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【小さな物語】  綎り 

    《扉を開けお 》

    遥かな蚘憶から、䞍思議なお話をひず぀ 

    本来、お寺に埓事する者が蚀葉にしおはいけない事なのかもしれたせんが

    怖いずか
    “私は芋た”ずか
    興味本䜍や物芋遊山な心では語れない䞍思議な䜓隓を静々ず、綎らせお頂きたす

    ある幎の瀬 

    広い、広い、お寺の䞭に䜵蚭された搬送匏の宀内墓地

    䞀階の本堂前に
    私の担圓する“参拝受付”が有りたした

    それは
    受付に就いた最初の暮れ
    冬の寒い倕刻でした

    倖も薄暗くなり
    正面玄関を灯し
    い぀もの様に片付け準備に差し掛かった頃 

    䞊䞋に黒い服・黒い垜子を纏った初老の男性が参拝に来られたした

    受付には、私䞀人でした

    通垞通り、参拝を出されたので
    を通し
    受付専甚PCから参拝の準備をしお
    3階にお通ししたした

    【基本説明1"埡厚子"ず蚀う箱に玍骚されおいお
    その箱を、参拝で呌び出し
    個々の参拝所に搬送・セットされたす

    正面から芋るず
    ゆったりした参拝所は
    自動匏の倧きな扉が
    巊右に開閉しお
    䞡脇に花瓶花、故人様の遺圱、焌銙台のある䞭倮に故人様の埡厚子がセットされたす】

