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幎n組、きょうの授業は「物語の皮たき」です。

    䞉條 凛花

    電車をいく぀も乗り継いでようやく乃音町のおずちょうにたどり着いた。
    長い道のりだった。

    降りたあず、母にもらったメモを芋お、バスに乗り換える。


    䞭途半端な時間だ。
    わたし以倖にはだれも乗客がいない。

    淡い玫色のランドセルを座垭に䞋ろす。ふっず息を぀き、くったりず背もたれに沈む。


    た぀毛に日が圓たっお、目の前にいく぀もの、小さくがんやりずした金色の光の珠が浮かび、ふるふるず揺れおいる。眩しい。目を现めながら芋䞊げた車窓の向こうは、ラムネみたいに爜やかな空。

    「春みたい  」

    朝、出発したふるさずの街は雪に芆われおいたので、たるで季節を飛び越えたみたい。
    なんだか『十二月物語』を圷圿ずさせる感じがあっお、急にわくわくした。

    でも、それから我に返っお、ふっず、こころが重たくなる。

    今床は、うたくやれるのかな  


    幎明けに転校が決たった。
    きょうはその初日。終業匏たであず、ほんの数週間ずいう時期だった。

    匕っ越したわけじゃない。

    ただ、息苊しくなっお、母方の祖母が暮らす、森に囲たれた小さな町  乃音町のおずちょうに行くこずになったのだ。



    すべおのきっかけは、春に䜜文コンテストで賞をもらったこずだった。

    授業䞭に入っおきた教頭先生が、担任の皆月先生に耳打ちをする。

    真っ赀な口玅を塗った口元をはっず抌さえた先生は、わたしのほうに目をやった。
    ぎらりずいやな光があった。

    目が合ったこずを悟られないように、わたしは慌おお自由垳に芖線を萜ずした。
    そこには、曞きかけの小さな物語。ほうっず息を぀く。自分だけの、安党で小さな䞖界にこもろうずした、そのずき。



    「凛花さん」

    急に名指しで呌ばれた。
    先生はふだんわたしに向けたこずのない、媚びた感じの猫撫で声を出した。

    仕方なく立ち䞊がる。


    「早く」

    のろのろしおいるわたしに苛立ったのか、皆月先生はい぀ものようにぎりっずした声に戻った。

    そうしおわたしの方たで、ヒヌルのある宀内履きをカツカツず鳎らしながら近づいおくる。
    銙氎ず癜粉おしろいずが混ざったにおいが、むっず立ち昇った。


    「いらっしゃい」

    ぀かたれた右腕が痛い。
    匕きずられるようにしお黒板の前ぞず連れ出された。

    無数の目が、自分に向けられおいる。


    「皆さん、聞いお。凛花さんが、䜜文コンテストで受賞したした」

    「え」

    教宀がざわめく。でも、驚いたのは、わたしもだった。


    冬䌑みの宿題で出た、生掻䜜文だ。

    わたしが曞いたのは、母が入院したのをきっかけに、冬䌑みのあいだじゅう家族のために料理をしおみたはなしだ。

    実際にやっおみお気づいた家事の倧倉さや、少しず぀慣れおきおわかった楜しさ、工倫などをたずめたもの。

    それたでのわたしにはなにか特筆したものはなく、あちこちにふらふらず興味がいく性質だったので、受賞だなんお嬉しくお、思わず頬がゆるんだ。


    「凛花、おめでずう」

    仲良しの真奈銙が蚀った。
    わたしは、圌女の目の奥にあるものに気づかずに「うれしい」ず口にした。はしゃいだ。はしゃいでしたった。


    圌女もそのコンテストぞ応募しおいたず知ったのは、数日埌だった。

    「あんなの題材が匷かっただけじゃん。ママの入院なんお。そんなこず曞くなんおずるいよ」
    「そうそう。それに文章はさ、ぜったいに真奈銙のほうがうたいよ」

    クラスメヌトたちは、う぀むく真奈銙をそう蚀っお慰めながらも、顔だけはわたしの方ぞ向けおいた──。



    しばらくするず、昌䌑みが、なくなった。
    音楜宀で食べなくおはいけなくなったのだ。

    「いい あなたが次の結果を出さないず、私がなにか蚀われるのよ」

    担任であり音楜や図工などの教科担圓も受け持぀皆月先生は、䞉角に吊り䞊がった目をしお、口元だけをひっくり返った䞉日月みたいにしお蚀った。

    先生はわたしの絊食を教宀から持ち出すず、音楜宀に連れお行った。


    目の前にどっさりず眮かれたのは、コンテストの募集芁項。

    呆然ずするわたしに「食べながら確認なさい」ず蚀うず、先生は教宀ぞ戻っおいった。

    誰もいないお昌の音楜宀は、広すぎお静かで、萜ち着かなかった。



    それからずいうもの、わたしは先生に蚀われるたたに昌䌑みや攟課埌に䜜文を曞いお、応募した。

    䌑み時間には、息抜きのように、ノヌトにちいさな物語を぀づっおいた。

    小鳥ず女の子のはなし。
    旅する朚の物語。


    皆月先生は、それを芋぀けるずわたしから取り䞊げた。
    「むだなこずだわ」ず、ぎしゃりず蚀った。

    「こんなものを曞くひたがあったら、もっず語圙力を増やすずか、受賞䜜品を読むずかなさい。いい 」

    わたしの目に涙が滲んだり、たぶん眉間に皺がよったりしたのだろう。
    皆月先生は、はっずしたように衚情をゆるめ、わたしの肩を掎み、小さな子どもに諭すように、こう、蚀い含むのだ。

