
未来は予測するものではなく、逆算して作るもの
はじめに
私は特別優秀な人間ではありません。
19年間営業の仕事をしてきましたが、順風満帆だったわけでもありません。大型案件を失注したこともあります。お客様との関係づくりに悩み、自分の提案に自信が持てなくなった時期もありました。
投資でも同じです。
2014年に42万円から始めた投資は、決して一直線ではありませんでした。何度も判断ミスを重ねてきましたし、決断を先送りして後悔したことも一度や二度ではありません。
むしろ成功より失敗の方が多いかもしれません。
それでも今振り返ると、仕事や投資を通じて得たものがあります。
それはお金でも肩書きでもありません。
物事の考え方です。
未来との向き合い方。失敗との向き合い方。学び続ける姿勢。そして変化を受け入れる柔軟性です。
営業という仕事で学んだこと。投資を通じて学んだこと。そしてAIという新しいパートナーから学んだこと。
一見すると別々の経験に見えますが、振り返るとすべて同じ場所につながっていました。
今日はそんな話を書いてみたいと思います。
逆算思考がすべての始まりだった
私は昔から、結論から考えることが好きでした。
答えが決まれば、そこへ至る方法は一つではありません。
営業でもそうでした。
新人の頃の私は、とにかく頑張れば成果が出ると思っていました。
人より多く訪問する。
人より多く提案する。
人より長く働く。
営業は足で稼ぐものだと思っていましたし、実際にそう教わってきました。
だから朝から晩までお客様を回り続けました。
訪問件数を増やせば結果が出ると思っていたのです。
しかし働き続けるうちに、ある疑問を持つようになります。
同じように努力しているのに、成果が出る人と出ない人がいる。
なぜなのだろう。
私は成果を出している先輩たちを観察するようになりました。
すると、ある共通点に気付いたのです。
成果が出ない人は、行動そのものが目的になっていました。
今日は何件訪問した。
何件電話した。
提案書を何枚作った。
もちろんそれ自体は大切です。
しかし、その行動がどの結果につながるのかが曖昧でした。
一方で成果を出す人は違いました。
彼らは行動から考えていませんでした。
結果から考えていたのです。
ある先輩は月初になると、よくこんなことを言っていました。
「今月はこのくらいで着地かな」
私は不思議でした。
まだ何も決まっていないのに、なぜそんなことが分かるのだろう。
当時の私には未来を予測しているように見えました。
しかし実際は違いました。
未来を当てていたのではなく、未来から逆算していたのです。
例えば売上1,000万円が目標なら、
必要な受注件数は何件か。
そのために必要な商談数は何件か。
商談を作るために必要な訪問数は何件か。
そして今週何件訪問すべきなのか。
すべて分解して考えていました。
整理するとこうです。
・ゴール:今期売上1,000万円達成
・必要受注件数は何件か
・必要商談数は何件か
・必要訪問数は何件か
・今週やるべきことは何か
シンプルですが、これができているかどうかで動き方はまったく変わります。
私自身もこの考え方を取り入れてから、仕事の見え方が大きく変わりました。
以前は「売上が足りない」という漠然とした不安を抱えていました。
しかし逆算するようになると、問題の場所が見えるようになったのです。
訪問数が足りないのか。
商談化率が低いのか。
受注率が低いのか。
原因が見えれば、改善策も見えてきます。
フェーズに分解すると、複雑に見えていた問題ほどシンプルになります。
私は営業を通じて、そのことを学びました。
投資でも同じです。
明日の株価を当てることはできません。
来月の相場も分かりません。
しかし、自分がどんな資産状況を作りたいのかは決められます。
5年後にどうなりたいのか。
10年後にどうなりたいのか。
そのために何を学び、どんな手法を磨き、どれだけ資金を投入するのか。
未来から逆算することはできます。
AIを活用する時も同じです。
まずゴールを決める。
そこまでの道筋を分解する。
各フェーズで何が必要なのかを考える。
私は今でも何かに迷った時は、この考え方に立ち返ります。
未来は予測するものではありません。
未来から逆算して作るものなのです。
本質を見ることの難しさ
営業をしていると、大型案件を失注することがあります。
私にも忘れられない案件があります。
