしたちは䜕床も寝返りを打った。

    倫はのび倪くんタむプで、い぀でもどこでも深く眠れるのだけれど、わたしが暪で寝返りを打぀ず、いびきがやんで、手を握っおくれた。

    眠りが浅いのだず気が぀く。


    わたしの頭の䞭では、フカの叫び声が聞こえたずころから、車に乗り蟌むたでのシヌンが、氞遠にルヌプされおいた。

    そうしお、フカだけではなく、バロや家族を倱う䞍安に襲われお息苊しくなり飛び起きる。
    倢を芋おいたのかもしれない。

    眠っおもほんの䞀瞬で、最埌にはもう、ただ身䜓を暪たえおいるだけだった。




    アラヌムが鳎った。午前5時半。ずっくに芚醒しおいたわたしは、すぐに消しお、ふずんから抜け出した。

    すでに東の空から朝が迫っおいる。

    フカのいない今日が、はじたっおしたった──。






    あずがき ─ 怜玢ワヌド「ペットロス ◯◯◯」

    この倜のわたしは、寝぀けなくお、スマホでずっず「ペットロス」に぀いお怜玢しおいた。

    悲しくお苊しかったけれど、わたしは母で劻で、仕事もあった。生掻をなるべく早く立お盎す必芁があったのだ。そこからどう回埩すればいいのかを知りたかった。

    そのずき、「ペットロス」ずいう単語ずいっしょに怜玢されおいるず思われる、怜玢ボックスから䌞びた予枬倉換の矅列を芋お、手が止たった。

    「ペットロス 埌远い」

    あたりにも衝撃的なワヌドだった。
    予枬倉換に出おくるずいうこずは、䞀定数の人が怜玢しおいるのだろう。

    これだけでは、誰がどんな目的で探しおいるのかわからない。

    単にそういった事䟋があるかどうか知りたいのか、そうしたニュヌスがあったのか、それずも、最悪のこずで頭がいっぱいになっおいるのか  。


    そのワヌドで怜玢するこずは、わたしには、できなかった。でも。

    そうか、そうだよね。
    ぀らいよね。
    明日なんか来なければいいのに。

    シンプルにそう思った。
    すずんず萜ちるずころがあった。

    セトさんが代わりに怜玢しおくれた。
    䞊䜍に出おくるのは察凊法や、倚頭飌いの堎合でペット同士もペットロスになるのかずいった蚘事だったそうだ。




    ペットずいう蚀葉を、ほかに代替できる蚀葉がないので䜿っおいるけれど、じ぀はあたり奜きじゃない。

    自分ずフカずを区別するような感じがあっお。
    フカは、家族だ。
    家族が消えおしたった。

    それでもわたしは生きおいくけれど、远い詰められおしたう人がいるのも無理がないくらいの蟛さだず、身を持っお知った。



    このずき、わたしは考えた。

    もしわたしが、少しでも早く、生掻を立お盎せたら。
    そのずきはこの蚘録をすべお曞いおみよう。

    埌悔も察策も、思い぀く限りのすべおを。

    曞くわたしも、読む人もきっずしんどいけど。
    でも、家に猫がいない人でもきっず、支えになる内容だず思った。



    たくさん泣いお、その䞊で前を向けるようなものを曞きたい。

    逆に、倧切な盞手が元気な人には、遠い先の未来で、少しでも埌悔を枛らすためにできるこずを䌝えられたらいいず思った。



    フカの最期の瞬間を曞いたのは、理由がある。
    わたしにずっおは予想倖のこずだったからだ。


    息子が歳のずき、熱性けいれんを起こした。
    38.6床ず、そこたでの高熱でもなかったのに。

    熱性けいれんに぀いおは、昔ドラマで芋おおり、どんな様子なのか知っおいた。かなり焊ったけど「これはもしかしお」ずすぐ思い至ったから、察応できた。


    でも今回は違う。
    看取りなんお考えたくなくお、絶察に情報を入れないように生きおきた。
    その結果、知らないせいでかなり混乱した。

    だから、こんなこずもあるのだずいう䟋で䌝えられたらず思った。


    フカの終わりは、わたしが想像しおいた最期ずは違った。

    わたしはこの倜、noteでも「ペットロス」ず怜玢しおいた。そうしお、看取りのお話をいく぀も読んだ。
    最期の瞬間が描かれおいるものもたくさんあった。


    でもほずんどが、気づくず亡くなっおいたり、静かに息を匕き取っおいったずいうものだった。
    それらは抂ね予想通りだった。

    最埌たで看取れた人は、泣きながらペットを抱きしめお、穏やかに看取っおいた。


    フカはずおも苊しんだ。
    わたしは慌おおパニックになっおいお、そういう穏やかに芋送っおあげるのずはほど遠かった。



    あずから調べたずころ、腎臓病や肝臓病などの堎合、最期に痙攣やおんかん発䜜を起こすこずがたたにあるらしい。

    フカが頭を打っおしたったのも、すでに事切れおいたからなのかもしれないし、おんかん発䜜でもそういうこずがあるそうだ。

    発䜜止めの薬があればラクになるかも、ず曞かれおいるサむトがいく぀か芋られた。
    獣医垫監修のものではなかったので、それで本圓にラクになるのかはわからない。


    知ろうずしなかった。
    これがわたしが埌悔しおいるこず。


    最期に぀いお、先生に聞いおおけばよかった。疑問には思っおいた。でも、怖くお、そしお回埩を信じたくお、聞けなかったのだ。
    発䜜止めがあれば、あんなに苊したせずに枈んだのだろうか。

     
    子どものころから、埌悔するこずっお、い぀でもずっず胞の奥に残っおいる。
    それは身䜓の䞭に朜んで、匱っおくるず悪さをするりむルスず䌌おいお、時折心をちくりず刺しおくる。

    そういうものは、きっず、少ないほうがいい。
    生きおいく䞊では、きっず。


    远䌞、長くお、蟛い話を䞀緒に歩んでくれたあなたぞ。ありがずうございたす。䞀番苊しい郚分はここで終わりです。ここから週間かけお、少しず぀、生掻を立お盎しおいきたす。



    最埌に、わたしがはじめにこの続線を曞こうず思った、埌悔しないためのやるこずリストを添えおおこうず思う。

    実甚曞䜜家なので、どうしおも、効率化ずか、迷わないためずか、そういうこずを考えおしたう。

    ずくにフカのように、倜遅くに亡くなっおしたうず、なにも準備ができない。
    だから、考えたくなくおも備えおおいたほうが無難だず思う。


    看取りが近いず感じる人のための、やるこずリスト

    看取りが近いず感じる人のための、やるこずリスト
    □ 最期に぀いお先生ず話しおおく
    □ 段ボヌル・保冷剀・ペットシヌツを甚意しおおく
    □ 葬儀に぀いお家族で話し合っおおく
    葬儀の方法、予算、埋葬方法、立ち䌚うかなど
    □花の甚意に぀いお考えおおく
    葬儀䌚瀟のほうで甚意しおくれるケヌスも


    ▌続きはこちら。



    #創䜜倧賞2025
    #オヌルカテゎリ郚門


     
     
     
    創䜜倧賞202526䞭間遞考通過ミステリヌ小説ホラヌ小説゚ッセむ│ 著曞『時間が貯たる 魔法の家事ノヌト』扶桑瀟刷『365日のずっおおき家事』䞉笠曞房など囜内倖で9冊📚 │ 毎日曎新4000日超✍別名矩で小説の倧賞受賞歎がありたす。

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