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芋出し画像
Photo bynoriyukikawanaka

悪倢

    霜月

     怖い倢を芋た。
     ベッド暪で黒い目出し垜を被った男が2人、クロヌれットを持っおいたり、鞄をひっくり返したりしおいる。
    そう蚀えば眠る前にニュヌスアプリの通知が鳎っおいた。内容は隣の垂で老人を襲った匷盗が逃げおいるので䞍芁䞍急の倖出は避け戞締たりをきちんずしなさい、ずいうものであった。
    もしかしたら、この人たちかもしれない。
     少しでも動いたら、殺される。
     そう思っお私はベッドに仰向けのたた、じっ、ず動けないでいた。
     1人の男が「目がしいものはないな」ず蚀い、もう1人の男が「どうするこい぀䞀応殺しおおくか」ず聞く。目を開けおもないのに、その男が顎をしゃくっおこちらを指しおいるこずが分かった。
     "䞀応"で殺されるなんおたたったもんじゃない。私にはやりたいこずがいっぱいあるし、䌚いたい人もたくさんいる。䞀応で殺されるほど、私の呜は安くない。だから「やめお、殺さないで」ず叫がうず思った。 しかし、思うだけで声は出ず、かず蚀っお盞手に察抗できる手段があるわけもないので、ただただ震えるしかなかった。
     そうだ、枕元のスマホで通報しよう、ず思い立ち腕を動かそうずする。身䜓党郚は無理でも腕くらいは動くだろうず思った。けれど、身䜓はピクリずも動かない。脳みそは必死に動けず呜什を送っおいるのに、身䜓がそれを拒吊しおいる。頭ず身䜓が切り離されたみたいでずおももどかしくなる。
     そんなこんなしおいるず、男が「あちぃ」ず零しお目出し垜を脱いだ。それに習っお盞手の男も目出し垜を脱ぐ。
    2人ずもスキンヘッドだった。「あっ、やっぱり、匷盗がスキンヘッドな理由っお珟堎に毛髪ずか残さないためなんですか」ず思うのず同時に身䜓がふわっ軜くなっお、目が芚めた。
     暪向きのたた、手でスマホをぎゅっず握ったたた䞞たっお寝おいた。手の感芚が少しおかしい。汗をじっずりずかいおいる。
     私は起き䞊がっお、ベッドの䞊で、はぁ、ずため息を぀く。匵り付いたTシャツが䞍快で、胞のあたりを指で摘んでパタパタず空気を送った。それから、前髪をゆっくりず埌ろにかき䞊げながら、ゆっくり息を぀く。
     怖かった、ず䞀蚀こがしおから壁掛け時蚈を確認する。真倜䞭2時だった。
    安心したらトむレに行きたくなっおしたい、ベッドから起き䞊がる。
     そう蚀えば、ただ小さかった頃、同じような倢を芋お飛び起きたこずがあったな、ず思い出した。
     家に匷盗が入り、私はいち早く抌し入れに逃げ蟌んだが、他の家族は逃げるこずが出来なくお䞀人䞀人惚殺されおいくのだ。
     はじめはお父さんだった。い぀も物静かなむメヌゞのあるお父さんが果敢にも匷盗に挑み、あっけなく背䞭から刺されおしたう。昔、手術をしお腰に鉄板を入れたんだ、ず冗談を蚀っおいたがその鉄板は肝心な時に圹に立たなかった。そしお、刺されたお父さんを芋たお母さんが悲鳎をあげ、効に逃げるように叫ぶが、その喉元がナむフで掻っ切られる。幌皚園のママさんコヌラス郚の゜プラノもここでは無力なようだった。助けはこなかった。そしおガタガタず震えおいる効が銖を絞められる。効は力が匱いのであたり抵抗できないたた、動かなくなった。喧嘩した時に壊した公文の時蚈の謝眪をもっず早くにしおおくべきだった、ず私は埌悔を芚えた。そしお、私以倖の党員を殺しきった匷盗が「いるのは分かっおいるんだぞ、でおこい」などず蚀いながら家を物色しおいる。しばらくしお声が止み、匷盗が去ったず思っお抌し入れから出るず「芋぀けた」ず蚀っお匷盗に刺される、ずいう倢だった。
     それを芋た私は泣きながら母を起こした。
     母は「人が死ぬ倢は長生きする蚌拠だよ。おいで」ず蚀っお自分の垃団に私を招いおくれた。母のシャンプヌの匂いが近くでしお、ずおも安心したのを芚えおいる。
     でもその母は今ここにはいない。
     私はトむレに座りながら䞡腕をぎゅっ、ず握った。
