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ほどいおは巻き、巻いおはほどくヌ『氎蟺のし぀じ』ep.3

    ゆきお


     


    よもぎさんに捧ぐ

     赀い蝶ネクタむが、僕――貝原瑞暹の銖元でぐるぐる回っおいた。


     鏡の䞭の自分は、どう芋おもたずもじゃない。


     頭にはサンタ垜。  錻には䞞い赀錻。  胞には『超特䟡 焌きむカありたす』の札。


     十九歳のクリスマスむブにする栌奜ではなかった。


    「瑞暹ィ ただ着替えおねえのか」


     䌑憩宀の扉が勢いよく開く。


     党身金色の店長が立っおいた。


     クリスマスだかららしい。  意味はわからない。


    「店長  僕ほんずにこれ着るんですか  」


    「圓たり前だろ 今日は決戊日だぞ」


    「焌きむカですよね」


    「だからだ」


     店長は僕を指差した。


    「䞖の䞭みヌんなチキンだケヌキだ蚀っおる時代に焌きむカ この逆匵り粟神 これぞ商魂」


    「商魂かなあ  」


    「あずお前、顔が匱そうでいい。」


    「悪口ですか」


    「最高の耒め蚀葉だ。」


     店長は満足そうに頷く。


    「寒空の䞋、震えながら焌きむカを売る青幎  人はそこに“物語”を芋るんだよ。」


     その蚀い方で嫌な予感がした。


    「たさか倖販  」


    「もちろん倖販だ。」


    「いやです。」


    「ダッフンダ」


    「抌し切らないでください」


     店長はどこからかサングラスを取り出し、僕ぞぐいっず抌し぀けた。


    「そしお今日は特別に、“売りたくるマン”になっおもらう。」


    「なんですかそれ  」


    「りルトラマン的な。」


    「絶察違う。」


    「売りたくるマンは宇宙の平和より圚庫を守る」


    「守るものが小さい」


     その時だった。


    「店長。」


     䜎い声が飛ぶ。


     振り返るず、厚房から牧野先茩が出おきおいた。


     黒い゚プロン姿のたた、ものすごく嫌そうな顔をしおいる。


    「たた新人で遊んでるんすか。」


    「遊んでない。これは戊略だ。」


    「じゃあ䞀人でやっおください。」


    「えっ。」


    「あず圚庫確認ただですよね」


     店長の顔が死んだ。


     牧野先茩は無蚀でトングを持ち䞊げる。


     店長は秒速で厚房ぞ垰っおいった。


     去り際だけ、


    「ダッフンダァ」


     ず叫んでいた。


     最埌たでうるさい人だった。


         ◇


     倖ぞ出る。


     冷たい颚が錻を刺した。


     向かいのコンビニでは、ダりンゞャケットを着蟌んだ店員が肉たんを売っおいる。


     ちゃんずしおる。


     僕だけだ。


     赀錻぀けお焌きむカ売っおるの。


    「焌きむカいかがっすかヌ  」


     声が匱い。


    「聞こえねえぞ売りたくるマン」


     店長の声が店内から飛んできた。


     なんで聞こえるんだろう。


    「焌きむカです  」


    「腹から」


    「焌きむカァ」


     通行人がびくっずした。


     高校生の集団がこちらを芋る。


     䞀人が吹き出した。


    「なにあれ。」


     終わった。


     そう思った瞬間だった。


    「ダッフンダ」


     僕はなぜか叫んでいた。


     沈黙。


     したったず思った。


     しかし次の瞬間。


     女子高生が腹を抱えお笑い始めた。


    「ダバい なにそれ」


    「昭和 昭和すぎる」


    「焌きむカください」


    「こっちも」


     なぜだ。


     なんで売れおいる。


    「ありがずうございたヌす  」


     僕は半泣きでむカを焌いた。


     気づけば、


    「売りたくるマン頑匵れヌ」


     ずか蚀われおいた。


     人生、䜕が起こるかわからない。


         ◇


     店内は少しず぀混み始めおいた。


     ケヌキ箱を抱えた䌚瀟員。  スマホを芋぀めながら誰かを埅぀高校生。  小さな花束を持っおコヌヒヌを飲む男。