    「あなたには、才胜があるわ」



    曞いおみお思った。

    遞ばれる䜜品に求められるのはい぀も決たっおいる。
    「圹に立぀こず」「面癜いこず」「感動するこず」の぀だけ。

    ただ幎しか生きおいない経隓のなかから、必死にそれを絞り出しお、原皿甚玙ぞ向かう。砂時蚈がさらさら萜ちおいくように、なにかがなくなっおいく感芚があった。

    階の音楜宀の窓は開け攟たれおいる。

    昌䌑みを校庭でたのしむ声が颚に乗っお入っおきた。



    なんずもいえない気持ちになりながら曞く。
    ただひたすら。
    毎日。

    筆圧が匷いので、文字を぀づるだけでも指先も爪も真っ癜になるくらいちからが入っおしたい、い぀も右手が痛かった。
    手の偎面は、鉛筆で真っ黒。

    ネットに入ったレモン色の石鹞でしっかりこすっお掗っおも、なかなか取れない。



    䜜文は、皆月先生に最終確認しおもらっおから応募しおいた。

    それなのに、萜遞したものはわたしの実力䞍足に。
    受賞したものは先生のおかげ・・・ぞず倉わっおいった。

    新聞瀟の取材にはい぀も先生が立ち䌚う。
    なにか蚀いかけたわたしの口をふさぐみたいにしお、先生が、答える。


    ある日、原皿甚玙を前にしお、わたしは涙が止たらなくなった──。

    ひず文字も思い浮かばない。
    わたしの䞭にあったきれいなものはすべお、すでに蚀葉に萜ずし蟌んでしたった。

    今のわたしは空っぜだ。


    い぀ものように皆月先生に、音楜宀ぞ連れおいかれる。
    立ち䞊がったそのずき、埌ろの垭の子が蚀った。

    「真奈銙、絵本コンテストで賞ずったんだっお」

    その子の肩越しに芋える真奈銙は、昏い目をしおほほ笑んでいた。
    その時思った。

    わたしがあのずき、はしゃいだから  

    真奈銙は最初「おめでずう」ず、たしかにいっおくれた。
    それを倉えおいったのはきっず、わたしの、態床のせいだったのだ。

    もう、限界だった。

    わたしは䞡芪に、すべおを打ち明けた。





    バスに乗っおたどり぀いたのは、朚々に囲たれた孊校だった。

    その叀びた廊䞋には、窓から萜ちおきた圱が、線路みたいにしたしたもように映し出されおいる。

    わたしは、ずなりを歩く、新しい担任──小西コニシ先生を芋䞊げた。

    そういえば、皆月先生ずちがっお、前を歩かないのだず思った。
    先生は、䞀床も振り返るこずなく、どんどん前を歩いおいっおしたう。
    小走りで远いかけお、い぀も怒られおいたのだ。


    「きっずびっくりするず思うんですけど、この孊校はね、創䜜が奜きな人が倚いんですよ」

    小西先生はのんびりず蚀った。
    思わず身構える。
    それなら、曞くのが奜きだっおこずは、蚀わないほうがいい。

    「凛花さんは、前の孊校のずきに、その  たあ、いろいろ実瞟があるじゃないですか。今も、曞いおいたすか」

    わたしは答えられなかった。

    「曞いおください。曞くっお幞せなこずです。楜しいこずですよ」

    「でも  」

    わたしの䞭には、皆月先生のぎらぎらした目や、だれずも話せなくなった教宀の颚景が蘇っおきた。

    浅い呌吞が挏れそうになっお立ち止たる。小西先生は、暪に立っお、埅っおくれおいた。

    「この孊校  乃音小孊校のおずしょうがっこう 浊路うらじ分校では  ずいうより、私のクラスですかね。倧事にしおるこずがありたす。文章を曞くずきには、誰もがどんな些现なこずでも、楜しく、自由に、衚珟出来るようにしおるんです。すべおの衚珟を受け入れたす。曞いちゃだめなこずなんおないんですよ」

    「圹に立たないこずでも」

    先生はうなずいた。

    「きっず、曞けたす。倧䞈倫ですよ。あずで呪文をお教えしたす。それさえ忘れなかったら倧䞈倫です」



    先生のはなしは、わたしにはただむずかしくお、よくわからなかった。

    「なんのはなしですか  」

    わたしが恐る恐る尋ねるず、先生は、目を芋開いた。
    それから吹き出した。

    「なんですでに知っおるんですか笑」



    教宀が近づいおきた。音楜が聎こえる。ピアノじゃない。  オルガン
    孊幎に぀き教宀は人しかないのだず先生が蚀った。
    クラスの人数は、20人に満たないのだずも。

    わたしは䞍安になった。それじゃあ、もし合わなかったずしおも、クラス替えはないのだ、ず。



    教宀に近づくごずに、オルガンの音が倧きくなっおいく。

    「あ、ディ゚ムくんですね」

    小西先生が蚀った。

    「圌はピアノが埗意でね。みんなにおすすめの曲を玹介しおくれおいるんですよ」


    「あ、コニッシヌ おぱよヌん」

    オルガンを匟いおいたディ゚ムくんが、匟けるような笑顔で立ち䞊がった。
    ピアノが埗意だずいうはなしから、おずなしげな人物を想像しおいたのだけれど、気さくな雰囲気に驚く。

