
トイレットペーパードライバー(554文字)
昨年1月、朝6時のビジネス番組で高速道路で起こった渋滞に巻き込まれた際の腹痛など、緊急事態に対応する移動式出前トイレトラックという商品のPRが再放送された。
全国津々浦々に設置されたトイレトラックステーションは400カ所を超えていたとのことだった。
一般客でも観光料を払えば入られる。
観光料を取るタイミングは普通高速料金やETCを通るゲートで自動的に徴収される。
それは、高速道路だけでなく、国道を含めてトイレステーションの敷地を通るからだそうだ。
その施設を運営する企業理念には「立ち往生の中でも快適に」という名目で遂行されているが、俗には脱糞保険と言われている。
その代わりと言えるかは分からないが、ゲートを通った後に無料で缶コーヒーと乳酸菌飲料を配布し、1カ所1本という条件を守りさえすれば、何本でも受け取れるとのことだった。
タロウは朝ご飯であるハムサンドを食い終えて、白湯をゆっくりと飲んだ。
「こういうアクロバティックなトイレで一時を過ごすのって思い出に残るよねぇ。」と静かに呟き、リモコンの赤色の電源ボタンをクリックした。
窓から見える景色では雪がしんしんと降っていた。
タロウは一人でトイレットペーパーを入れたレジ袋を握りしめてエレベーターを降りる。
地下4階で降りたタロウは、従業員専用扉を蹴って入っていった。