ワイキキに、予定のあいまの居場所ができた
ワイキキに住んでいる、と言うと「毎日楽しそう」と言われることがあります。
たしかに、海は近い。ホテルもレストランもカフェも、お店もたくさんある。旅行で来るなら、これほど便利で華やかな場所はないですよね。
でも、暮らしている場所としてのワイキキは、ちょっとだけ違うかもしれません。人であふれていて、音が多くて、いつもどこかが動いている。便利だけれど、ふと気持ちを置ける場所は、意外と限られているのかもしれないなと。
大好きなカフェも、たくさんあります。
でも、ひとりで入りやすくて、少し落ち着けて、誰かと待ち合わせもしやすくて、仕事の合間にも寄れて、なおかつ気持ちが急かされない場所となると、案外すぐには思いつかなかったりするものです。
観光地としてのワイキキと、生活の場としてのワイキキは、同じ場所にありながら、ちょっと表情が違うんですよね。当たり前だけど。
私にとってワイキキは、今も昔も「特別な場所」です。
海へ行ったり、カラカウア通りを歩いたり。ホテルのロビーを通るだけで少し浮き立つような気持ちになるのは、旅行で来ていた頃も今も変わりません。
ワイキキには、やっぱり人を明るくする力がある。
けれど、暮らしていると、ここは日常の場でもあります。
ウォーキングに出かける。
買い物に行く。
取材へ向かう。
誰かに会う。
次の予定まで、少し時間が空く。
あれこれ忙しい日常の中で、ちょっとだけ気持ちを逃がせる場所があったらなあ、と思うことがあります。なんだか少し贅沢な気もしますが。
でね。
最近、ワイキキに登場したカフェのお話をさせてください。
オアフ島の北東にあった、大好きなカフェ「Hala Tree Cafe」。まさか、こんなご近所に移転してくれるなんて、嬉しすぎる。
早速行ってみると、コナ100%コーヒーをゆったり楽しめる、とても気持ちのいい場所でした。便利なロケーションなのに、大通りに面していないせいか、混み合いすぎていないのもいい。私にとっては、ワイキキの中に「予定のあいまの居場所」がひとつ増えたような感じがしました。
誰かと会う前に、少し早めに着いてコーヒーを飲む。
取材のあと、すぐ家に帰るほどでもないけれど、もう少しだけひとりでいたい。
考えごとをしたいけれど、家ではない場所にいたい。
そんなときに、ふっと寄れる場所。暮らしの中では、そういう小さな場所が意外と大事なんです。

とくに、フリーランスとして働いていると、自宅以外に「あいまの場所」があることに、ずいぶん助けられることがあります。
カフェ好きな私にとって、カフェとはただコーヒーを飲む場所ではありません。
もちろん、おいしい飲みものや食べものがあることはうれしい。居心地のいい空間であることも大切。でもそれ以上に、そこへ行くことで、自分の気持ちが少し整うことがあるんです。
家でもない。
仕事場でもない。
誰かのためにいる場所でもない。
ほんの少しだけ、自分を静かに整える空間。
Hala Tree Cafe は、私にとってそんな場所になってくれそうだなと思っています。
ワイキキには、華やかな場所がたくさんあります。特別な日のためのレストランも、旅行気分を盛り上げてくれるホテルも、写真を撮りたくなるお店も、たくさん。
でも、華やかさだけでは少し疲れる日もある。
何かをしに行く場所ではなく、何かをしすぎないための場所。気合いを入れて行くのではなく、少し肩の力を抜きに行く場所。そういう場所が、ワイキキの真ん中にできたことが、素直にうれしいのです。
観光地は、いつも誰かの目的地であり続けています。
でもそこに暮らす人にとっては、目的地ではなく、帰り道であり、通り道であり、日々の景色でもあるんですよね。これは、ハワイに限らず、すべての場所で言えることかもしれません。
誰かの特別な場所は、ほかの誰かの日常。
その景色の中に、ほっとできる明かりがひとつ増える。それだけで、いつもの街が少しやさしく見えるような気がします。しかも、ここは夕方5時まで営業しているカフェなんです。これは本当に助かります。
ワイキキに、予定のあいまの居場所ができた。
それは、今の私にとって、想像していた以上に大きなことなのかもしれません。