何か月も準備しました。
何度もお客様のもとへ足を運びました。
提案資料も何度も作り直しました。
社内調整も行いました。
自分なりにできることはやり切ったつもりでした。
だから受注できると思っていました。
しかし結果は失注でした。
当時は納得できませんでした。
競合が強かったから。
価格で負けたから。
そう思っていました。
しかし時間が経ち、冷静に振り返ると違う景色が見えてきました。
原因は競合ではありませんでした。
私自身だったのです。
私は商品を理解していました。
性能も理解していました。
価格も理解していました。
しかし、お客様を理解していなかったのです。
後になって分かったことですが、お客様が本当に重視していたのは納期対応とデリバリーでした。
私は価格や性能の話ばかりしていました。
しかし現場の担当者が本当に気にしていたのは、
「
期日通りに届くのか」
「現場に負担はかからないのか」
「トラブル時に対応してもらえるのか」
ということだったのです。
私は表面的な情報ばかり追いかけていました。
だから提案自体は間違っていなくても、選ばれなかったのです。
この経験から学んだことがあります。
答えを急いではいけないということです。
まず理解する。
相手の立場で考える。
表面的な情報の奥にある本質を見る。
その姿勢が重要なのだと気付きました。
投資も同じでした。
数字だけを見る。
ニュースだけを見る。
しかし市場が何を評価しているのかを理解できなければ、本質は見えません。
営業と投資は違う世界のように見えます。
それでも本質を見る力が問われるという意味では、とてもよく似ているのです。
決断を先送りする代償
私が投資を始めたのは2014年です。
口座に入れた資金は42万円でした。
当時は投資の知識などほとんどありません。
なんとなく買い、なんとなく売る。
今思えばかなり危うい投資をしていました。
それでも運良く最初の投資は成功しました。
42万円は約80万円になりました。
当時の私にとっては大きなお金でした。
投資は簡単だと思ったかもしれません。
しかし、その後によく分からない銘柄を買ってしまいました。
そして約7年間、その株を持ち続けることになります。
買った時は期待していました。
将来性があると思っていました。
しかし株価は思うように動きません。
時間が経つにつれ状況も変わりました。
当初考えていた前提も崩れていました。
本当は売るべきだったと思います。
しかし売れませんでした。
損失を認めたくなかったのです。
売った瞬間に失敗が確定する気がしていました。
だから理由を探しました。
いつか戻るかもしれない。
次の決算で変わるかもしれない。
そのうち市場が評価するかもしれない。
しかし今振り返ると、それは分析ではありませんでした。
願望でした。
結果として時間だけが過ぎました。
そしてある時気付きました。
これは投資だけの話ではないと。
仕事でも同じことをしていたのです。
言いにくいことを後回しにする。
難しい判断を先送りにする。
問題が自然に解決することを期待する。
しかし現実には、問題は時間とともに大きくなることの方が多いのです。
投資で学んだのは損失そのものではありません。
決断を先送りすることの代償でした。
それ以来、私は迷った時ほど自分に問いかけます。
これは本当に待つべきなのか。
それとも決断を先送りしているだけなのか。
その問いは今でも仕事と投資の両方で役立っています。
失敗は終わりではなく、次のスタート
2022年、私は思い切ってその塩漬け株を損切りしました。
残った資金は約40万円でした。
7年間という時間と、80万円が40万円まで減ったという事実。
正直かなり堪えました。
機会損失まで考えると、数字以上に重いものでした。
しかし、ここで終わりではありませんでした。
当時話題になっていた東証のPBR1倍割れ対策に注目しました。
そして積立財形を解約し、合計350万円を用意しました。
4社に分散投資し、結果として約600万円まで増やすことができました。
ようやく前に進めた気がしました。
しかし、その後に同じ手法を別の銘柄で試した時は思うような成果が出ませんでした。
1年間で増えたのはわずか20万円ほどでした。
この時に痛感したことがあります。
再現性がなければ意味がないということです。
一度うまくいった方法が、そのまま次もうまくいくとは限りません。
