
“こだわり”は、心の安定剤かもしれない。
わたしたちは、ときどき
手放せないものを持っています。
それは「依存」なのでしょうか。
それとも、自分を守るための
大切な感覚なのでしょうか。
前回のnoteに綴った
修理に出すと決めていたセーター。
専門店を探して、問い合わせもして、
いよいよ送ろうとしたときに気づきました。
──まだ、あった…
小さな不具合…
目立たない…
でも、複数の網目のヨレが…。
もはや修理では追いつかない。
そう悟った瞬間、
わたしは決めました。
このセーターは、
部屋着として生きてもらおう。
外には出せないけれど、
わたしの肌に寄り添い続けてもらおう!と。
わたしの‟肌”の一部
セーターに限らず、
わたしにとって
本当に着心地の良いものは、
雑巾のようにボロボロになるまで
手放すことができません。
いえ、
雑巾のようにボロボロになっても、
いざ手放すときには
感謝の気持ち以上に
さみしくて、さみしくて、
手放すことを躊躇してしまうほどです。
あなたにも
こういう一面は、ありませんか?

ライナスの毛布
スヌーピーで有名な『ピーナッツ』の
主要キャラクターに
いつも毛布を手放さない
ライナスという男の子がいます。
彼は毛布を持って
指をしゃぶっている姿が印象的なので
とても幼いイメージを持っている方が
ほとんどだと思われますが
(わたしは、そうでしたw)
実は、スヌーピーの仲間たちの中では
一番のインテリだそうです。
公式サイトでも、
博愛で、毛布を持った哲学者
と紹介されていますものね。
毛布、タオル、おもちゃやぬいぐるみ…
さて、幼い子供には
彼のように
お気に入りの毛布や
玩具を持ち歩くといった
行動が見られますが、
これは『安心を得るため』で、
その対象物を、心理学的には、
安心毛布(セキュリティ・ブランケット)
と呼びます。
また、ライナスによって
この概念が広まったことから
ライナスの毛布
とも呼ばれているそうです。
この現象は、通常
成長とともに
自分の内面に安心感が作れるようになると
自然と‟卒業”できるものだそうですが、
内面ではなく‟対象物が変わるだけ”という人も
かなり多いようです。

「隠れライナス」現象
外ではキリッとしていても、
家ではボロボロのタオルを愛用していたり、
特定のパジャマじゃないと
眠れなかったりする人…
身近にいませんか?
それとも、あなた自身かも!?
今は亡き大物芸能人のAさんは、
まさに、このタイプだったと
何かで小耳に挟んだことがあります。
幅広いジャンルで精力的に活動され、
非常に明るい性格の
イメージが強かったAさんでしたが、
もしかするとライナスのように
人一倍繊細で思慮深く
ストレスをためやすかったのかもしれませんね。
また、彼のように
感性が豊かでクリエイティブな人は
特定のモノから安心感を得て
精神のバランスを図る傾向が強いそうですから
「隠れライナス」現象は
決して恥じることではなく
むしろ、
才能の表れと受け取って
差し支えないように思います。
しかし、注意が必要なケースも。
ただし、
「それがないと仕事に行けない」とか
人前でも手放せない…といったレベルになると、
それはもう、ライナス現象ではなく
強い不安障害の表れかもしれないので
注意が必要です。
パニック障害や
特定の恐怖症(例:閉所恐怖症など)の
可能性がありますので、
専門医やカウンセラーの助けを
求めてくださいね。
日常生活に支障が出ているかどうか
が、線引きの目安です。

でも、大抵は──
‟ライナスの毛布現象”の多くは
素敵な大人バージョンですから
安心してくださいね。
心理学的には
大人になっても特定のものに執着するのは
ストレス社会での
セルフケアの一種
と考えられています。
対象物の触り心地や匂いが
ON/OFFの切り替えを
スムーズにする役割を果たしたり、
慣れ親しんだモノがそばにあることで
環境の変化や
孤独による不安感を
和らげる効果が認められているからです。
【子供の安心毛布】
〈物理的な物〉
毛布・ぬいぐるみ・タオル
〈行動・習慣〉
指しゃぶり・毛布をいじる
〈感覚〉
触り心地・匂い
【大人の安心毛布】※例
〈物理的な物〉
お気に入りの服・スマホ
特定のアクセサリー
お守り…
〈行動・習慣〉
コーヒーを飲む
SNSをチェックする
ペンを回す…
〈感覚〉
お気に入りの香水
特定の音楽…
…等々。
『安心毛布』健全度チェック
さて、それでもちょっと不安なあなたに
「自分はただの愛着なのか、
それとも依存(病的)なのだろうか?」を
客観的に見つめるための
チェックリストを作成しました。
心理学的な観点から、
「健全な愛着」と
「過度な依存」の境界線を探るための
5つの質問です。
ご自身の「お気に入りのアイテム」や、
その他の習慣を思い浮かべながら
質問に答えてみてくださいね。
1|そのアイテムが破損などで
急になくなったりしたとき、
他の物を代用して
一日を穏やかに過ごせますか?
〇 「ちょっと落ち着かないけど、
まあ、いいか」と切り替えられる
✖ パニックになったり、
作業が手につかなくなる
2|TPOに合わせて、
そのアイテムを
クローゼットに置いておく
(あるいは隠す)ことができますか?
〇 できる
✖ できない
3|そのアイテムを持つ(あるいは、使う)
理由は、
『心地良さ』(プラスの感情)ですか?
それとも『それがないと
悪いことが起きそう』
(予期不安や恐怖の回避)ですか?
〇 リラックスするためや
自分を労わるために使っている
✖ 強迫観念(これがないと不幸になる、
失敗する)に支配されている
4|そのアイテムを「汚れてるね」とか
「ボロボロだね」などと指摘されたとき、
「そうなんだよね。お気に入りで…」と
笑って流せますか?
〇 自分の「こだわり」として
受け入れてるので、笑って流せる
✖ 激しい怒りを感じたり、
絶望を感じたりする
5|そのアイテムは、
あなたの活力を生み出していますか?
それとも、外の世界からあなたを
閉じ込めていますか?
〇 そのアイテムで充電して、
外の世界へ向かうエネルギーを得ている
✖ 現実の問題から目を背ける
「隠れ蓑」になっている
もし、ほとんどの質問に対して
〇の回答であれば、
それは病的なものではなく、
あなたという人間を形作る
「素敵なこだわり」や「高度なセルフケア」です。
逆に、✖の回答が多く、
それによって実生活で誰かに迷惑をかけたり、
自分自身が苦しくてたまらない場合は、
少し心が疲れすぎているサインかもしれません。
そんなときには決して無理をせず、
信頼できる身近な人や
専門機関に相談してくださいね。
あとがき
わたしにとって、セーターは
単なる‟お気に入り”ではありません。
安心やモチベーションや、
わたし自身の一部のような存在です。
そして、きっとあなたにも
そんな「ライナスの毛布」が
ひとつやふたつ、あるはずです。
あなたが丁寧に生きてきた証として
そして、
あなたの大切な一部として──
素敵なこだわりを
これからも楽しんでいきたいですね。