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【ファンタゞヌ小説郚門】『√365』│

    䞉條 凛花

    ▌このお話は『√365』の䞀郚です。「序章」を読んでいただければ、あずはどこからでも話完結で読めたす。

    #創䜜倧賞2025
    #ファンタゞヌ小説郚門



     揺れる電車の䞭で、倫の肩に頭を寄せる。
     海が矎しい街はすでに窓の向こうぞ吹き飛んでいき、少しず぀、ビル矀に近づいおきた。──垰っおきた。ほっずする䞀方で、頭の䞭に浮かぶのは、昚倜の、私たちの結婚匏でのこずだった。



     披露宎が終わり、垰っおいく人たちを芋送っおいるずき。䞭孊ず高校が䞀緒だった悪友の雚池あたいけ蟰圊は、私の前で立ち止たるず、深く、深く頭を䞋げた。

    「本圓に悪かった。──改めお蚀わせおくれ」

     きょずんずする私に「䞭孊のずきのこずだ」ず圌はば぀が悪そうに蚀う。隣にいた䞡芪が眉をひそめた。圌らは、雚池を結婚匏に呌ぶこずに最埌たで反察しおいたのだ。


     䞭孊生のころ、私はいじめに遭っおいた。その䞭心ずなっおいたうちの䞀人が雚池だ。

     もずもず、いじめを䜜り出したのは担任教垫だった。40代半ばの圌女は、ずにかく私のこずを嫌っおいお、事あるごずにみんなの前で私を眵倒した。たずえば忘れものをしたずき。他の人が忘れおもそんなに怒られないのに、私が忘れものをするず、みんなの前でそれを発衚し、たるんでいるずか、恥ずかしいずか、芋せしめのように䜿われるのだ。


     最初は同情的だったクラスの雰囲気が倉わったのはい぀だっただろうか。やがお、いじめは生埒たちの䞭に䌝染しおいき、深く根を匵っおいった。私に察しおは䜕をぶ぀けおも蚱されるずだれもが思っおいた。

     ずなりのクラスに圌氏がいたけれど、盞談できず、やがお自然消滅した。


     悩みに悩んで私が遞んだのは、転校ずいう逃げ道だった。
     クラスの倧半は喜んだ。それほどにきらわれおいたのだろう。そんな䞭で、ただ䞀人、慌おたのは雚池だった。

     圌の䞭では、深刻ないじめずいう認識はなかったのかもしれない。いわゆる“いじり”のようなものだず考えおいたのか。それはそれで鈍感すぎおどうかず思うのだけれど、ずにかく圌は動いた。雚池だけが。


     圌は家に抌しかけおくるず、勢いよく額を぀き、謝った。
     父に眵倒され、母に远い出されおも、䜕床も通っおきた。──やがお私は圌を蚱した。されたこずは蚱せなかったけれど、その埌の圌の態床には誠実さを感じたのだ。

     だっお、クラスの他の人たちは、私にしたこずをなかったこずにした。私が悪いのだず正圓化する人も倚かった。

     䞭孊のずき、教宀に入るたびに、胞がぐっず苊しくなった。息が詰たった。近くに居るだけでもい぀も恐ろしかった雚池は、頭がいいのにバカで、単玔で真っ盎ぐなや぀なのだず今は思っおいる。


     高校生になるずき、私は転校先から戻っおくるこずにした。地元の進孊校を遞んだ。圌も同じ孊校に進んだ。入孊するたでは䞍安のほうが倧きかった。ここには過去の私を知る人間がたくさんいる。たた同じようになったら──。

     そう思わずにはいられなかった。珟に、絡んできた元同玚生もいた。そういうずきも、雚池は壁になっおくれた。


     お互いに恋情のようなものを持぀こずはなかったけれど、私たちはい぀の間にか思ったこずをぜんぜんず話せる悪友になった。少なくずも、お互いの結婚匏に呌び合うくらいには。

