一人暮らしアラサー女子、胃腸炎に翻弄される。
久しぶりにパソコンを打つ。
仕事もできず、日記も書かず、しばらくパソコンを開かなかった。
というのも、数日のあいだ胃腸炎に倒れた。
胃腸炎かどうかは今の時点で分かっていないのだが、ウイルス性胃腸炎か食あたりだろうと診断されたなら「じゃあ胃腸炎で」と言いたくなるのが意地ってやつだろう(胃腸炎は食いしん坊がなる病気だとある人が言っていたのでどっこいどっこいだが)。
厳密は熱があったので院内に入れてもらえず、車でできる最大限の診察(問診のみ)と効きそうな薬を手あたり次第処方してもらったというわけだ。
一人暮らしの体調不良ほど恐ろしいものはない。
今思うと10年近い一人暮らし生活の中でいちばんきつかったかもしれない展。何がきつかったかといえば、催すのだ。それも動くたびに。洗い物も洗濯もままならない体で私は買い出しに行かねばならなかった。熱を下げる薬もなければ水以外の飲み物も、その時食べられそうな食糧もなかった。決死の思いで薬局に行き、案の定、ちんだ。カートをおす様は手押し車に全体重をかけるおばあちゃんとなんら変わらなかったと思う。都度、腹痛に耐え切れずその場にしゃがみ込み、あたかも陳列の一番下の段を見ている様子で休憩する。脂汗ってやつが止まらない。会計時には「礼」を命じられてもいないのにだんだんと頭の位置が下がっていき、挙句の果てに「すみません少し休ませてもらえませんか」という始末。人というのは優しい生き物で、こんな惨めな人間に椅子というやつを与えてくれ、「落ち着くまで後ろで休みますか?」と声をかけてくれた。店員さんはレジにこんなやつが長居されても困るという気持ちが見え隠れするどころかちゃんと隠してくれていて、私は一刻も早くこの場を去ることでしか感謝を伝えられそうになかった(ちがう、恥ずかしかったのだ)。今思うと、あれは脱水症状からくる吐き気とめまいだった。
日曜だったため病院に行けず、具合が悪いことをまだ誰にも伝えていない。動くたび催す妖怪と化し、おてぃーれとベッドを往復しているだけの私のことを誰にも伝えていないということは、今倒れても誰にも見つけてもらえないということだ。一人暮らしをしていて「このまま誰にも見つからずにちんでしまうかもしれない」と過去に何度も思ったことがあるが、今回はそう思う頻度も、深度もダントツナンバーワンだった。
食べても催す。飲んでも催す。熱は38度を超えた。気力も体力も限界を迎えたところで母に電話してみた。何かあってもいいようにと、ここにきて動物の生存本能に近いものを感じた。「もっと早く言ってくれたらよかったのに」とごもっともなことが返ってきたが、この私が事後報告せず真っ只中に報告したこと、せめて私だけでも私を褒めてあげたかった。
次の日、母が飛んできた。
片手にクーラーボックス、片手に立派なネギが飛びてている買い物バッグ。母強ぇ。その立派ネギのほかに家で切ってきたネギも持ってきてくれたので、立派ネギは実家に持って帰ってもらった。ただ、いつもの3割増しで母が頼もしく見えたのはこの立派ネギのおかげだろう。母の作るおかゆはとても美味しかった。
限界の人間はろくなことを考えない。
おかゆでもなくうどんでもなくチョコの入ったスティックパンが食べたくなった時、買い出しに行けずにいたら夢の中で買い出しに行き美味しそうに食べる自分が出てきた。お前くらい味方してやれよ。
大学の時に寝込んでいたら人知れず玄関のドアノブにめかぶの入った袋をかけてくれたやつがいたなとか、社会人になって体調を崩した時にほぼ居候みたいになって助けてくれた人いたなとか、こんな時に限って思い出すのはなんでだろうか。あの時優しくしてくれたあの人も、あの時労わってくれたあの人ももう近くにいないのだから、そろそろ現実を見るといい。
ベッドに横たわって何もできずにいたら、頭に敷いていた手ぬぐいの毛玉と目が合った。裸眼の視力0.1以下+片目乱視のこのお目で焦点が合うものなどそうない中で、唯一捉えた毛玉のフォルムがアンパンマンのかびるんるんに見えた。可愛らしいので少しなでてみたら一瞬でいなくなった。なんだよちくしょう。
仕事を2日間休んだ。
手元に抱えていた仕事は溜まっていく一方で、スケジュールの再調整をお願いした相手も何人かいる。前職でも似たようなことがあり、その時は新型コロナを発症し約1週間の在宅勤務の後、出勤しようとしたら涙が出てきて家を出られずそのまま約5ヶ月休職した。うつと不安障害とだった。
今回はというと、心臓に多少の毛が生えたように思う。「すまん!!ちょっと休むでよ!」という図々しさが身についたことは私にとって嬉しい変化で、周りの人にしてみればどうなのだろう。ぐるぐるとこんなことを考えてしまうという点で、私に生えたのは”多少の”毛である。
そんなこんなで発熱から4日目を迎え、いま私はパソコンに向かっている。後輩が短期間でやり遂げなければならない業務を遂行したことを知り、さっきまで座っているのがつらかった私の体がしゃんと動き始めた。「マケテラレナイ」とでも言いたげに動き出した自分が情けなくもあり、ようやく気力が回復してきた証拠でもあった。
明日には朝から仕事ができそう。ただし、おてぃーれがが近くにあると嬉しい。ただでは胃腸炎になってやらんぞと、おもしろおかしく、半分以上本気で過ごした悪魔の4日間をここに記録する。
七夕の夜。みんなも私も、これからまたご機嫌に過ごせますように。