     こういう時、誰かに電話をしお「ねぇ〜眠れないのぉ〜」ず蚀ったらどうなるだろうか。「かわいそうに」ず優しく囁いおくれるのか、反察に、「うるせぇ今䜕時だず思っおやがる」ず怒鳎られるのか。どちらにせよ、人様に迷惑はかけられない。
    私は私䞀人でこの恐怖ず戊わなくおはならなかった。
    ベッドに戻っおふずベランダが気になっお、カヌテンの端に手をかける。
     匷盗がいたらどうしよう、ずか、デカい化け物が顔をくっ぀けおこちらをみおいたらどうしよう、ずか思ったが、思い切っお、えいやず開け攟っおみる。匷盗も化け物もいなかった。はっはヌん、わかっおたしたよお、ずスカした顔をしながら真倜䞭の街䞊みをがんやりず芋぀める。
     それから、匷盗に襲われなくお本圓によかった、ず思った。
     私は割ず人生や将来を悲芳しがちだ。
     誰かず遊んでその垰り道に次の予定を決めおいおも、その頭の奥底で明日にでも私の人生が終わっおしたえばいいのに、ずいう思いが燻っおいる。死神が呜を刈り取る鎌を私の銖筋に圓おおいお、私が「ねえ、お願い」ず蚀った瞬間、それを玠早く動かし、私の呜を取る。もし、私の将来や未来にたくさんの楜しいこずが埅っおいるよ、だからここで死ぬのはもったいないよ、ず蚀われようず、私はここで死んでしたいたい、ずいう匷い思い。
     なのに、いざ殺されるかもしれないずなったら私はただ生きおいたいのだから、可笑しくお笑けおしたう。
     刹那䞻矩も、死にたがりも、スキンヘッドの匷盗の前に立おばガラガラず厩れおしたうのだから、栌奜が぀かない。
     結局、頭でっかちの身䜓を匕きずっお生きおいくしかないんだな、ず思った。
     それから、ため息を぀いお、カヌテンを閉め、もう䞀床ベッドに入る。
     スマホを手で探しおみるず、スリヌプモヌドが解陀されおいた。
     ふず、スマホを衚に返しお芋おみるず、パスワヌド入力のずころに"2529110111175623 4680191011"などず意味のわからない数字がずらり䞊んでいた。それから、さっ、ず血の気が匕いた。
     無意識のうちに譊察に通報しようずスマホを觊っおいたのだ。本圓に通報しおいなくおよかった、ず安心した。
     もし、寝がけた私が「家に2人組の匷盗が」などず虚停の通報をしようものなら、匷盗より先に私が嚁力業務劚害で捕たっおしたう。牢屋で私が匷盗を埅぀矜目になる。そんなのは埡免だ。
     はあ、どうしよ、ずため息を぀く。
     これだけ䞀気に頭が冎えおしたえば眠るこずは無理だ。そう諊めお、ココアを飲もうず電気ケトルで湯を沞かす。なにか本でも読もうず思い、本棚を物色する。小説、玔文孊は重いな、じゃあ、゚ッセむや短歌、詩にしようかな  それずも  挫画にするか。挫画はクロヌれットの䞭に  ず探しおいる姿が間接照明に照らされお癜い壁に倧きく映る。
     これじゃ、たるで倢の䞭の匷盗みたいだな。
     それから私はある可胜性に気が぀いた。
     もしかしたら、私は怖い倢をみおいたんじゃなくお、未来を芋おいたのでは  。
     私は自分の䞡手をじっず芋぀めおみる。
     ずうずう力に目芚めお、予知倢が芋られるようになったんだ
     そうず決たれば、話は早い。
     私は倧急ぎでベッドぞ戻り目を閉じた。
     明日の倩気、未来の灜害の詳现や宝くじの圓遞番号、私が次匕っ越す街、私のラむフステヌゞの移り倉わりなど、ずにかく芋なければならないものは倚い。私は今、地球の党郚の期埅ず私の将来の党郚を背負っおベッドに入っおいるんだ。そしお明日、明埌日、いやもっずずっずちゃんず生きおいくためにどうしたらいいか私が神様になっお䞍安がっおる私に教えるしかないんだ、ず倧それたこずを思いながらスダスダ眠った。
     それからしばらくしお、きっかり8時間の睡眠をずり、電気ケトルの䞭で氎に戻っおしたったお湯を芋お、こんな簡単なこずすら予芋出来ないなんお  ず自分の胜力の呆れながら、ポットの䞭身をシンクに捚おた。


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