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(エピローグ)秋田一人旅に行ってみた(旅の行く末)

    家に着いた。

    身体中に詰め込まれた温かさと、持ち帰ってきた寂しさを抱きしめた。

    ひとまず、二人目のおじいちゃんからもらった名刺を、財布から取り出し、温もりを浴びた。

    すると、フワッと心地良い香りが空間を包んだ。

    香りのする方へ、ゆっくり鼻を近づけてみると、今手に持っている名刺だった。

    当惑したように近くにいた彼の顔をみると、

    「それはお線香だね。毎日あげている人なら、香りもつくかもね」

    穏やかに、そう言った。

    「お線香をあげている大切な人がいるんだ。」

    ふとその瞬間、父を想った。

    そういえば、家にはまだ、父に手を合わせる空間が整っていない。

    早速、必要な仏具を買い求め、ろうそくに火を灯し、お線香を立て、手を合わせた。

    そしてまた次の日には、BUMP OF CHICKENの仙台公演に申し込んだ。

    今ツアーの中で、一番小さい会場だったけど、数日後には無事に当選の知らせも届いた。

    30周年記念というだけあって、全国的にかなり激戦のようだったが、これもひとつのご縁として、仙台も、ライブも、大切にしたい。

    そしてさらに次の日、「ふるさと村」で出会ったお母さんと娘さんにおすすめされたオーディションに申し込んでみた。

    無事に、書類の一次選考、面接の二次選考も通過した。

    最終的には、表現の方向性が違うように感じて、辞退することにしたけれど、胸元につけたオーディション番号が父の月命日だったのも、何だかじんわり心が温められた。

    そして、帰りの新幹線でおばちゃんがサラッと言った「紀行文」のようなものを、今実際に書いているのも、何とも奇しきものである。

    日常のベールを被った小さな奇跡を見つけに、寂しさも温かさも抱きしめながら、ゆっくり気ままに歩いてみよう。

    「必ず絶対、また秋田に会いに行くんだ」

    タバコの匂いが染み込んだセーターをベランダに干して、温泉の匂いが漂うタオルを洗濯機に入れた。



    《謝意を添えて》

    最後までお読みいただき、ありがとうございました!

    50編以上に及ぶ連載も、今日で終わりになります。

    そんな今日は、作中にも出てきていた父の誕生日でもあります。

    更新のタイミングで、たまたま重なっただけですが、締めくくりに相応しい日になっているのではないかなとちょっぴり嬉しく思っています。

    いつも読むたびに毎回いいねをしてくださるあなたも、ひっそり毎回見にきてくださるあなたも、時々ちらっと覗きにきてくださるあなたも、全てのあなたに感謝です。

    気が向いたら何度でも、ちょっとした人生の寄り道に、またこの物語を訪れてくれたら、嬉しいです。

    また何度でも、会いましょう。

    りん


    この連載は、全てがいっぱいいっぱいになった冬のある日、肩掛けのバックひとつで飛び出した旅の記録です。
    あなたの日常にもきっと潜んでいる、小さな奇跡に満ちた、不思議な愛と繋がりの物語へ、ようこそ。




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