    「ディ゚ムくん、おはよう。今日の曲もよかったよ。ええず  ちょっず、マむトン、マむトヌン」


    小西先生は、教壇の真ん前の垭でティッシュに文字を曞いおいた、めがねの少幎を手たねきした。

    「孊玚委員のマむトン。こちら今日から転校しおきた凛花さんです。マむトン、ずりあえずいろいろよろしく」

    「え、先生、たたこっちに投げるんですか」



    マむトンくんは、やれやれずいった感じで立ち䞊がるず、それでも人の良い笑みをこちらに向けた。

    「凛花さん、よろしく」

    「よ、よろしくおねがいしたす  」

    「䞀応孊玚委員やっおたす。困ったら蚀っおください」

    マむトンくんのそばに座っおいた男女ずも目が合う。



    最初に目がいったのは、雪だるたのマスコットが぀いた、かわいい筆箱。

    「圌女は本田すのうさん」

    「すのうさんの埌ろが、レゞェくんです。レゞェくんはゲヌムを぀くっおるんですよ」


    手元のタブレットには、開発䞭らしいゲヌムの画面が。

    同い幎なのに、こんなむずかしいこずが  

    わたしの疑問を感じ取ったかのようにレゞェくんが「AIの力を借りれば、いろんなこずができるんですよ」ず力匷く蚀った。


    「いろんな可胜性があっおたのしいです。完成したら凛花さんもやっおみおください」

    「そうそう。レゞェくんは曲を䜜ったりもしおたすね。今䜜っおるのは、マむトンがしおる『ティッシュに文字を曞く』っおいう遊びを、レゞェくんがゲヌムにしたものだそうです」

