第31話|すべてが、静かに重なった日
2022年11月23日。
耶馬溪。
霧雨が、静かに降りていた。
山には霧がかかり、すべての輪郭がやわらいでいる。
見えているのに、どこか向こう側。
触れられそうで、触れられない。

そんな、神秘の中にいた。
音はなく、
ただ、澄んでいた。
その静けさの奥に、
凛とした氣配が通っている。
和多志は、ただそこに在った。
——整っている。
その感覚だけが、はっきりしていた。
流れのまま、宇佐の地へ。
本殿へと歩みを進める。

そのときだった。
御帳が、ふわりとこちらへほどけた。
同時に、風が通る。
やわらかく、
けれど確かに、和多志を包み込んだ。
思考は、なかった。
ただ、受け取っていた。
反対の山側へと向かい、手を合わせる。
——その瞬間。
風が来た。
まっすぐに。
触れた、とわかる風。
そして次の瞬間には、
何もなかったかのように消えていく。
音もなく、
余韻だけを残して。
再び、静寂。
言葉はいらなかった。
隣にいた嫁さんも、
同じところにいた。
感じる。
確かに、起きていた。
それだけで、十分だった。
やはり——
今日、この場所。
すべてが、そこに在った。
気づけば、内側があたたかい。
満たすものは何もないのに、
満ちている。
参道。
ふと出逢った店主の、やわらかな氣。
それだけで、流れがほどける。
ご機嫌、という言葉すら追いつかないほど、
軽やかに整っていく。
そのまま、時間がやさしく流れていった。
帰り道。
空に、虹。

和多志にとって、それは龍神さん。
言葉にするまでもなく、伝わる。
——進め。
強く押すでもなく、
ただ、在るだけで示される。
その静けさの中に、確かな導き。
そんな一日だった。
今、この瞬間に在ること。
それだけで、流れは変わる。
良氣は、つくるものではなく、
氣づくもの。
そしてそれは、やがて確信へと変わる。
この日、和多志はそれを知った。
はい全て🤗✨🐉🐲🐦🔥
良氣良氣🐉
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