私は成功よりも失敗から多くを学んできました。
営業でもそうです。
投資でもそうです。
昔の私は失敗を避けようとしていました。
しかし長く続けるうちに分かったことがあります。
失敗しない人など存在しないということです。
どれだけ優秀な人でも失敗します。
どれだけ経験があっても間違えます。
重要なのは失敗の有無ではありません。
失敗の使い方です。
なぜ失敗したのか。
何が足りなかったのか。
次は何を変えるべきなのか。
挑戦。
失敗。
反省。
改善。
再挑戦。
私はこのサイクルこそが成長の本質だと思っています。
AIは思考を映す鏡だった
私が投資の試行錯誤を続けていた頃、本を読んだりYouTubeを見たりしながら、自分なりの投資スタイルを模索していました。
最初から今の手法にたどり着いたわけではありません。
様々な投資家の考え方に触れました。
ファンダメンタルズ分析を学びました。
テクニカル分析も学びました。
失敗も繰り返しました。
その積み重ねの中で、少しずつ自分に合うスタイルが見えてきたのです。
月足MACDのゴールデンクロスに注目する現在の投資手法も、その試行錯誤の延長線上にあります。
レーザーテックなどで結果を出せたのも、偶然ではなく、長い試行錯誤の先にあったものでした。
そして同じ時期に、私の仕事や学び方を大きく変えたものがあります。
AIです。
最初は便利な検索ツールだと思っていました。
分からないことを聞けば答えてくれる。
調べ物の時間を短縮できる。
その程度の認識でした。
しかし使い続けるうちに考え方が変わりました。
AIの価値は、答えをくれることではなかったのです。
私にとってAIは、自分の思考を映し出す鏡でした。
以前の私は、自分の経験や知識だけを頼りに考えていました。
もちろん経験は大切です。
営業を19年続けてきた経験もあります。
投資で失敗と成功を繰り返してきた経験もあります。
しかし経験が増えるほど、自分の考えに固執してしまう危険もあります。
人は誰でも、自分の考えが正しいと思いたくなるものです。
私も例外ではありませんでした。
記事を書く時もそうです。
投資を分析する時もそうです。
まず自分なりの仮説を作ります。
その仮説をAIにぶつけます。
すると賛成意見だけではありません。
反対意見も返ってきます。
自分が見落としていた視点も返ってきます。
時には、自分の考えの甘さを指摘されることもあります。
最初は少し悔しく感じることもありました。
しかし、その違和感こそが成長のきっかけになるのだと思います。
私はAIを使って答えを得ているのではありません。
思考を磨いているのです。
そしてAIを使うようになって驚いたことがあります。
それは、自分が思っていた以上に知らないことが多かったということです。
質問するたびに新しい視点が返ってきます。
そのたびに世界が少し広がります。
知らなかった業界。
知らなかった考え方。
知らなかった歴史。
学べば学ぶほど、自分の未熟さを実感します。
しかし、それは決して悪いことではありません。
むしろ成長の余地があるということです。
営業でも同じです。
まずゴールを考える。
そこへ向かうための道筋を考える。
問題を分解する。
仮説を立てる。
検証する。
改善する。
AIはその過程を一緒に考えてくれる存在です。
だから私はAIを使うほど、人間が考えることの重要性を感じるようになりました。
AIは答えをくれる存在ではありません。
自分の思考を映し出す鏡であり、ときには自分以上に厳しいパートナーなのです。
素直な人が一番強い
仕事でも投資でもAIでも、長く続けていると感じることがあります。
成長する人には共通点があります。
それは頭の良さではありません。
素直さです。
自分の間違いを認める。
人の意見を聞く。
新しい考え方を受け入れる。
まず試してみる。
改善する。
この繰り返しができる人は強いのです。
シンプルな話ですが、実際には簡単ではありません。
なぜなら人は、自分の考えを否定されたくないからです。
自分が正しいと思いたいからです。
私自身もそうでした。
過去を振り返ると、成功体験に縛られていた時期があります。
一度うまくいった方法を、そのまま別の場面でも使おうとしていました。
実際、東証のPBR1倍割れ対策で成果が出た後も、同じような考え方で別の銘柄に挑戦しました。
しかし結果は思うようについてきませんでした。
市場環境が違ったのです。