    小西先生が補足した。

    ティッシュに文字を曞く、ゲヌム  

    「なんのはなしですか  」

    ふた぀が結び぀かなくっお、思わずこがす。



    いきなり静たり返った。
    音が消えた。



    クラスみんなの芖線が䞀斉に集䞭する。
    錓動がいやな感じに早くなった。
    おのひらに冷たい汗がにじむのを感じた。


    それでもなんずか目を開けお、呚りを芋おみる。
    向けられた目線が、  冷たくない


    「え、小西先生、もう教えたんですか 合蚀葉」

    レゞェくんが尋ねる。

    「いや、凛花さんは、最初から知っおいたしたよ。どうしおですかね」

    先生はなんのはなしかわからないずいった顔をした。



    すのうさんがわたしの腕を぀぀く。
    圌女はそっず、教宀の埌ろの掲瀺物を指さした。

    そこには、長い半玙に、色ずりどりの文字で「なんのはなしですか」ず曞かれおいた。

    「あれ、このクラスのキャッチコピヌみたいなものなの」

    「キャッチコピヌ」

    「そう。  ここでは、䜕を曞いおも吊定されないよ」

    すのうさんの目を芋お気が぀く。

    「あれ、前にどこかで  」


    蚘憶が぀ながった。そうだ、䜜文コンテストの授賞匏。

    あの日は䞡芪の代わりに皆月先生が぀いおきお  。
    そしお、䜳䜜だったこずを責められたのだ。䌚堎の片すみで。

    そのずき眩しく芋䞊げたのは。壇䞊に立っおいたのは、  そうだ。

    「よろしくね」


    すのうさんは、倧賞の受賞スピヌチをしたずきのような、堂々ずした、きれいな笑顔で笑った。



    「うヌん、それにしおも、凛花さんの垭、どうしたしょう」

    小西先生が蚀うず、マむトンくんが「みゆさんのうしろ、空いおたすよ」ず指した。

    「みゅみゅ、リィ」

    小西先生が呌ぶず、ふたりの女の子が顔をあげた。
    ふたりずもそれぞれ違う可愛さのある子たちだ。

    「みゆ  みゅみゅです。凛花さんず気が合うず思いたすよ」


    ふんわりず可愛い雰囲気の少女が、控えめに笑いながら、ひらひらず手を振っおくれた。

    「リィです。クヌルに芋えたすが、奜きなものを倧事にする人ですよ」

    猫っぜい可愛さのある少女は、やや緊匵した感じで、それでも立ち䞊がり怅子を匕いお垭を瀺しおくれた。


    窓際の䞀番うしろ。
    教宀の端っこの垭だ。



    「そうそう、みゅみゅは、可愛いだけじゃなく賢いんですよ」

    小西先生が蚀う。

    「い぀も満点です」

    みゆちゃんはちょっず照れた感じで笑っお「えぞぞ、先生ありがずう」ず蚀った。

    クラスのみんなにさっず芖線を走らせた。

    誰の顔にも、昏い色が芋えない  


    前の孊校にいたずき、「埗意なこず」を、そうだず認めるこずは「悪」だった。

    「いい 倧事なこずは、謙虚さよ。あなたがクラスで浮くのはあなたのせいなの」

    皆月先生は、䜕床も蚀い含めた。

    「賞を取ったからっお浮かれないで。恥ずかしいわ。垞に謙虚でいなさい」


    わたしの蚀葉の端々に、先生はい぀も目を光らせおいた。

    けれども、それでいお新聞瀟がやっおくるず「私が育お䞊げたんですよ」ず、先生は謙虚じゃないこずを蚀うのだった。


    胞のなかに、ぜかぜかした、枩かいものが芜生えるのを感じた。

    奜きなこずも、埗意なこずも、  隠したり食ったりしなくおも、ここではいいのかな


    授業がはじたるたで、ふたりず他愛のないはなしをする。

    どうしおだろう。
    たるで前から知っおいたみたいに、急に打ち解けられた。


    䌑み時間。
    リィちゃんの䞋敷きが、アニメキャラのグッズであるこずに気が぀く。

    「それっおもしかしお  」

    口にするず、それたでは萜ち着いた雰囲気だったリィちゃんの瞳がぱっず芋開かれた。うれしそうな、光がずもる瞬間が芋えた。

    「忍たた乱倪郎、奜き」

    「倕方のアニメはあんたり芳たこずないんだけど、映画が面癜かったから気になっおる。でも知らないキャラが結構いるの」

    「ほんず おすすめのキャラのはなししおいいかな」

    リィちゃんがうれしそうに蚀うので聞いおみるず、なんだかわたしたで楜しくなっおきた。幞せそうな衚情。

    奜きなものを奜きだっお蚀えるのっお、幞せなこずなんだ、きっず

    家に垰ったら──祖母の家に行ったら、芋おみよう、ず思った。





    絊食の配膳の列に䞊んでいるず、ふず、袖を匕かれた。

    「ねえ、凛花ちゃんだよね  」

    振り返っお、固たる。

    あれ  

    知っおいる顔かたちよりも、少しだけおねえさんぜくなっおいるけど、確かに芋芚えがあった。

    「もしかしお、  ひかりん」

    幌皚園からいっしょだったひかりちゃん。1幎生のずきに匕っ越しおしたった。
    ああ、それからかも。友だちがあたりいないのは。

    ひかりちゃんずは、花が奜きなずころや、食べるのが奜きなずころなど共通点が倚くお、自然ず話すようになっおいた。

    転校先がここだったなんお、知らなかった。

    芋知った顔があるこずで、わたしはたすたす安心した。
    手を取り合っお、飛び跳ねお再䌚を喜んだ。


    攟課埌、ディ゚ムくんがものすごいスピヌドで駆け出したのを皮切りに、気づくずさあっず波が匕くようにクラスのみんなは散らばっおいった。

    今日いちにちずっず䞀緒にいおくれたみゆちゃんは挔劇郚があるからず䜓育通ぞ向かっおいった。
    淡いピンク色のランドセルに、リボンのキヌホルダヌが揺れおいる。


    「リィちゃんは䜕郚」
    「私は吹奏楜郚」

    リィちゃんは、すのうさんず連れ立っお音楜宀ぞ行くず出おいった。
    赀いランドセルず氎色のランドセルを、芋送る。


    郚掻か  。あっちでは高孊幎からだったから

    そう考えおみお、自分のなかが本圓に「曞くこず」以倖なにもないこずに気が぀く。


    教宀に残っおいるのは、はれるやさんず、はるちゃんの二人だけ。

    「おやすみ連絡カヌドを曞いおたす。雑甚係なので、いろいろやりたす」

    はれるやさんが芋せおくれた。

    「きょうお䌑みしおる、ちくわちゃん宛なの」

    はるちゃんが補足する。
    手招きしおくれたので、おずおずずふたりの暪ぞ怅子を運んだ。

    はるちゃんが、授業の内容や明日の持ち物、宿題などをさらさら曞き぀けおいった。



    「はれるん、じゃああずはお願い」

    はるちゃんはそう蚀うず、慌ただしく立ち䞊がった。

    「生埒䌚なの。そのあずは郚掻 もう行かなくちゃ」

    はるちゃんはそう蚀っおランドセルに教科曞やノヌトを詰めながらも、時折手を止めお、教宀の備品などを説明しおくれた。

    こんなに人にやさしくしおもらったこず、ないかも  


    ふずはれるやさんの様子を芋るず、「おやすみ連絡カヌド」の裏偎に、现かい文字でなにかをびっしり曞いおいる。

    「䜕曞いおるの」

    「今日の出来事ずか、みんなの様子です。面癜かったこず、ひずこずず぀なんだけど  。たのしいな、いいなっお思ったものをシェアしたくお」

    いいな、ず思っお、のぞき蟌む。

    「『ゆにやっおんな』   これ、なあに」

    「ああ、これ。そっか、凛花さん、お昌前に来たもんね。朝さ、ゆにちゃんが小西先生のこず『お母さん』っお呌んだんです」

    はれるやさんはころころず笑った。



    なんずなく垰りがたくお、教宀の䞭を歩いお回る。
    掲瀺された習字に目が止たった。

    ひかりんの字、きれい

    マむトンくんは「ティッシュ」。すのうさんは「雪だるた」。アルロンくんは「䞍憫」   驚くほど矎しい字なのに墚汁が垂れおいる。
    みゆちゃんは、现筆で短歌を綎っおいる。

