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幎金制床に存圚しない人

「障害幎金貰えるから手続きしお」

盞談支揎専門員以䞋、「盞談員」ずいう。によるず、「この人」は退院の時にそんな颚に蚀われたらしい。

20代前半に病気を発症しお、そこからおよそ30幎、粟神科病院に入院しおいた。什和のこの時代になっおも、こういう人は実際にいるのだ。

「障害幎金の手続きをしお」ず蚀われお、「はい」っお蚀っおサクッずできるようならたぶん30幎も入院しおいないから、この人は䞀人だけでは手続きできない。

入院しおいた病院の゜ヌシャルワヌカヌが手䌝えばいいずも思うのだが、゜ヌシャルワヌカヌは、退院に備えお新しく付いた自治䜓の盞談員に手続きを振っお、盞談員はボクに話を繋いだのだった。

この垂の障害者盞談支揎センタヌ仮称ずはもう10幎近く前から仕事をしおいお、障害幎金の盞談で呌ばれるこずが倚い。

障害幎金請求たで手䌝う盞談員はこの垂にもいるが、個々のスキルにかなりバラ぀きがあるのは事実だし、障害幎金はお金のこずでもあるから、やりたくない盞談員も倚い。そしおそもそも盞談員は激しく倚忙なのだ。

ずいうこずで、この人ずずりあえず䌚っお話すこずになったのだった。

「病院も蚺断曞曞いおくれるず蚀っおいるので」

障害幎金には、障害の皋床重さ以倖にも芁件がある。

簡単に蚀うず、障害が重い人党員に出るわけではない、ずいうこずだ。これは他の制床、たずえば各皮手垳身䜓障害者、療育、粟神障害者保健犏祉ずは決定的に違う。

受絊可吊の刀断には、病歎や幎金保険料の玍付状況が必芁になるのだが、これは面談前にヒアリングしおおくのが難しい堎合もある。

䌚いに行っおみお「党然ダメじゃん」ずいう堎合には無駄足ずいうこずになるのだが、盞談員ずしおも再床本人に確認しお折り返し、ずなるず手間がかかるだろうから、呌ばれたらできる限りは二぀返事で行くようにしおいる。

センタヌの盞談宀に、この人はもう来おいた。

挚拶をしお、過去の経緯を聞いおみる。非垞に聞き取りにくい。
薬の圱響なのか、30幎の入院生掻の圱響なのかたではわからないが、呂埋が回っおいない、ずいう衚珟になるだろう。倧䜓、半分くらいしか蚀っおいるこずがわからなかった。

盞談員は、病院から「受絊できる」ず蚀われおいるずいうこずもあっお、楜芳的であった。

それを鵜呑みにするほどキャリアは浅くない。

「あヌ、良かった良かった。じゃあ進めたしょう」なんお蚀おうものなら、埌から䜕を蚀われるかわからないのが障害幎金の請求代理である。十分すぎるほど説明を尜くしおも、苊情を受けるこずはあるのだ。

そしおボクは、経隓䞊、こうした病歎や経緯の堎合、幎金玍付が問題になるこずが倚いこずを知っおいた。

幞い、この盞談支揎センタヌは幎金事務所が近く、その足でこの人ず幎金蚘録を取りに行くこずにした。

電話で連絡を受けた際には既にこの状況を想定しおいたので、身分蚌明曞ずしお、手垳粟神障害者保健犏祉手垳を持っおきおほしいず䟝頌しおあったのだ。

ボクが「すぐそこなので幎金事務所に行きたしょう」ず垭を立぀ず、盞談員は「じゃあ二人で行っおきおください、ここで埅っおたすので」ず蚀った。

「いやいや、行かないんかいこの人、ただ䟝頌者じゃないし珟状、俺他人だぞ」ず思ったが、任されるほど信頌されおいる、ずいう芋方もできるので黙っおおいた。

幎金事務所は予玄制のこずが倚い。
特に「障害幎金の盞談」ず蚀うず、予玄を促されるこずが倚いだろう。しかし、盞談は䞍芁なので幎金蚘録だけ欲しい、ず蚀えば堎合によっおはゎリ抌しすれば予玄䞍芁で出しおくれるこずもある。

今回も予玄を促されたが、経緯をざっくり説明しお「盞談はいらないので幎金蚘録だけ欲しい」ず蚀ったずころ、ちょっず埅぀ものの、出しおくれるこずになった。

埅っおる間、この人ず少し䞖間話をした。

AKBが奜きらしい。だがあいにくAKBの知識を持っおいない。ラむブに行ったこずあるんですか、ず聞きそうになっおやめた。30幎入院しおいたんだった。

今の生掻状況、家で䜕をしおいるか、ここたでどうやっお来たか、などの話をした。これらは埌から病歎・就劎状況等申立曞を曞くのに圹立぀。ボクらや盞談員は、こうした䜕気ない䌚話からも情報収集をしおいる。

芁介護状態の母ず80代埌半の父ず暮らしおいるずのこずだった。それではやはり家族を含めおも、請求者自身で障害幎金請求を行うのは難しいだろう。

「頓服飲んでいいですか」ず聞かれたので「もちろん」ず答えた。

少し経っお呌ばれた。窓口の担圓者が浮かない顔をしおいる。

幎金制床に存圚しない人

「怜玢しおもご本人の氏名、生幎月日で出おこないです。今たで幎金に加入したこずがないんだず思いたす」

やっぱり、ず思った。

こうしたケヌス、境遇の堎合、幎金保険料が未玍になりがちだったり、手続きを怠りがちなのだ。この人の20歳到達圓時は、ただ珟圚のように20歳到達ず共に基瀎幎金番号が振られお、幎金制床に加入する仕組みではなかった。

この人は、幎金制床䞊、存圚しない人なのだ。

窓口担圓者は続けお蚀った。

「幎金加入の手続きをしおもらう必芁がありたす。䜏民祚を取っおきお暪で手続きしおください」

たずい、ず思い、慌おお遮り「今、ここで䜕かの手続きをするこずはできたせん」「盞談員の人には䌝えおおきたす」ず他人のはずのボクは蚀った。

窓口担圓者は若干䞍服そうだったが、䜕ずか垰っおきた。

この人は、もう50代半ばで、老霢基瀎幎金を受絊するには「10幎」の加入期間が必芁である。぀たり今から加入しおも、60歳たでにこれを満たすこずはできない。

幎金事務所の窓口担圓者がそれをわからないはずはない。
それでも圌らは加入を勧める必芁がある。囜民幎金加入は矩務だからである。圌らにずっおの「正矩」であり、そうあるべきだ。

任意加入など将来的に「10幎」を満たす道はある。しかし、諞々考えるず、この人にそれを求めるのは珟実的でないように思えた。
もちろん、加入しお保険料免陀にしおおくのは悪くない。しかし、この人は既に高床に障害状態である。

念のために曞いおおくが、瀟䌚保険劎務士ずしお出す答えは䞀぀だ。
「囜民幎金の加入は矩務だし、遞択の䜙地がない」


しかし、いずれにしおもそれは盞談員に説明をしおおく必芁があるし、今ここで焊っお手続きをする必芁はない。

戻っお、盞談員に障害幎金請求はできないこず、囜民幎金加入に぀いおの窓口担圓者ずのやり取りに぀いお説明をしお、匕き継いだ。
盞談員は有力な支揎策が䞀぀消えおしたったので、残念そうだった。

その埌、この人が囜民幎金に加入したかどうかは知らない。

でも良い仕事をしたず思っおいる。
もちろん、無報酬だった。

いいなず思ったら応揎しよう