投資家心理も違いました。
企業の状況も違いました。
それなのに私は、以前の成功体験に引っ張られていました。
その時に思いました。
成功体験も時には足かせになるのだと。
失敗から学ぶことは多いですが、成功から学ぶことは意外と少ないのかもしれません。
なぜうまくいったのかを深く考えなければ、再現性は生まれません。
そして市場は常に変化しています。
技術も変化しています。
働き方も変化しています。
AIの登場は、その象徴だと思います。
本やYouTubeで多くの投資家の発信を見ていて感じることがあります。
結果を出している人ほど柔軟です。
人の意見を素直に聞きます。
新しい知識を吸収します。
そして改善が早いのです。
逆に伸び悩む人ほど、自分のやり方に固執しているように見えます。
能力の差ではありません。
学び続ける姿勢の差なのだと思います。
変化の激しい時代です。
昨日までの常識が、明日には常識ではなくなることもあります。
だからこそ私は、素直さが最大の武器になると思っています。
知識よりも大切かもしれません。
経験よりも大切かもしれません。
学び続けられる人だけが成長し続けられるのだと思います。
人生は複利でできている
投資には複利という考え方があります。
利益が利益を生み、それがさらに利益を生む。
長期投資の世界では当たり前の考え方です。
私は人生も同じだと思っています。
知識も複利です。
経験も複利です。
信頼も複利です。
学びも複利です。
一つひとつは小さな積み重ねかもしれません。
しかし時間が経つと、その差は想像以上に大きくなります。
若い頃の私は結果を急いでいました。
すぐに成果が欲しかった。
すぐに評価されたかった。
すぐに成長したかった。
しかし現実は違いました。
人生は一発逆転よりも、積み重ねの方が圧倒的に強いのです。
毎日の小さな改善。
毎日の小さな学び。
毎日の小さな挑戦。
一日だけ見ればほとんど変化はありません。
しかし一年後には差になります。
三年後には大きな差になります。
五年後には別人のような差になります。
実際、2014年に42万円から始めた投資は、今では約1,600万円まで増えています。
もちろん順調だったわけではありません。
7年間の塩漬けもありました。
損切りもありました。
判断ミスもありました。
失敗も数え切れません。
しかし、それでも続けてきました。
学び続けてきました。
改善を続けてきました。
その結果が今なのだと思います。
17年間仕事を続けてきて、このことを何度も実感しました。
突然成長した人はいません。
突然成果を出した人もいません。
見えないところで積み重ねた人が、ある日結果として表れているだけなのです。
だから私は焦らないようにしています。
結果を急がないようにしています。
大切なのは今日を積み重ねることだからです。
明日を変えるのは、今日の行動です。
未来を変えるのは、今の積み重ねです。
おわりに
営業で学んだこと。
投資で学んだこと。
AIから学んだこと。
振り返ると、それらはすべて同じ場所につながっていました。
未来を予測しようとしないこと。
未来から逆算して考えること。
本質を見ること。
決断を先送りしないこと。
失敗から学ぶこと。
素直に吸収すること。
そして挑戦をやめないこと。
私自身、まだ道半ばです。
これからも失敗するでしょう。
間違えることもあるでしょう。
投資でも仕事でも、思い通りにならないことはこれからもあると思います。
しかし、それでいいのだと思っています。
失敗は終わりではありません。
学びの始まりです。
挑戦しているから失敗するのです。
何もしていなければ失敗すらできません。
振り返れば、営業での失注もそうでした。
投資での塩漬けもそうでした。
思い通りにいかなかった経験の方が、今の自分を作ってくれています。
成功だけでは今の私は存在しません。
失敗も含めて、すべてが今につながっています。
未来は予測するものではありません。
未来は自分で作るものです。
だから私はこれからも学び続けたいと思います。
挑戦し続けたいと思います。
そして一歩ずつ前へ進んでいきたいと思います。
その一歩は小さいかもしれません。
しかし小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな未来を作ると信じています。
そのために今日もまた、自分にできることを積み重ねていきたいと思います。