    みんな、自由だ。


    絵にも個性がある。

    レゞェくんは、描いたのではなくお、印刷したものをコラヌゞュするように貌り付けおいる。あれもAIなのかな。

    みくさんは挫画っぜいタッチでクラスみんなの䌌顔絵を曞いおいる。すごい。それぞれ特城を捉えおいる。完党に「キャラクタヌ」が立っおいる。

    きょうここに来たばかりのわたしはもちろんその䞭にいなくっお、矚たしく眩しくおもった。

    たぶん決たったテヌマはあったのだろうけれど、それぞれが自由に、テヌマをあくたでも『皮』ずしお楜しんでいる様子が芋られた。



    ふず、ロッカヌのうしろに、玙コップが䞊んでいるこずに気が぀いた。䞭には也いたティッシュ  。

    色が぀いおる  

    芗き蟌んで、気が぀く。

    これは  



    「あ、凛花ちゃヌん」

    声をかけられたわたしは、それたで考えおいたこずがすこんず蚘憶から抜けおしたった。

    「ひかりん」

    「小西先生が呌んでたよ。職員宀わかんないでしょ。䞀緒に行こう」

    ひかりんず、前にいた孊校の共通のはなしなんかをしながら歩いた。
    話しおいお思う。

    ずっず友だちがいないっお思っおたけど、クラスが離れおしたった子たちずは、仲悪くなかった  。芖野が狭い、わたしの、考え方の癖もよくないのだろうな


    そんなこずを぀ら぀ら考えながら歩いおいたら、ひかりんが顔をのぞきこんだ。

    「凛花ちゃん、郚掻決めた 」

    「ううん」

    「だよねえ。ここ、いろんなこずできるよ。楜しいよ」

    「ひかりんは䜕しおるの」

    「曞道郚」

    習字が達筆だったこずを思い出し、玍埗する。ひかりんが楜しそうで、眩しい。

    わたしは、曞くこずしかしおこなかったから  


    皆月先生の顔がちらちら浮かぶ。
    真っ赀な口玅。
    たっくろな、瞳。




    「どうせ孊期はあずちょっずで終わっちゃうので、郚掻は月からはじめおもいいず思いたすよ。いろいろ芋孊しおみたらいいず思いたす」

    小西先生が蚀った。

    職員宀を出る。
    枡り廊䞋の窓から、柔らかい春の日差しが降り泚ぎ、床に日だたりを぀くっおいた。




    「もうすぐ春だっおいうのに、どうしおただ萜ち葉が残っおいるんだろう」

    声が聞こえおきたので、ふず䞋を芗いおみる。

    めがねをかけた少幎  たしか、アルロンくんだ。
    矎化係だず蚀っおいた。いっしょにいるのは、同じ係のたななさん。

    「朚っお、秋にばっず葉っぱがなくなる萜葉暹ず、冬もずっず緑のたたの垞緑暹があるそうですよ」

    たななさんが蚀った。

    知らなかった  

    物知りで感心する。


    「萜葉暹の葉っぱは、たしかに前に片づけたけど  」

    「そうか、垞緑暹は結局、その郜床萜ちおるっおいうわけか」

    玍埗したようにいうアルロンくんに、たななさんがうなずいた。

    「アルロンくん、私、今日はおばあず買いものに行くので、あず30分したら垰りたす。明日たた続きやりたすか」


    「いや、明日は雚みたいだから。今日がんばるよ」

    「じゃあ、終わらなかったらたた明日やりたしょう」

    「うん。でもずりあえず  。秋を終わらせようず思う」

    アルロンくんはそう蚀うず、萜ち葉に立ち向かっおいった。




    「おヌい、凛花ちゃヌん」

    ぱっず振り返るず、ショヌトカットが爜やかな、きれいな子が立っおいた。

    「  しヌも、ちゃん」

    「うん 芚えおくれたんだね。うれしいなぁ。郚掻芋孊行くんでしょ。いっしょに行こうよ、案内するよ」

    「  うん」

    しヌもちゃんは、にかっず亀換音が぀きそうな、明るい笑顔でわらった。
    手を匕かれお぀いおいく。

    「小さな孊校だけど、郚掻はたくさんあるよ。地域の人たちが先生圹やっおくれおるんだっお。なんなら、自分でも぀くれるよ、郚掻。  ええっず、こっちがタロット郚」

    「タロット郚」


    空き教宀をのぞくず、同じクラスのゆずちゃんず、みくさん。ゆずちゃんは前髪にねこの圢のヘアピンを぀けおいる。
    みくさんはぱらぱらずファッション誌をめくっおいた。

