エッセイ:還暦祝いと義理の娘と孫と飲む楽しみ
もう6年ほど前になるが、父が還暦を迎えた。
なにかプレゼントを、と考えた。
お酒好きの父には、父と同い年のヴィンテージワインなんていいのではないか。
そうして見つけたのは、「リヴェラック リヴザルト」というフランスのワイン。
かなり甘口のワインだ。
フランスには少し思い入れがある。
中学2年生の時、父と男二人で、10日ほどスイスとフランスへ旅に行った。
先に訪れたのはスイスだった。
街並みも景色も、本当にきれいだった。
ただ、料理はあまり美味しくなかった。
パリに入って、食事をした時にほっとしたことを覚えている。
ルーブル美術館に行き、エッフェル塔を見て、パリの街を歩いた。
息子と二人で旅行をする。
それが父の夢だったらしい。
今でも、ときどき懐かしそうにその旅行の話をする。
そんな思い出もあって、父の60歳の還暦祝いに、同じく60歳のフランスワインを贈ったのだ。
父は、たいそう喜んでくれた。
そして、こんなメッセージが届いた。
これは飲めないね。
大切に持っておいて、孫の成人と僕の80歳の誕生日に飲むのを楽しみにして大切に保存します。
その時は〇〇(私の妻)も一緒にお願いしますね
私が一緒に飲むメンバーに入っていない。
まあ、日頃お酒を飲まないからだろう。
きっと、そういうことにしておこう。
父の還暦の年に生まれた長女は、もう6歳になった。
あのとき父が「孫の成人の日に飲む」と言っていたワイン。
14年後のその日が来たら、父と妻と成人した娘の3人で、80年ものになったワインを開ける。
そんな3人の姿を見るのを楽しみにしている。
そして、そのときには僕も、隣で一緒に乾杯くらいはさせてもらおう。
お読みいただきありがとうございました!
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