
人間関係に疲れた脳を整える③|同じ一言なのに、平気な日と傷つく日があるのはなぜか
こんにちは、野村里奈です。
前回は、他人からの評価や拒絶が、脳にとって「痛み」として処理されることがある、というお話をしました。
だからこそ、たった一言で落ち込んだり、無視されたように感じて苦しくなったりするのは、気にしすぎだからではなく、自然な反応でもあります。
今回は、その続きです。
同じ一言なのに、ある日は平気だったのに、別の日には深く傷つく。
同じ返信の遅さなのに、「忙しいのかな」と思える日もあれば、「避けられているのかも」と不安になる日もある。
そんな経験はないでしょうか。
もしあるとしたら、その違いを生んでいるのは、出来事そのものではなく、「私たちの中で起きている『意味づけ』」かもしれません。
出来事は同じでも、意味づけは毎回変わる
たとえば、
相手から返信が来るのが遅かったとします。
これは出来事です。
けれど、その出来事に対して私たちは瞬時に意味をつけます。
忙しいだけかもしれない
体調が悪いのかもしれない
後で返そうとしているのかもしれない
嫌われたのかもしれない
怒っているのかもしれない
この「頭の中のストーリー」が意味づけです。
感情は、多くの場合、出来事そのものよりも、この意味づけによって大きく動きます。
脳は、わからない状態が苦手
それでは、なぜ意味づけをしてしまうのでしょうか。
それは、脳が「わからないまま」を苦手とするからです。
曖昧な状況に出会うと、脳はすばやく仮説を立てて世界を理解しようとします。
返信が遅い
表情が読めない
言い方が少し冷たかった
そんなとき脳は、
「何が起きている?」
「自分に関係ある?」
「危険ではないか?」
と瞬時に意味を補います。
これは悪いことではなく、生きるために備わった働きでもあります。
ただし、その仮説がネガティブに偏ると、心は苦しくなりやすくなります。
傷つきやすさは、その日の自分にも左右される
ここで大事なのは、
意味づけは固定されたものではない
ということです。
同じ出来事でも、
疲れている日
自信をなくしている日
過去に似た経験を思い出している日
余裕がない日
には、ネガティブな意味づけが起きやすくなります。
逆に、
心身に余裕がある日
信頼関係を感じているとき
気分が安定しているとき
には、穏やかに受け取れることもあります。
つまり、傷つきやすさは、相手の言葉だけで決まっているわけではないのです。
「事実」と「解釈」を少し分けてみる
心が揺れたとき、私たちは解釈を事実だと思いやすくなります。
「返信が遅い」
という事実に対して、
「嫌われたに違いない」
という解釈が重なり、苦しさが増していきます。
そんなときは、一度こう問いかけてみてください。
今つらいのは、事実そのものだろうか。それとも、頭の中の解釈だろうか。
この問いだけでも、心に少し距離が生まれます。
今日の小さな実践
気になる出来事があったとき、紙やスマホのメモに2列で書いてみてください。
事実:返信がまだ来ていない
解釈:嫌われたのかもしれない
この2つを分けるだけで、気持ちが少し落ち着くことがあります。
次回予告
次回は、
傷ついたとき、感情に飲み込まれず距離を取るにはどうしたらいいのか?
です。ラベリングや観察の視点から見ていきます。
最近、同じ出来事なのに「今日はやけに気になる」と感じたことはありますか?
よければコメントで教えてくださいね!
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反応しすぎる毎日から、少しずつ整っていくための18回シリーズです。
参考文献
Barrett, L. F. (2017). How Emotions Are Made: The Secret Life of the Brain. Houghton Mifflin Harcourt.
Friston, K. (2010). The free-energy principle: A unified brain theory? Nature Reviews Neuroscience, 11(2), 127–138.
Lazarus, R. S. (1991). Emotion and Adaptation. Oxford University Press.
Schachter, S., & Singer, J. E. (1962). Cognitive, social, and physiological determinants of emotional state. Psychological Review, 69(5), 379–399.