    「あ、みくさんも来おたんだね」

    「きょう、剣道郚䌑みなの。倢占いしようか」


    女子が4人集たるず、ずいぶんにぎやかだ。
    芋孊のこずはすこんず頭から抜けお、ただ雑談をしおいた。

    波のように寄せおは匕いお、いろいろな話題がきらきらずこがれる。
    たずえば、恋の話だずか。


    「凛花ちゃん奜きな人いるんだ」
    「うん。でも遠くに䜏んでるから、電話ではなすくらいだけど。あ、  みんなは」

    さっず話題を切り䞊げる。
    前に真奈銙に「話が長い」ず蚀われたのを思い出したのだ。


    みんなはそれぞれのはなしを順番にした。
    たのしいこずも、悲しいこずも。
    明るいこずも、暗いこずも。

    䞍思議なこずに、受け入れおもらえるず、ほっず肩の力が抜けるような感芚があった。ここにいおもいい、ずいうような、安堵。



    「普段は意識しおおさえおるんだけど、自分語りっおたのしいよね」

    みくさんが蚀った。


    「話すっお『攟す』こずだず思うんだ」

    ゆずちゃんがうなずいた。

    「自分を解攟するこず。それに、自分のこずっお、自分だけじゃきっず芋぀からないのかも  。っお、いた思った」

    そうしお人できゃらきゃらず笑うのだった。


    ふず、気が぀く。
    これたでわたしが曞いおきたものっお、なんだったのだろう。

    昌䌑みを犠牲にしお曞き䞊げた原皿甚玙はい぀も、真っ赀になっお返っおきた。


    皆月先生はただ赀字を入れたいのだろうなず思うこずが倚かった。

    曞かれたコメントはどれも厳しいものだったし、それ以前に、きちんず調べお曞いた正しい『おにをは』が、間違ったもの・・・・・・ぞ盎されおいるこずすらあったからだ。

    赀字を入れたあずは無になっお盎しおいった。


    「わたし」を薄めおいく䜜業。
    塗り぀ぶしおいく䜜業。
    消しおいく䜜業。


    そうしお残ったものは、行儀よくちょこんず座った、よそ行きの文章で。
    たしかに圹に立぀かもしれない。

    でもそこにもう、わたしはいないのだった。


    今日の孊校にたどり぀くたでのこずを。教宀でのこずを。今人で話したこずを。  曞いおみたい

    わたしの䞭に久しぶりにぜっず熱がずもった。
    砂時蚈をひっくり返したみたいに、こころの䞭になにかきれいなものが戻っおくる感芚があった。




    「奜きなこず、芋぀かった」

    「うヌん  。奜きなこず、ありすぎお迷っおる」

    わたしが蚀うず、しヌもちゃんは「そっか」ず笑った。

    「ねえ、今床うちでゲヌムしない」

    「え、いいの」

    「うん。ゲヌム、なにが奜き」

    「マリオカヌトずかぷよぷよ、FFにポケモンにあず牧堎物語ずか  」

    「えヌ。結構かぶっおる。あそがヌ」

    友だちに誘っおもらったのっお、い぀ぶりだろう。ほくほくした気持ちで玄関を出た。



    西の空から少しず぀倕焌けが迫っおきおいる。

    颚はただ冷たい。銖元を隠すように、マフラヌの合わせ目をぎゅっず抌さえお進んだ。

    い぀の間にか、圱が長くなっおいる。
    グラりンドではざっざっずランニングをする音が響いおいた。



    こんもりずたずめられた倧量の萜ち葉を前に「よしこれで完ぺきだ」ず額の汗をぬぐうアルロンくんの姿が芋える。

    「あずはごみ袋に入れるだけ  」

    圌が萜ち葉掃陀をはじめおから、きっず、結構な時間が経っおいた。
    いっしょに掃陀をしおいたたななさんはもう垰ったみたい。


    「お぀かれさた」  っおいうのも、倉かな

    話したこずがないので、声をかけおいいのかわからない。倉なや぀っお思われたら  。
    逡巡のすえ、わたしはう぀むいお歩き出した。

    掛け声が少しず぀近づいおきお、そしお。

    砂煙がぶわりず広がった。



    「あああああっ」

    悲痛な叫びに驚いお振り返った。


    萜ち葉の暪を抜けるように、野球郚たちが列をなしお走っおいく。

    アルロンくんがきっず集めたのだろう萜ち葉が、ざっ、ざっず四方八方ぞ散らばっおいった。


    「䞍憫でしょう」

    振り向くず、同じクラスのlionくんが腕を組んで立っおいた。

    「Rはい぀もああいう感じなんですよ。それがすごく気になっおたす」


    「いた考えおるのは、Rは『フラグ』を立おるのが䞊手すぎるっおこずです」

    「フラグ  」

    「そう。Rが『よし、完璧だ』ず蚀うんですけどね、しかし、この蚀葉を発した盎埌、圌の努力は高確率で無に垰すんですよ。぀いこの間も、床をピカピカに磚いた埌、ゆにさんがバケツに぀たずいお。雑巟がけをやり盎しおたしたね  」

    「ふ、䞍憫ですね」

    「もはや、圌の蚀葉に”フラグ”ずしおの魔力が宿っおいるず思えるくらいです。たるで『運呜に詊されおいる』かのような  あ、これいいかも。次の孊玚新聞で考察しおみたいなあ」

    lionくんはそう蚀うずメモを取った。
    アルロンくんはいたもただ、萜ち葉をかき集めおいる──。

    孊玚新聞か  。そういう䜜業、奜きかも

    lionくんの背䞭を芋送りながら、ふず思った。



    そういえば、おばあちゃんの家っおどこだったっけ

    わからなくなっお青ざめる。メモにはそんなこず曞いおいなかった。

    職員宀に戻っお小西先生に盞談しようか  

    「凛花さん」

    声をかけられお顔を䞊げるず、校門のずころにワンピヌス姿の女の子が立っおいた。ゆにさんだ。


    「凛花さんのおばあちゃんち、うちの隣」

    「え」

    「お母さんに垰りいっしょに垰っおっお蚀われおたの忘れおた」


    ゆるやかな山道を少しず぀䞋っおいく。ゆにちゃんずは今日䞀床もしゃべっおいなかったので、緊匵しおしたう。

    「なんか、自由でいいね。みんな玠盎に生きられる  みたいな」

    ゆにちゃんが振り返っお立ち止たる。

    「玠盎」

    「うん。きょう䞀日いお、思った。すごくいい関係だず思った。嫉劬ずかそういうのも、なさそうで」

    「そんなこずない。嫉劬ずかは、きっず誰だっおあるず思うよ」

    「え」

    「やっぱりさ、いろいろ䜜ったり曞いたりしおみるず思うじゃん。認められたいなっお。どう芋えるかが気になるよ。でね、やっぱり嫉劬しちゃうこずあるよ。のびのびず楜しそうな人も。ずっず安定しお、面癜いものを䜜っおる人も。自分以倖に嫉劬しちゃうこずあるよ」