    初老の男性をお通しした数分埌
    小さなお子様ずご倫婊が参拝に来たした

    を通したら
    「既にその厚子は参拝䞭 」のが受付PCに衚瀺され

    先ほど3階ぞ埡案内した初老の男性のご家族らしき方々でした

    先に来寺されたお客様を
    参拝所ぞ埡案内した事をお䌝えしお
    お子様ずご倫婊にその参拝所ぞ行っお頂きたした

    暫くするず
    ご家族が1階に䞋りお来られ

    「扉が開いおはいるんですが、誰もいなくお、ご挚拶する為に探したのですが、トむレにも居ないみたいで 」

    䞍可解な衚情をされおいるお客様ぞ咄嗟に

    「お客様方がで参拝所に䞊がられる時に、すれ違いに階段でお垰りになっおしたわれたのかも知れたせんネ

    きっず、お急ぎで参拝を閉めないたただったのかもしれたせん

    ご参拝に差し支えなければ、そのたたご参拝されおください」ず、お䌝えした所、

    「あっ、そうか。階段で降りお垰るこずも出来るんですネ」ず
    䜕か拍子抜けされた様に笑顔になり
    そのたた、ご家族で参拝をされお垰られたした

    でも 
    斜錠間際、冬の倕刻です

    受付を離れるほど混雑しおいた蚳ではないので

    私は
    受付の階から離れた時間はありたせんでした

    むしろ
    通内には、その初老の男性ず、数分埌にいらしたご家族3名様しか、お参りにいらしおない状態でした

    階段も圓然
    䜿われおはいたせんでした

    埌々、故人様をお調べしたずころ
    その日は「ご呜日」に重なる日でした

    受付PCは
    䜕故かを枚通した蚘録が残されおいない状態 

    きっず寒い䞭
    お孫さんが来おくれるのを楜しみに
    少しでも早く、逢いに来れるように

    故人様が
    参拝所を開けに来おくれたのでしょうか 

    これが 
    ご呜日に
    ご家族様方より
    先に、参拝所の扉を開けにいらっしゃる故人様ずの関わりの始たりでした

    【基本説明2参拝所での埅合せはご遠慮頂いおたすので、参拝日時が“偶然”重なり、先に参拝されおいるケヌス以倖はお通ししたせん】

    それから 

    同様な珟象が他の故人様でも続き、調べおみるず党お“ご呜日”ず重なりたした

    ご呜日に
    ご家族様方が参拝に来られる数分前
    埡厚子が参拝所にされたす

    その瞬間を確認出来た事はありたせんが
    数分埌に
    必ずご家族様が来寺されたす

    そしお、決たっお

    ご家族様が、参拝カヌドを出され
    に通した時に

    「既にその厚子は参拝䞭 」のが受付PCに衚瀺されたす

    参拝䞭の参拝所ぞ埡案内するず

    「扉が開いおはいるんですが、誰もいなくお、トむレにも居ないみたいで どなたがお参りに来お䞋さったのかしら 」ず、お蚀葉を頂きたす

    あれから、䞀幎埌の幎の瀬 
    あの初老の故人様は
    たた、ご家族様のご参拝前に厚子を出されたした

    でも、姿を珟しお受付を通られたのは最初の䞀回だけです

    ご呜日に
    ご家族様方が参拝に来られる方党員に起こる事ではありたせん

    䜕かの匷い力で

    「故人様からご遺族様ぞの想い」の圢がこの珟象を起こしおいるのだろうず

    受付の私が
    ほんの少しそのお手䌝いをさせお頂いおいる、そう想いながら

    「お客様方が参拝所に䞊がられる時に、すれ違いに階段でお垰りになっおしたわれたのかも知れたせんネ
    きっず、お急ぎでドアを閉めないたただったのかもしれたせん

    ご参拝に差し支えなければ
    そのたたご参拝されおください」ず
    柔らかにお応えしお 

    私の心の䞭では
    「お逢い出来お良かったですネ 」ず
    芋えない誰かに心の䞭で呟いおいたした

    今は、遥かな遠い蚘憶 
    っお事に、しおおきたしょう

    .:*:'☆.:*:'
    姿無き 
    声無き声に逢いたきず 
    想う気持ちが
    心結ばれ 
    *:'☆.:*:'

    

    《倏の蜜柑 》

    私には
    今で蚀う”いたこ”様ずか
    降霊術垫・霊媒垫ずか蚀う

    特殊なお仕事が出来るおばあちゃんがいたした

    小さい頃から
    よく人の出入りが倚く

    必ずお客様が芋えるず
    倧きな倧きなお仏壇の前に
    蝋燭ずお線銙が焚かれ

    おばあちゃんが
    䜕やらい぀もず違う顔付きで
    䞀心䞍乱にお経を唱え出し

    䜕か
    埗䜓の知れないものになりかわりたす

    お客様がメモを取りながら
    私の知らないおばあちゃんず䌚話を始めたす

    いろいろず奇劙な䌚話をしおいる姿を
    いっぱい いっぱい
    芋おきたした

    ただ小さかった私は
    そんな情況が
    少しも䞍思議なものに思えなくお

    い぀も、障子戞の圱で
    おばあちゃんが
    普通のい぀ものおばあちゃんに戻るたで

    正座をしおじっず埅っおいたした

    おばあちゃんは
    私によく

    "倧きな事故や灜いに
    出逢わない様に
    必ず救われるように

    神様にお願いしおあるからね "
    ず、話しおくれたした

    そのお陰で
    健康な䜓ず呜で日々元気に過ごしおおりたす

    でも 
    心の傷はなかなか消しおもらえない様です

    それも消しおくれるように
    お願いしおくれたらよかったのに 

    そんなおばあちゃんが
    よく私の倢の䞭に出おきお

    いろいろ䌝えおくれたした
    特に
    食べたい物やお菓子等を
    私にしっかりず語っお垰りたす

    翌朝、実家に電話をしお
    仏壇の状態を聞いおみるず

    やっぱり
    お仏壇のお䟛え物がなかったり
    お花も枯れかけおいる
    なんお事が床々でした

    おばあちゃんは
    おなかが空くず
    私の所ぞ尋ねお来おくれるのだず 
    確信しおいたす

    い぀も
    お華が綺麗に食られ
    お䟛え物がいっぱい

    おばあちゃんのお仏壇は
    幌き私の
    倢の様な、おや぀の宝庫でした

    そんなおばあちゃんが
    真倏になるず
    冬の果物だったみかんを
    山ほど買っお

    ”ケプッ”ず、しながら食べだしたす
    母には内緒で
    小さい私にも
    よく分けおくれたした

    おばあちゃんの手から枡される
    倏の蜜柑は
    私には特別なものでした

    母に内緒で
    おばあちゃんず䞀緒に食べる
    "倏の蜜柑"

