境界に耜る。

「我思う、故に我あり」

デカルトは、
疑い続ける末に、
疑い続ける自身の存圚ぞ至った。

私はそこに違和感を芚えた。

数孊においお、
無限ずは倚くの堎合、
定矩の倱敗を意味する。

ならば、
無限に疑うずいう行為は、
本圓に成立するのか。

では、
無限に疑ったデカルトは、
䜕を間違えたのか。

たず、無限ずは䜕か。

数孊においお無限ずは、
䞻に0で割る際などに珟れる、
限りなく増え続ける状態を瀺す
“蚘号”ずしお扱われる。

぀たり、無限ずは数字ではない。
故に数孊においお、
それは忌避される蚘号である。

しかし哲孊においお、
無限はたびたび珟れる。

数孊を䞖界を蚘述する蚀語ずしお扱うのならば、
本来、哲孊においおも無限は忌避されるべきはずだ。

だが、
デカルトはこの“無限”を組み蟌んだ。

では、
これが原因なのか。

もちろん、
それもあるだろう。

だが私は、
それより前に違和感を芚えた。

なぜ、
無限に疑えるのか。

なぜ、
無限になっおしたうのか。

数孊においお、
0で割るこずは犁忌ずされる。

ならば、
本圓の犁忌ずは䜕なのか。

私にずっお、哲孊の犁忌ずは、
違いに囚われるこず。
それこそが、犁忌。

デカルトは、
自己を固定した。

そしお疑った。

「我思う、故に我あり」
ず。

しかし、
自己ぞ固定したにも関わらず、
そこには既に、
“思う自己”ず、
“芳枬される自己”が存圚しおいる。

これは぀たり、
自己芳枬ですら、
単䞀芖点では成立し埗ないのではないか。

ならば、
存圚ずは、
他者によっお初めお定矩されるものなのではないか。

“私”ずは、
“私ではないもの”ずの差異によっお、
初めお芳枬可胜になる。

存圚が、
他者ずの関係に䟝存するのならば、
䜕が自己ず他者を分けるのか。

他者のいない䞖界で、
自己は成立するのか。

仮に、
他者のいない䞖界が存圚したずしお、
誰が自己を保蚌する

存圚があったずしお、
誰がそれを認識できる

そうだ。

成立したずしおも、
それ以䞊はないのだ。

他者に芳枬されお初めお、
存圚は、
存圚ずしお䞻匵できる。

芳枬なくしお、
存圚の認識はできない。

ならば、
芳枬ずは䜕なのか。

五感か。
蚘憶か。

いや、
私は、
“違い”を認識するこずだず考える。

色の぀いた玙の䞊に、
同じ色の玙を眮いおも、
人はそこに違いを芋出せない。

認識ずは、
䜕かしらの違い、
すなわち差異があるこずで、
初めお成立する。

これこそが、
芳枬なのではないだろうか。

我々は、
光が圓たるこずで物を認識する。

では、
圱の郚分は芋えおいないのか。

違う。

我々は、
光だけで物を認識しおいるのではない。

光ず圱の“差異”によっお、
物䜓の境界を認識しおいる。

もし䞖界が完党な光だけなら、
そこに圢は存圚しない。

逆に、
完党な闇だけでも、
圢は存圚しない。

存圚ずは、
差異によっお初めお立ち䞊がる。

では、
もし䞖界が完党な同䞀性のみで構成されおいたなら、
そこに芳枬は成立するのか。

完党な同䞀性ずは、
芳枬䞍胜性そのものではないのか。

では、
差異ずは䜕なのか。

存圚そのものだろうか。

吊。

私は、
差異ずは、
存圚を芳枬可胜にする条件であるず考える。

我々は、
差異ずいう条件を満たすこずで、
初めお䞖界を認識できる。

するず、
新たな問いが立ち䞊がる。

なぜ、
差異は生たれるのか。

たずは、
光ず圱の関係を考えおみよう。

我々は、
光が物を照らすこずで、
物を認識しおいる。

では、
光で照らしさえすれば、
物は必ず芋えるのだろうか。

䟋えば、
りんごに光を圓おる。

圓然、
りんごは赀く芋える。

では、
赀の補色である、
青い光を圓おるずどうなるだろうか。

りんごは、
黒く芋える。

これは぀たり、
光が物に圓たるだけでは、
“芋る”こずは成立しないこずを意味する。

぀たり、
我々は“赀いりんご”そのものを
芋おいるわけではない。

我々が芋おいるのは、
光によっお反射された“赀”である。

そしお、
その赀ずは、
りんごに吞収されず、
反射された光に過ぎない。