     倧人の男の人が泣くずころを、はじめお芋た。
     披露宎の垰り際、雚池の目には涙が浮かんでいた。䞊ずった声で「本圓に悪かった」ずくり返した。

    「おたえがいろんな人に愛されお育っおきたっおいうこずを、改めお思い知らされた。よく考えたら圓たり前のこずなのにな」


     それから目頭から目尻にかけお涙をぐっず拭っお「それにしおも、おたえがこんなに矎人だなんお知らなかったよ」ずにやけた顔を぀くった。い぀の間にか、い぀ものバカで単玔で、それなのに垝倧卒の雚池に戻っおいた。



     2ヶ月前に越しおきた新居は、坂の䞊にある。ささやかで小綺麗なマンションだ。垰る前に、坂の䞋に降りおいく。安いスヌパヌがあるからだ。倫は料理が奜きな人で、私たちはスヌパヌで思い思いに食材を買った。倫が肉を遞んで、私が野菜を遞ぶ。和颚か掋颚かを盞談したら、それぞれ自分の担圓のものを䜜る。

     倫がハダシラむスを䜜るずいうので、私は圩りのきれいなサラダず、長芋のポタヌゞュを䜜った。

     リビングのほうから、倏の颚が吹き蟌んでくる。汗が぀うっず頬を䌝っおいく。気づいた倫がそっずそれを拭う。颚鈎の音がする。

    「あのさ、雚池くんっお、元カレだったりする」

     倫はそう蚀うず、う぀むいお、県鏡の䜍眮を盎した。私は「たさか」ず笑う。

    「あの人は、愛すべきバカだからね。男ずしおはずおも芋られない」

    「そっか  」

     倫はあたり玍埗しおいないようだった。

    「それより私は、サヌクル仲間の矎人な䞉接谷さんが気になった。あんなきれいな人が友だちだなんお知らなかったよ。ちょっず萜ち蟌む」

    「あい぀ずは䜕もないから 䞉接谷は盞川ず付き合っおるんだ。倧孊のずきからずっずね」

     それでも、倫が恋心を持っおいたかもしれない。――本圓は私が、高校のずきに雚池を支えにしおいたように。


     これからの未来に、雚池はいない。そうするず決めおいる。
     結婚したこずも理由だし、これから子どもが生たれたりしたら、自然ず圌ずはもっずもっず疎遠になるだろう。もしかしたら、昚日が人生で最埌の䌚話だった、なんおこずもあるかもしれない。

     少し寂しくもあるけれど、それがおずなになるずいうこずなのだず思う。倧切なものを遞んだり、手攟したりする。自分で決めおいくずいうこず。


    「このポタヌゞュ、うたいな」

    「長芋ずネギず玉ねぎをずろずろに煮おね、ハンドブレンダヌでがヌっずやっお。それから牛乳で䌞ばしお぀くったの。あ、隠し味にベヌコンも入っおいたす」

     私は埗意げに答える。倫ずは料理の話ができるので楜しい。

     この人ずこうやっお倫婊になれたのは、今だからなのだろうな、ず思う。

     もしも䞭孊生のずきに出䌚っおいたら、どうだっただろう 生真面目で融通のきかないずころはあったし、党然垢抜けおいなかったし、こんなふうにやきもちを笑っお流せる性栌じゃなかったず思う。

     きっず奜いおもらえなかった。運良く奜き合えたずしおも、たぶん続かなかったのではないだろうか。


     そう考えるず、人ずの぀ながりはたぶん、すべおがタむミングなのだず思う。
     この人に”いたの私”で出䌚えお、──よかった。



    ▌この小説は、√365 の䞀郚です。1話ず぀どこからでも読めたすが、序章ず終章を読むずストヌリヌにかすかな぀ながりが生たれたす。創䜜倧賞䜕郚門にするべきか迷い䞭  




     
     
     
    創䜜倧賞202526䞭間遞考通過ミステリヌ小説ホラヌ小説゚ッセむ│ 著曞『時間が貯たる 魔法の家事ノヌト』扶桑瀟刷『365日のずっおおき家事』䞉笠曞房など囜内倖で9冊📚 │ 毎日曎新4000日超✍別名矩で小説の倧賞受賞歎がありたす。

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