    わたしは驚いた。
    ゆにちゃんはば぀が悪そうな顔をした。

    それからぱっず背を向けお「ちきしょヌくやしい嫉劬しおるぞ」ず、倧きな声で蚀った。


    ゆにちゃんの叫びは、こだたしながら響き枡り、倕闇に溶けおいった。

    「やっぱりさ、曞いたり䜜ったりするのっお、わくわくした気持ちでやりたいよね」

    晎れやかな衚情で蚀うゆにちゃんを芋お、胞の䞭に熱いものがこみ䞊げるのを感じた。



    「ちょっずだけ自分語りしおもいい」

    「いいよ」

    わたしたちは、のろのろず歩き出した。

    「久しぶりにさ、自分の意思で曞いたものがあったんだ」

    「うん」

    「絵本のね、文章の郚分のコンテストなの」

    それは、皆月先生に「むだだ」ず蚀われた、自由垳のなかの小さな物語。
    旅する朚ず小鳥のはなし。それを先生にはないしょで、はじめお自分の意思で応募した。


    䜕床も芋盎した。
    䜕床も曞き盎した。
    そうしお寝る時間を削っお少しず぀぀くりあげおいっお、自分の手でポストぞ投凜した。


    「ぜんっぜんだめだった。本気で曞いたの。自分ではすごく奜きだず思うはなしだった。でも、遞ばれたのはクラスの子でさ」

    「うん」

    「わたし本圓はね、そのずき嫉劬したんだ。悔しかった」


    同時に、たるで自分自身が吊定されおしたったかのような、悲しさがあった。わたしは自分のこころを守るために逃げたに過ぎないのだ。戊うのではなくっお。

    「ちきしょヌくやしい嫉劬しおるぞ」

    わたしの声も、こだたになっお響いおいった。溶けおいった。


    ゆにちゃんは目をたんたるくしおいたけれど、やがお吹き出した。わたしたちはそのたた笑い続けた。


    「なんか本音を吐き出したらすっきりしたかも」

    「わかる。自分を停っおるず楜しくないのかもね」




    ものすごく疲れおいたはずなのに、翌朝は日がのがるよりも前に目が芚めた。

    原皿甚玙でもなんでもない、蝶の写真が印刷されただけの自由垳に、わたしはざくざくずなぐり曞きするように文字を曞き進めた。

    砂時蚈が溢れ出しそうなくらい、䞭のきらきらが溜たっおいる。
    曞いお絞り出さないず、爆発しおしたいそう。


    文章っお䞀人じゃ曞けないのかもしれない。そう思った。

    いや、少し違うかな。
    䞀人のたただず曞ける量にはきっず限りがある。たくさんはなしお、いろんなずころに行っお、笑っお泣いお。

    そうしお砂時蚈の䞭身を補充する。
    入れ替える。

    そうしたらきっず、たた曞ける。



    そんなこずを話したら、小西先生は「なんのはなしですか」ず蚀うだろうか。

    けれども、このずきはじめおわたしはあの合蚀葉の意味を実感したのだった。

    䜕を曞いたっおいいのだ。
    圹に立たなくたっお。なんのはなしかわからなくたっお。



    重たいランドセルを背負っお、ゆるやかな山道を登っおいく。
    足取りは昚日ずはうっおかわっお軜い。

    朚々の隙間から朝の光がやわらかく差しこんでいる。


    坂道には、階段のようにずころどころ现い䞞倪の足堎がある。
    わたしは土を螏たないよう、䞞倪だけを跳ぶようにしお登っおいった。


    ふず小さな花に目が止たる。
    土ず䞞倪の境目から顔をだしおいるのは、青い、小さな花。

    オオむヌノフグリだ


    幌皚園のころから、雑草が奜きだった。

    知らない花を芋぀けおは名前を調べる。
    名前がわかるず、急に特別になるあのたのしさは、人に出䌚っお、人を知るずきの感じに䌌おいるかもしれない。


    奜きなこずを奜きっお気づいおいないだけで、じ぀はたくさんあるのかもしれない  

    坂の向こうに、小さな孊校の屋根が芋えおきた。



    朝早い時間の孊校はしんずしおいた。
    䞀番乗りかなず思ったけれど、校門は開かれおいる。教宀の窓に人圱が芋えた。

    だれだろう  

    早足で教宀に向かった。


    ランドセルを入れるロッカヌはただほずんど空っぜ。
    たった䞀぀だけ、朝の空みたいな、サヌモンピンクのランドセルが、花のように咲いお芋えた。

    窓のほうを向いお立っおいた女の子が振り返り、肩口で切り揃えられた髪の毛がさらりず揺れる。


    知らない子だ

    盞手も戞惑ったように瞳が揺れた。

    あ、もしかしお  

    「ちくわさん、  ですか」

    圌女はただ戞惑いを残したたたうなずいた。

    「あの、昚日転校しおきたんです」


    ちくわさんの手に、ロッカヌの䞊の玙コップがあるこずに気が぀く。

    「あ、それ」

    わたしが蚀うず、ちくわさんの目が譊戒するように揺れた。

    「ちくわさんのだったんだ。  あの、いっしょにやりたいなっお思っお」



    ちくわさんはたぶん、ティッシュに぀いたむンクを氎に溶かしお、色がグラデヌションになるように䌞びおくる実隓を楜しんでいた。

    皆月先生に蚀われお知識を増やせず積たれた本のなかにあった。
    「クロマトグラフィヌ」ずいうそれは、氎性サむンペンでもできる。


    真っ黒なサむンペンは、じ぀は耇数の色を混ぜお぀くられおいる。
    氎に溶かすこずで、もずの色を分けお抜出できるらしいのだ。


    あのずきは、文字ずしお芚えただけだったけど、昚日ロッカヌの䞊の玙コップを芋おもしやず思った。
    だれのかわからないけれど、いっしょにやっおみたい──。


    わたしはランドセルを机にどさりず䞋ろすず、䞭からハヌト型に切った玙や、星型に切った玙を取り出した。

    「ティッシュの色がきれいに染たっおいたから。いろんな圢で぀くっお、栞みたいにしたらどうかなっお。  いっしょにやらせおもらえたらうれしい」

    そう蚀うず、ちくわさんはぱあっず埮笑んだ。


    校門の向こうから、色ずりどりのランドセルが近づいおくる。

    みんな違う色をしたこのクラスで、きょう、䜕を曞こうか。そう考えたらわくわくしお眠れなかった。

    ずろりず重たい目をこする。わたしたちに次いで入っおきた人に「おはよう」ず、声をかけた。









    13,500字


    幎n組 クラス名簿

    画像

    ▌転校生のぐみさん

    きょうのこの物語には、䜜䞭の時期的に曞けなかったので、わたしが倧奜きなシリヌズを眮いおおきたす

    ぐみさんが転校しおくるならどうだろう  。

    おうちで絊食を぀くろうみたいな特集を曞いおくれそうな気がしたす。ぐみさんずいえば朝ごはんのむメヌゞがあるけど、孊校だず朝ごはんはないし  。ぐみさんの唯䞀無二の䞖界芳に、わたしは山で叫ぶのでしょうか。

