
【記録】正多面体の面中心角に基づく菱形多面体骨格の構成①
※ChatGPT使用
1.1 はじめに
正多面体および半正多面体を面同士で連結すると、構成要素そのものとは異なる大域的な形が 現れることがある。正十二面体や正二十面体を環状に連結する構成は、Stewart による多面体ト ロイドの研究や、その後のStella 4D を用いた模型探索の中で扱われてきた。また、正二十面体の 環を菱形として組み合わせ、菱形十二面体状の集合を得る例や、正八面体で菱形十二面体を縁取 る可視化も公開されている。
著者は、多面体を任意の面で接続できるブラウザ型シミュレーター Polyhedron Builder を作成 し、接続された各多面体の中心を線分で結ぶ表示を『ステルスモード』として実装した。この表 示により、正二十面体38個の集合から菱形十二面体の骨格が現れること、正十二面体92個の集 合から菱形三十面体の骨格が現れること、さらに複数の正多面体・半正多面体でも同様の現象が 生じることを観察した。発見順では正二十面体が先であったが、これらのうち菱形十二面体骨格 を説明する最も基本的な構成要素は正八面体である。
本稿の目的は、観察された形を単に図示するのではなく、正八面体の隣接面中心角と菱形十二 面体の面角の一致を示し、中心骨格が生じる局所的な幾何学的理由を明らかにすることである。 全体構成の厳密な閉路および隣接関係については、中心グラフの出力に基づく検証を併記する。
1.2 用語と構成
1.2.1 面接続
二つの合同な凸多面体P、P′ が一つの合同な面f を共有し、内部が共有面以外で交わらず、共 有面の反対側に位置するとき、P とP′ は面f で接続されているという。本稿では各多面体に中心 を一つ定める。正八面体については対称中心を用いる。
1.2.2 中心骨格
面接続された多面体集合の各構成要素の中心を頂点とし、面を共有する二つの構成要素の中心 を線分で結んで得られる空間グラフを中心骨格と呼ぶ。Polyhedron Builder のステルスモードは、 元の多面体を透明化または非表示化し、この中心骨格を表示する機能である。
1.2.3 正八面体の面中心角
正八面体の中心をO とし、互いに一辺を共有する二面の中心をそれぞれA、B とする。本稿では AOB を正八面体の隣接面中心角と呼ぶ。

1.3 面接続と中心線
(中心線の垂直性)
中心O をもつ正八面体P と、その一面f で接続された合同な正八面体P′ の中心O′ を考え る。面f の中心をA とすると、O、A、O′ は一直線上にあり、A は線分OO′ の中点である。 したがってOO′ はf に垂直である。
(中心骨格の辺長一定性)
同じ大きさの正八面体を面接続して得られる中心骨格では、すべての辺の長さが等しい。

1.4 正八面体と菱形十二面体の角度一致
(接合後の角度保存)
正八面体P の隣接二面の中心をA、B とする。それぞれの面に接続された正八面体の中心を O_A、O_B ∠ とすると、 O_AOO_B=∠AOB である。
正八面体の隣接面中心角は、菱形十二面体の一面を構成する菱形の鋭角に等しい。その値を θ とすると、cos θ=1/3 、すなわちθ=arccos(1/3) ≒70.52888° である。

1.5 菱形環と菱形十二面体骨格
(菱形面の形成条件)
中心骨格中の閉じた四辺形または各辺を同数の等長線分で細分した閉路について、四辺の長 さが等しく、対辺が平行で、一つの鋭角がarccos(1/3) であるならば、その閉路は菱形十二面 体の一面と相似である。
正八面体の隣接面方向を切り替える点では、中心骨格の二辺が菱形十二面体の 鋭角と同じ角度をなす。また補題2より、中心骨格の各小辺は等長である。同じ個数の小辺からなる四辺を、対辺が平行になるよう閉じれば、その閉路は菱形十二面体の一面と相似な菱形となる。

主定理(38個の正八面体による菱形十二面体骨格の構成)
38 個の合同な正八面体を図5の接続関係に従って面接続する。このとき各正八面体の中心を 頂点とする中心骨格は、菱形十二面体の14頂点に対応する14点と、24本の各辺の中点に対 応する24点からなる。したがって38点の中心骨格は、菱形十二面体の各辺を中点で二分し た細分グラフであり、途中の24点を省略すると菱形十二面体の骨格を得る。
点数の内訳は38=14+24 である。14点は菱形十二面体本来の頂点であり、残る24点は24本の― 辺に一つずつ置かれた中間点である。各辺は『本来の頂点 中間点 本来の頂点』という二線分 で表される。14点だけを残して一直線上の中間点を省略すると、24辺・12菱形面をもつ菱形十 二面体の骨格となる。各菱形面の鋭角はarccos(1/3) であり、各小線分は補題2によ り等長である。

1.6 他の多面体への移植
正二十面体の20面のうち、8面を正八面体の8面に対応させることができる。この対応面の中 心方向が正八面体の面中心方向と同じ角度関係を持つなら、正八面体で用いた接続方向を正二十 面体へ移すことができる。同様の対応は、立方八面体、正二十十二面体、切頂八面体、菱形二十 十二面体、切頂二十面体等でも観察されている。
(移植原理の候補)(8面方向による置換)
多面体P が、正八面体の8面と同じ方向関係を持つ8面を有し、中心からそれら8面までの 距離が等しいとする。さらに、構成中の非共有部分で多面体同士が衝突せず、必要な接合面 の姿勢が各閉路で整合するならば、正八面体による菱形十二面体中心骨格を、相似な中心骨 格を保ったままP に置換できる。
この命題では、角度条件だけでは不十分である。面方向が一致しても、構成要素の大きさや外 形によっては隣接しない多面体同士が重なる可能性がある。また、閉路後の多面体の姿勢が反転 し、次の面接続が成立しない場合がある。したがって、移植可能性は(i)面中心角、(ii)中心から 面までの距離、(iii)閉路後の姿勢、(iv)非衝突性の四条件で評価する。
(正二十面体38個の構成から正八面体38個の構成への置換)
図7の正二十面体38個の構成で使用される接合面は、各正二十面体について正八面体の8面 に対応する8面から選ばれている。正二十面体を、中心からこれらの面までの距離が正八面 体の中心 面間距離と一致するよう拡大・縮小すると、接続ごとの中心間距離が一致する。 対応する面方向も一致するため、各正二十面体を同じ中心と姿勢をもつ正八面体へ置換しても、38個の中心座標と接続関係は変化しない。したがって図7の中心骨格は、主定理の正八 面体38個の中心骨格と同一である。
この置換により、正八面体構成の中心座標と隣接関係を独立に作り直す必要はない。正二十面 体構成の38点と接続関係を、そのまま正八面体構成の証明データとして利用できる。



図7 正二十面体38個による菱形十二面体骨格
1.7 奇数拡張則
正二十面体による構成では、菱形の一辺を構成する正二十面体の個数を3個から5個、7個、9 個へ増やすことができる。一般に候補となる個数は2k−1(k≥2)である。これは接続列上で利用 可能な面の姿勢が二状態を交互に取り、二個追加するごとに端部の姿勢が元へ戻るためと考えられる。
(奇数拡張則)
正二十面体による一辺の接続列において、二個の正二十面体を追加する操作は、終端に現れ る接合面の位置関係と向きを保存する。したがって最小構成が3個で成立するならば、 3+2m=2k−1個(m≥0)でも同じ端部条件を保つ。偶数個では端部姿勢が反転するため、同じ 菱形環には接続できない。
今回はここまで。
では。