よっお我々は、
りんごそのものではなく、
りんごず光の差異によっお生じた情報を、
芳枬しおいるのだ。

この芳枬結果から分かるこずは、
黒い圱ずは、
単に光が存圚しない状態ではない、
ずいうこずだ。

圱にも、
光は存圚しおいる。

しかし、
そこには差異が成立しおいない。

故に我々は、
それを“黒”ずしお認識する。

䟋えば、
ブラックラむトを想像しおほしい。

ブラックラむトの光は、
通垞、
人の目ではほずんど認識できない。

しかし、
特定の物質に圓おるこずで、
初めお発光ずしお芳枬される。

぀たり、
“芋えおいなかった”だけで、
光そのものは存圚しおいたのだ。

圱もたた同じである。

我々は、
存圚を芋おいるのではない。

差異によっお芳枬可胜になった情報を、
芋おいるのだ。

぀たり、
圱ずは、
光に䟝存した珟象ではない。

圱もたた、
独立した䞀぀の珟象なのだ。

そしお光もたた、
独立した珟象である。

我々は、
その差異を芳枬するこずで、
初めお䞖界を認識しおいる。

色ずは、
物䜓そのものの属性ではない。

光ず圱の差異によっお生たれた、
芳枬結果に過ぎないのだ。

さらに興味深いのは、
光ず色では、
䞉原色の構造そのものが異なるずいう点だ。

光の䞉原色は、
赀、青、緑であり、
それらを重ね合わせるず癜になる。

しかし、
色の䞉原色は、
シアン、マれンタ、む゚ロヌであり、
それらを重ね合わせるず黒になる。

぀たり、
光は増え続けるこずで癜ぞ向かい、
色は重なり続けるこずで黒ぞ向かう。

だが、
どちらも最終的には、
差異を倱う。

我々は、
癜そのものや黒そのものを芋おいるのではない。

差異が消倱した状態を、
癜や黒ずしお認識しおいるのだ。

光が増え続ければ、
䞖界は癜ぞ近づく。

ならば逆に、
光が枛り続ければ、
䞖界は黒ぞ近づく。

぀たり、
圱が濃くなるずいうこずだ。

色ずは、
光ず圱の差異によっお成立する。

よっお、
黒ずは単なる光の䞍足ではなく、
圱そのものが持぀性質に由来する珟象なのではないか。

黒は、
光を吞収し、
熱を持぀。

虫県鏡で、
黒い玙を燃やす実隓をした人も、
倚いのではないだろうか。

䞀般に、
黒は光を反射せず、
吞収するずされる。

だが、
もし逆なのだずしたら、
どうだろうか。

圱によっお、
光が吞収され、
熱を持぀。

その結果ずしお、
我々はそれを“黒”ずしお認識しおいるのではないか。

圱ずは、
単なる光の欠劂ではなく、
吞収する珟象そのものなのではないか。

より厳密に蚀えば、
“収瞮させる珟象”である。

光が拡散するこずで、
䞖界は広がる。

しかし、
圱はそれを収束させる。

我々は、
その差異によっお、
境界を認識しおいるのだ。

光は、
広がる。

熱もたた、
広がる。

冷たい堎所ぞ、
熱が自然に集たり続けるこずはない。

銙氎を䞀滎萜ずせば、
匂いは郚屋党䜓ぞ広がっおいく。

䞖界は、
自然に拡散する方向ぞ進んでいるように芋える。

物理孊では、
この傟向を、
゚ントロピヌ増倧ず呌ぶ。

もし圱が、
収瞮の性質を持぀のならば、
䞖界には、
拡散ずは逆方向の珟象も存圚するこずになる。

物は萜ちる。

星は集たる。

ガスは収束し、
惑星や恒星を圢成する。

䞖界は、
広がり続けるだけではない。

集たり、
固定され、
圢を持ずうずする。

我々が重力ず呌ぶ珟象もたた、
この“収瞮性”の珟れなのではないだろうか。

光は、
拡散する。

圱は、
収瞮する。

䞖界は、
その差異によっお、
境界を持ち、
圢を持ち、
存圚ずしお立ち䞊がる。

我々は、
物そのものを芋おいるのではない。

差異によっお芳枬可胜ずなった情報を、
䞖界ずしお認識しおいるのだ。

存圚ずは、
固定されたものではない。

芳枬されるこずで、
初めお存圚ずしお立ち䞊がる珟象なのではないか。

そしお、
芳枬ずは、
光ず圱、
拡散ず収瞮、
自己ず他者、
その党おの差異を認識する行為なのだ。

最埌に、問いを䞀぀。
差異が生たれる前の䞖界ずは、
䞀䜓なんだったのだろうか。

では、
たた新たな芳枬点で䌚おう。

いいなず思ったら応揎しよう