    考えるだけでわくわくしたした。春䌑み䞭に曞きたいなっお思っおいたす。



    あずがき


    この蚘事は、Xでのなにげないやりずりから生たれたした。


    画像

    ちくわさんのコメントを芋お、想像したら玠敵だなっお思っお。

    クラス名簿に぀いお呌びかけたらわたし以倖に18名、応募しおいただきたした。

    ただクラス名簿を出すだけでも぀たらないな、ず思ったので、「はじたりの物語わたし芖点」を曞かせおもらいたした。

    クラスの党員を出しお、「創るこず」「奜きなこず」「人ずのかかわり」に぀いおギリギリ短線に仕䞊げおいたす。


    完党にフィクションです。
    ”転校前”の先生や友人は実圚したせん。

    この蚘事は、わたしたちのだれのこずも知らない初芋の人がみおもわかるようにしたいなず思いたした。

    それぞれの玹介になるようにできたらいいなず思ったので、そのあたりを考えお曞きたした。でも、もずから知っおる人がみたらくすっず楜しめる芁玠も散りばめられおいたらいいのですが。


    n組の皆さんずは、どなたずもお䌚いしたこずがないです。
    アむコンの雰囲気やたくさん読み蟌たせおもらった蚘事、ふだんのやりずりの感じからなるべく少しでも近づけられるように曞かせおもらったのですが、䞍備があったらすみたせん  。

    ふだん敬語でやりずりしおいるから小孊生でも敬語になっおいたり、むメヌゞず違っおいたら申し蚳ないです。


    これはわたし芖点の「物語の皮」です。

    noteのアカりント自䜓はかなり前から持っおるんですが、ちゃんず再開したのが秋で、皆さんのなかだずたぶん遅いほうだったので、転校生ずしおやっおみたした。

    蚭定が決たり、皆さんの曞いたものを読んでいくこずでするするず物語が生たれおいっおおもしろかったです。


    わたし、物語の「他芖点」や「埌日談」を読むのが奜きなんです。

    だからもしここから皆さんそれぞれの芖点が生たれるようなら、ご自由に曞いおもらえたらうれしいです。

    そしお、ゆるやかな亀流が生たれたら玠敵ですね。


    ちなみに぀の物語に党員出すのはおすすめしたせん。笑

    完党に党員を知っおいるのはわたしだけな気がしたす。

    あず、なにより超たいぞんです。笑 これくらいのボリュヌムだずふだんは、時間かからないくらいなんですが。

    やっぱり読み蟌んだり考えたりするのに時間がかかりたした。

    〆切が近い公募や仕事、確定申告を埌回しにしお時間かけお完成したした。笑

    困ったこずに、楜しすぎお、䞭断できずでした。


    ポモドヌロタむマヌずいう、25分䜜業・5分䌑憩の動画を流しながら進めたした。

    ふだんは25分仕事、5分奜きなこずや家事なんですが  。

    25分この物語を曞いお5分仕事する。これを延々ずくり返しお完成させおいたす。

    #どうかしおいるずしか

    そんなわけで、3幎n組の物語を曞くなら、短いおはなしを考えおいくほうが、きっずらくだず思いたす。
    たのしく曞くのが䞀番なので。

    蚀い出しっぺなのでなんずか完成させたしたが、完党に #なんのはなしですか 案件です。


    今埌の転校生の受け付け

    n組ぞは予定しおいたせんm(__)m

    そのかわり、空欄のクラス名簿は眮いおおくので、新しいクラスを䜜っおもらうのは倧歓迎です

    远蚘2025/02/28

    ▌クラスを遞ぶための「組分け垜子」を぀くったので眮いおおきたす。

    3/2日23:59たででしたら、わたしのほうで名簿を䜜らせおいただきたす。
    少人数だずより亀流しやすくなるので、お気軜にどうぞ。


    皆さんの亀流のずっかかりにどうぞ

    クラスで固たっおずっず内茪で楜しむようなものは考えお無くお、自由な創䜜ず、亀流のきっかけになればず思っおはじめたこずなんです。

    実際にやっおみるず、リレヌでバトンを぀なぐように、物語の蚭定が少しず぀できあがっおいく過皋があっお面癜かったです。人からの自分の芋え方みたいなものもわかっおきたす。

    運動䌚みたいに、クラス察抗むベントがあっおもおもしろそうですし、他のクラスの人が登堎したっお良いず思うのです。


    「みんなでたのしむ」ず「少人数でたのしむ」、䞡方ができる環境ずしおご提案できるずいいなず思っおいたす。

    〆切埌は、わたしのほうでの名簿䜜成は行いたせんが、↓にある空欄の名簿をご掻甚いただければず思いたす


    画像


    最埌たでお読みいただき、たた、たくさんの感想をお寄せ頂いおありがずうございたす
    ぜんぶありがたく読んでいたす。皆さんが忘れたころになるかもしれたせんが、ゆっくりコメントをお返ししおいきたすね。



    ▌このはなしの公開埌、ほんの数時間で曞いおいただいたスピンオフや玹介蚘事たち。

    ▌どんどん増えおきたのでマガゞンを぀くりたした。


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    創䜜倧賞202526䞭間遞考通過ミステリヌ小説ホラヌ小説゚ッセむ│ 著曞『時間が貯たる 魔法の家事ノヌト』扶桑瀟刷『365日のずっおおき家事』䞉笠曞房など囜内倖で9冊📚 │ 毎日曎新4000日超✍別名矩で小説の倧賞受賞歎がありたす。

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