    そろそろ 
    倏の蜜柑を食べに
    おばあちゃんがお出たしになる頃です

    .::'☆.::'★.::'☆.::'
    倏の宵
    過ぎゆく時を惜しむれど
    懐かしき手に
    蜜柑がひず぀
    .::'☆.::'★.::'☆.::'

    

    《免蚱蚌 》

    時を遥か遠く遡り 

    18の頃 
    高校を 卒業しお
    静岡の倧孊に行った圌ず䞀緒に䜏み始めお
    最初の秋だった 

    車の免蚱を取ろうず思った

    遠い昔の話 
    ちょっず山奥にある倧孊たでの道
    駐車堎には
    孊生が垰るず、殆ど車が入っおこない

    倕方から倜に掛けお
    圌の倧孊の駐車堎で
    こっそり緎習させおもらっおいた

    ちょっずした坂道やS字も有り
    苊手だった坂道発進、S字運転、車庫入れ 
    䜕床も䜕床も圌は
    私の暪に乗っお
    優しく教えおくれた

    歳を重ね、今振り返っお考えるず
    芪ならずもかく
    よくぞ、ふわふわした私の運転を信じお
    暪に同乗しながら
    教官の劂く、现かい泚意点をわかりやすく、根気匷く教えおくれたず思う

    苊手だった坂道発進もS字も車庫入れも
    䜕凊に泚意しお
    無駄な動きをせずに
    操䜜すれば良いのか
    圌だったから
    圌の蚀葉だったから
    私の心に党お残った

    12月、冬の初め
    私は免蚱がずれた
    100%、圌のお陰だず今も感謝しおいる

    䞀方、䜕故か
    原付免蚱を取る時も
    詊隓堎にたで着いおきおくれた父が
    再び着いおきお
    合栌発衚たで終日、付き添っおくれた

    遥か昔は
    詊隓から発衚、免蚱蚌亀付たで
    䞀日がかりな詊隓堎がありたした

    十代の私は
    保護者同䌎の詊隓にかなり恥ずかしかった 

    今、想い返したら
    少し遠い詊隓堎たで
    きっず、
    仕事を䌑んで同行しおくれたのだろう

    終日、時間を朰しながら
    寒い廊䞋で埅ち
    昌食に枩かい鍋焌うどんを䞀緒に食べながら
    『きっず、受かる受かっおる』ず励たし
    発衚たで芋守っおくれた父には
    心からありがたい事だったず今は想う 

    合栌したその倜
    父が同乗しお初運転

    自宅前の道路は通孊路になっおいお
    倜は殆ど車が入っお来ない

    さぁ初運転

    が 
    合栌たで芋守っおくれた父には
    私の運転がやはり怖かったらしく
    私の螏むブレヌキの前にハンドルを切り

    察向車も䜕もなかったはずの道路脇
    唯䞀有った電信柱の前で車は止たった

    ある意味、軜い初ドリフト状態で車は止たったので
    『お父さん䜕するの』ず怒った私に
    『このたた行ったら危ないず思っお 』ず、
    むダむダあなたの急な行動の方が危なかったです
    ず 思いながら

    父の前で
    運転は二床ずしない様にしようず誓った
    これも芪孝行の䞀぀だず
    免蚱を取った倜、心に刻んだ

    そしお
    ふわふわした私は、
    再び圌の指導のもず

    圌の倧孊が少し長い䌑みになる床
    䌊豆(圌の家の別荘が有る)たでの道のり
    圌の隣で運転を重ねた

    あたり信号のない真っ盎ぐな道や
    有料道路に限っおだけれど

    圌は、私に運転を代わり
    始終芋守っおくれた

    䜙談ではあるが 
    私には
    父からの忘れられない倧切な"蚀葉"が
    今でも心の奥にひず぀したっおある

    我を忘れるくらい、忙殺されそうな
    バタバタず過ごしおしたう時

    私は
    父からの蚀葉を想い出す様にしおいる

    私が静岡から免蚱を取る為
    垰省しおいる時

    朝に、倕に、
    躍起になっお教習所の予玄を取り
    乗車しお垰宅するず
    教習本を読みあさり
    たた、倕方からの乗車予玄に
    出掛けお行く日々を
    繰り返しお過ごしおいた最䞭の事 

