メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

倏の甘露

    䞉條 凛花


    氎無月の蒞し暑い午埌。
    空䞀面を芆うミルク色の雲を芋おいたら、ぜ぀んず錻先に冷たいものが萜ちおきた。私は慌おお走り出す。振り返るず、ずうっず遠くの雲は、底がたっ黒になっおいた。

    なんずか無事にたどり着いた。息を切らしお扉を開け、重たいランドセルを眮く。
    ひず息぀くず、急に、ほおにもじゅわっず汗がにじみ出す。

    「おかえり」

    埅ち構えおいたかのように、目の前にグラスが差し出された。
    䞉和土の斜め前には台所があっお、そこからにゅっず母が手を出したのだ。

    限りなく透明に近い、琥珀色のゞュヌス。ふわっず青梅の爜やかな銙りが立ち昇る。

    ただ飲んでもいないのに、口の䞭たでぜっず甘くなった。

    手枡されたグラスの衚面には、結露した氎の぀ぶがたっぷり぀いおいお、手をぬらす。ひず口飲むず、舌の䞊に柄んだ甘さが、銙りがぶわっず䞀気に広がった。

    ほんずうはちびちび倧切に飲みたい。でもがたんできなくっお、喉を鳎らしお䞀気に飲み終える。

    からん、ずむなしく氷が鳎ったずきの淋しさず蚀ったら。


    ─❅─


    結婚しおから、毎幎梅シロップを挬けおいる。

    足の螏み堎もない郚屋で途方に暮れおいた新婚時代も、キッチンの䞊に積み重なったものをざざっずどかしお芋なかったこずにしお、ぷちぷちず梅のぞたを取っおいた。氷砂糖を入れるずきのからんずいう柄んだ音も、青梅のにおいもなにもかもが倧奜き。

    けれどもここ数幎、私が梅シロップを぀くっおいるわけではない。
    ふたりの子どもたちが奪い合うように、けんかをしながら挬けおいる。どっちの梅が倚いずか、氷砂糖が倚いずか、些现なこずでぶ぀ぶ぀文句を蚀っお睚み合う。
    私はその様子をいらいらしながら芋おいお、なんずか口を出さないように深呌吞をくり返しおいる。


    今幎もふた壜、挬けた。

    ふたりずもあっずいう間に小孊生になった。毎日毎日、私が子どもだったずきよりずっずずっず暑い䞭をがんばっお歩いお垰っおくる。
    梅シロップができたら、私もやっおみようず思うのだ。「おかえり」ず差し出す甘露を。




    画像

    #ビンゎ゚ッセむ

    ▌月はこのキヌワヌドの䞭から゚ッセむを曞いおみたす。

    ⚠質問があったので、゚ッセむに限定せず、日蚘・小説・短歌・郜々逞・むラストなどなんでもOKずしたした 広く䜿っおいただくタグになったので、䌁画名はそのたた「ビンゎ゚ッセむ」にさせおください♪


    ▌゚ッセむの蚭蚈図・発想法をたずめたした。


     
     
     
    創䜜倧賞202526䞭間遞考通過ミステリヌ小説ホラヌ小説゚ッセむ│ 著曞『時間が貯たる 魔法の家事ノヌト』扶桑瀟刷『365日のずっおおき家事』䞉笠曞房など囜内倖で9冊📚 │ 毎日曎新4000日超✍別名矩で小説の倧賞受賞歎がありたす。

    あなたぞのおすすめ