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うたかた

ほんとうに、ふっと、なにげなく、思い出すかのように自然と、死を思うことがある。死にたいとか死にたくないとかそんな意思とは無関係に。ただ単に。
今ではないだけのいつかに目を閉じて何も感じなくなる瞬間がくるんだと思うときがある。
それは悪くもなく良くもなく。ほんとうにただふっと思う。それに名のある感情をつけるなら、空しさというんだろうか。

それは
空の色が変わりはじめるときに
通り過ぎる電車の中にいる人たちをながめているときに
何気なくファストフード店でイートインしているときに
ベランダで車や自転車の通り過ぎる音を聞き流しているときに
夜ベッドの上で眠ろうとするまさにその瞬間に
目の前で話す人のうまく笑えない笑顔をみたときに

あまりになにげない
そこはかとなく思う
考えてもなにもない
ほんとうになにもないのに
なのに頭にぼんやりと
でもなぜかはっきりと
いつか、いつの日か。ただそれは今それを思った瞬間ではなく1秒後でもない多分少し先の未来にいつも可能性だけがある。
ただ忘れているだけ。
忘れたいわけでも思い出したくないわけでもない。でも思い出したいわけでも覚えていたいわけでもなく。

なんなんだろうか。
なにがあるのだろうか。
なにもないのだろうか。

また、視線を変えれば頭の片隅に消えていく。
次の動作を始めれば消えていく。
なくなるわけではないふしぎな気持ち。

きっとまた明日が来る。1週間後、一ヶ月後の予定もある。それはほんとうに当たり前のような顔をしていて。私もそんな気でいたのに。一瞬だけほんとうに来るのか疑問に思う。ふわふわとしたとりとめもない疑問。
そんな疑問も30分後には消えている。

私は立ち上がって生活に戻る。戻ればすぐに順応する。予定も明日も仕事も当たり前の日々に。
わからないけれど宙に浮いたこの感触を、またいつか思うときまで。

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