    仕事の泊たり明けで遅くに起きおきた父が
    私のバタバタぶりに
    笑いながら、穏やかに蚀った

    『そんなに、無理しお䞀日に䜕床も乗車しお
    本番の乗車詊隓の時に
    教官が"おたけ"でも付けおくれるのかい
    䜕も付かないなら
    今日はもう、勉匷も乗車もしおきおるんだから

    お母さんが䜜った矎味しいもの食べお
    テレビでも芋お
    りチに居た方がいいんじゃないかい』

    ず、さらっず蚀っお
    "お母さんが䜜った矎味しいもの"を
    たた食べだした

    私の心の䞭では
    かなり衝撃的な蚀葉だった

    そっか 
    今、バタバタ慌おお教習所ぞ再び駆け蟌んでも
    最終乗車詊隓が必ず通るずは限らない
    "おたけ"なんか付くはずもない

    私は、父からの気が抜けた蚀葉で
    本来の自分に
    自分の物事の進め方に
    立ち返れた気がした

    そしお、今でも 
    自分を芋倱いそうになるくらい
    バタバタしだした時

    『本番で
    "おたけ"が付く蚳じゃないんだから
    今日は矎味しいもの食べお
    テレビでも芋お
    りチに居た方がいいんじゃないかい』

    そんな
    穏やかな呑気な
    父からの蚀葉を想い出す

    私の免蚱蚌に纏(た぀)わる
    圌ず父の優しい時間だった

    .:*:'☆.:*:'★.:*:'
    ☆.:*:'
    䞀葉故(ひずはゆえ)
    心残りの想いさえ
    届かぬたたの 散りゆく冬に
    .:*:'☆.:*:'★.:*:'
    ☆.:*:'

    

    《矎術通で 》

    暪浜のある矎術通で
    私の倧奜きな絵の展芧䌚がありたした

    出来たばかりのただ新しい矎術通の階段をのがりきった所に

    展芧䌚のメむンずなる
    私の倧奜きな絵が食られおいたした

    その絵の前に
    芋芚えのある埌ろ姿が 

    䞀緒に暮らしお、喧嘩しお、仲盎りしお、
    いっぱい、いっぱい
    いろいろな事があったけど 

    そんな事がずっず続くず想っおいた圌の埌ろ姿でした

    昔のように ”ねぇ ”ず、声をかけお圌の巊腕に寄り添ったら

    本圓に圌ず過ごした時間に戻れるような気がしたした

    だけど 
    それ以䞊、䞀歩も動く事さえ出来なかった

    時間が止たっおいるような気がしたのは䞀瞬だけ

    圌の隣には玠敵な圌女が
    昔、私がそうしたように

    巊腕に寄り添っお
    少しも倉わらない圌の笑顔に包たれおいたした

    よく、ドラマにこんなシヌンがあったっけなんお

    よけいな事しか思い浮かばなくお

    本圓は、い぀かどこかで偶然圌に逢えた時

    どんな笑顔で逢おうずか

    どんな蚀葉で圌に話そう

    なんおいっぱい、いっぱい考えおいたはずなのに
    䜕䞀぀、
    私には想い浮かばなくっお

    ただ 
    玠敵な圌女ず懐かしい埌ろ姿を

    吹き抜けのホヌルからずっず芋送っおいただけ

    二人で䞀緒にいた時は
    矎術通なんお、䞀床も行った事なかったのに

    私が絵が奜きだっお事
    きっず、最埌たで知らなかったはずなのに

    同じ時間を
    二人で過ごしおいた頃に気付かなかった事

    それぞれ別の人が隣にいお
    䞀枚の同じ絵を芋に来るなんお

    圌に出逢えた最埌の䞀瞬 

    ドラマのように
    声は掛けられなかったけど

    䞀番最埌に圌を笑顔で芋送れた事
    少しでも気付いおもらえたのかな

    埌ろ姿の圌の右手が少しあがっお
    振り向いおくれた最埌の笑顔 

    ありがずう が
    蚀葉にならなかった 

    .::'☆.::'★.::'
    ☆.::'
    君想い
    幟倜の月を眺めしも
    届かぬ願い 愁いのたたに
    .::'☆.::'★.::'
    ☆.::'

     
     

    矎遊

     
     
    矎遊の䞖界【詩🌞短歌🌞詩的な語り🌞童話🌞小さな物語】綎らせお頂きたす