     みんな、誰かのために動いおいる倜だった。


    「瑞暹、裏の圚庫芋おきお。」


    「はい。」


     䌑憩宀ぞ向かう。


     段ボヌルを数え始めた時、玙袋が目に入った。


     玺色のネクタむ。


     今日の垰りに着けようず思っおいたや぀だ。


     別に意味なんかなかった。


     ただ、なんずなく。  今日くらい少したずもな栌奜をしたかっただけだ。


    「瑞暹 配膳お願い」


    「はい」


     僕はトレヌを持っお客垭ぞ向かう。


     コヌンスヌプずカフェラテ。


     䞃番垭。


     番号札の向こう偎。


     癜いマフラヌが芋えた。


     心臓が止たりそうになった。


    「  あ。」


     圌女だった。


     癜いコヌトに顔を半分埋め、眠たそうな目で僕を芋る。


     そしお、ふっず笑った。


    「瑞暹君。」


     その䞀蚀だけで、呌吞が倉になる。


    「お埅たせしたした  コヌンスヌプず、カフェラテです。」


     噛たなかった。


     奇跡だった。


    「ありがずう。」


     湯気が圌女の睫毛をゆっくり揺らす。


    「䜕時たで」


    「え」


    「バむト。」


    「ああ  九時。」


    「そっか。」


     圌女はカップぞ手をかざした。


     僕は逃げるみたいにレゞ裏ぞ戻る。


    「圚庫䜕個だった」


    「あ。」


    「お前絶察芋おねえだろ。」


     牧野先茩が笑う。


         ◇


     閉店前。


     圌女はただ垭にいた。


     空っぜのカップの前で、うずうずしおいる。


    「  寒くない」


    「ちょっず。」


     僕はポケットからカむロを出しおテヌブルぞ眮いた。


    「䜙っおたので。」


    「嘘だ。」


    「  はい。」


     圌女が笑う。


     僕は芖線を逞らした。


     クリスマス゜ングが流れおいる。


     楜しそうな曲なのに、なぜか少し寂しく聞こえた。


    「あ、瑞暹。もう䞊がれ。」


     牧野先茩だった。


    「でもただ  」


    「いいから行け。」


    「いや  」


    「わかんねえだろ」


     先茩はニダッず笑った。


    「だから行くんだろ。」


     僕は返事ができなかった。


     ただ頷いお、曎衣宀ぞ向かった。


         ◇


     サンタ垜を脱ぐ。


     赀錻を倖す。


     蝶ネクタむをほどく。


     玙袋から玺色のネクタむを取り出した。


     鏡の前で締める。


     ぎこちない。


     苊しい。


     少し曲がっおいる。


     でも、これでよかった。


     意味なんおない。


     それでも、この栌奜で䌚いたかった。


     店を出る。


     街は光だらけだった。


     なのに䞍思議なくらい静かだった。


    「瑞暹君。」


     振り返る。


     癜いマフラヌ。  癜い吐息。


     圌女が立っおいた。


    「埅っおた。」


     僕は䜕床か瞬きをした。


     本圓にいるのか確かめるみたいに。


    「倉かな。」


     圌女が僕のネクタむを芋る。


     僕は少し考える。


     そしお蚀った。


    「うん。」


    「えっ。」


    「でも。」


     喉が熱い。


    「䌌合っおる。」


     圌女が吹き出した。


     笑い声が冬の空ぞ溶けおいく。


     颚が吹いた。


     ほどけかけたネクタむが、倜の䞭で静かに揺れおいた。

     
     
     
    スキにキス。奜きなものが人生をめっちゃハッピヌにする。日々の生掻はそれをずこずん味わうためにある。読曞、映画鑑賞、写真撮圱。芪友ず過ごす時間。劻の手䜜りハンバヌグ。たずえ䜕があっおもそこにスキがあればい぀だっおい぀たでだっお幞せだ。代。サラリヌマン。既婚。人子持ち。郜内圚䜏

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