
詩的断章:マイ・アルカディア
マイ・アルカディア
Ⅰ|時期
天降りの隕石は
真白き砂漠に
音もなく落ちて来る
見つかるのは
この精神が
追いついた後
Ⅱ|視座
同時代の
異なる位相
同じフィルムの
交わらない場面
若くして宿る視座の高さは
大気圏の外から
持ち込んだ種
追いつけない
過去の自分
Ⅲ|未知
懶惰な箱庭の庭師は
交わらぬ場面のモノクロを
真剣に育てていた
未来の間口を狭めながら
砂漠を知らずに歩いていた
Ⅳ|驟雨
幾星霜の重ねを経て
音とともに飛び散る言葉
放たれる意味
存在に裂け目をひらく
Ⅴ|穴
隕石の
穿った窪みから
滲む悔恨
穴の大きさは
己の小ささだけを
映していた
Ⅵ|アルカディア
時間の中にそれはない
現実の曇りに沈みながらも
なお
視線を上げる方向にある
とするのなら
この重い心を
一歩ずつ引きずるしか
ないじゃないか
Ⅶ|彼方
晩生の視座は
どこまで高められるのか
冷徹な観察者のように
冷酷なこの世を
切り啓く
鋭利でやさしい言葉は
紡げるのか