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第16章:先代犬そらとまる

夏の空を見ると思い出す…

私の母は農家の三女で、父の母のいる本家に嫁いだ。
(その祖母とも一緒に暮らしていた。)

昔から、 母の涙を見たことがない。

小さい頃、 祖母がくも膜下出血で倒れ、 朝、イビキのような呼吸をしていた。

その時、親戚が母に言った。

「なぜ気づかなかったの!?」

責められている母を見て、 小さな私は胸が痛かった。


覚えている…おぼろげに…

いつか、母に優しくしたい…
そう思った。。。


そして、大人になって思い出した。

あの頃の母は、 共働きで毎日ヘトヘトだった。

家のこと、 仕事、 祖母のこと。

ずっと頑張っていたのだと思う。


そんな母の涙を、 最初で最後に見た日がある。

私が16歳の夏。

小学生から続けていたバスケで、 前十字靱帯、内側側副靱帯、半月板を損傷した。

長時間の手術だった。

途中で下半身麻酔が切れ、 全身麻酔に切り替わり、 7時間半の手術になった。

ぼんやり目を覚ました時、 見えたのは、

いつも忙しい父が、 平日に病院へ来ている姿だった。

そして、 母が泣き崩れていた。

細い声で、 「大丈夫……?」 と言っていた気がする。

でも私は、 痛みでそれどころではなかった。


それから年月が流れ、 今度は私が、 母の介護をする側になった。

あの頃、私は誰にも弱音を吐けなかった。


父も母も寝静まった真夜中。

私は、一人… リビングのソファで、 静かに泣いていた。 

疲れていた。

不安だった。

先が見えなかった。


その時だった。

私の腕に、 そっと手が置かれた。

「ん?」

見ると、 そらがいた。

そらは静かに、 私の涙も、 鼻水も、 ペロペロ舐め続けた。

「しょっぱいでしょ…… もういいよ〜」

そう言っても、 そらは、やめなかった。
私が眠るまで、 ずっと続けた。

毎晩と言っていいほど、 そらはそうしてくれた。

犬なのに。

いや、 犬だからなのかもしれない。

そらは、 犬では珍しいと言われる、 胃腺癌で亡くなった。

一緒に闘病を頑張った。

でも、どんどん細くなっていった。


私は今でも、 感謝を込めて、 毎年命日に、 一人でお寺へ行く。

お経をあげてもらい、 手を合わせる。

毎年、涙が湧いてくる。


私にとって、血の繋がりはなくても、
そらは兄で、 まるは弟だ。

そら……いつも見守ってくれてありがとう🌈
そらのおかげで、
まるが自由にはしゃいでるよ〜🩷


もっと、 ワンコの、 しゃべれない気持ちを知りたい。

そう思う。


だから、まる。

ヤンチャでいい。

走り回っていい。

自由でいい。

元気でいてね🩷

それだけでいい。


🐶「そら兄ちゃん……
姉ちゃんと遊んであげてます🩷」





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