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琵琶湖疏水はお花見街道 成瀬が教えてくれない大津観光案内 ⑪

    前回の記事

    びわ湖開きも終わって桜が咲く頃に差し掛かると本格的な観光シーズンである。桜は既に開花して見頃を迎えようとしている。急に暖かくなり一気に開花したものの、花冷えを挟んだのですぐに散り果てることはなさそうだ。
    今回は、大津市内のスポットを取り上げるのは記事の初めだけである。お薦めのお花見コースとして琵琶湖疏水を採り上げていく。

    三井寺みいでら(園城寺おんじょうじ)

    琵琶湖の畔ほとり三保ヶ関みほがせき、いや、三保ヶ崎みほがさきの取水口から琵琶湖疏水は始まる。相撲部屋と取り違えてついつい三保ヶ関って呼んじゃうんだよな。最寄りの京阪電車の三井寺駅から歩を進めてみよう。
    改札口を出て道を渡ってすぐに近江牛の品川亭がある。ここ大津本店はテイクアウト専門だが、揚げたての近江牛コロッケが食べられる。歩き食いのお供にお土産にお薦めするよ。

    琵琶湖疏水の脇には、近江八景三井晩鐘で有名な三井寺がある。三井寺の境内については、次回以降に詳しく案内するので、思い切って割愛しちゃう。琵琶湖疏水を歩くついでに三井寺を拝観するなら、最低でも2時間は欲しいところだな。

    三井寺周辺は他にも見どころが多いので、できれば疏水の花見と分けてじっくり訪れたい。

    琵琶湖疏水

    三保ヶ関の取水口から琵琶湖疏水の第1疏水が、京都の鴨川に向かって延びる。

    大津の次に琵琶湖疏水が地上にお目見えするのは、京都府境を越えて山科疏水と呼ばれる区間に入ってからである。その先は、京都観光案内になってしまうがご愛嬌だ。

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    大津閘門 こうもん

    滋賀県民の決めゼリフとされる「琵琶湖の水止めたろか」を実行可能にした2箇所のうちの一つだ。堅牢そうな石垣に囲まれた水門の大津閘門こうもんだ。校門でも肛門でも黄門でもないぞ。門構えに甲かぶとで閘門な。

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    大津閘門

    始点となる取水口から程なくして長いトンネルに差しかかる。桜の名所としてよく写されるのは、トンネル手前のこの短い区間である。

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    毎日新聞

    びわ湖疏水船

    琵琶湖疏水のお花見は、ウォーキングかポタリング(サイクリング)かクルーズかの3択になる。

    大津閘門を過ぎると船着き場がある。山科、蹴上けあげでも乗れるが、やはり三井寺から乗るのがお勧めだ。

    ここでは疏水を歩くことを主眼に置くので、代わりにフォロワーさんによる乗船記の記事を貼らせてもらった。 しかし、ガイド付きの少人数の船でトンネルが連続する水路を行くのは、なかなかに楽しかった。桜の季節は予約が殺到するので、翌年以降の予約はお早めに。

    大津市前市長越直美の唯一と言っていい功績は、びわ湖疏水船の進水を働きかけて実現させたことだろう。管理する京都市の協力にも敬意を表したい。

    小関越こぜきごえ

    東海道の逢坂関おうさかのせきを大関とも呼ぶので、こちらは小関越と呼ばれる。主に西近江路からの旅人が通ったようだ。

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    左手の旧道(車は入れない)に入る

    急勾配は峠付近だけなので、割と楽に越えられる。

    小関越は峠の手前にある地蔵(喜一堂)くらいしか目印がないんだよな。そんなに歩きづらくはないので、気に病むことはない。

    寂光寺の藤尾磨崖仏まがいぶつ

    なんと、岩肌に掘られた石仏がお堂に収められている。時間があったら立ち寄ってみてくれい。

    京都山科珈琲

    自家焙煎コーヒーが楽しめる地域の喫茶店だが、周辺に一休みできそうな店がない。ちなみに、店名とは裏腹に、所在地が滋賀県大津市藤尾奥町なのは、あまり触れないでおこうや。府県境に位置するので大目に見てやってくれい。「京都のほうから来ました」ってな。

    山科疏水

    ここから先は京都府に入るので、大津観光案内ではなくなる。書いていてもタイトルを偽ったようで背徳感がある。
    大津から鴨川に至るまで、トンネル以外は多くの区間で第1疏水に沿って行くが、全線が第1疏水であり、第2疏水は全線がトンネルである。疏水沿いの多くが遊歩道になっている。ところどころにベンチや遊具があり、快適な散歩ができる。四ノ宮から日ノ岡までの約4kmの区間を東山自然緑地と呼び、660本の桜並木が続く。

    山科は京都観光のメインルートから外れているので、大津かそれ以上に穴場感が強い。

    疎水の見どころ

    • 竪坑たてこう

    疎水を掘削する際に、地下水路へと垂直に掘り下げる坑道のことである。ドーム型だが貯水タンクではない。疎水船では竪坑の真下を通過するのがスリリングなのよ。

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    小関越旧道沿いにある第1竪坑。普段は竪坑に近寄れない
    • 扁額へんがく

    トンネル入り口に掲げられた書を象った額である。楷書と篆書てんしょが多いな。

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    山縣有朋による揮毫きごう

    明治の元勲らはいずれも達筆である。見比べるのも面白いので要注目。特に疏水船では近くで見られるからね。

    • 船溜ふなだまり

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    四ノ宮船溜

    よく似ているが、船田まりという人名ではない。船を仮置きしたり、方向転換する場である。ここにずらっと船が並んでいたと想像すると胸熱だよね。

    毘沙門堂びしゃもんどう

    京都における紅葉の穴場として知られる。毘沙門堂は疏水から少し離れた突き当たりにあるので、もう歩きたくない人はパスしてもいいだろう。しかし、なかなか風情がある天台宗の門跡寺院だよ。しだれ桜もグッド。

    料理処 長島

    山を背にした住宅街に、こんな粋な和食の店があるとは思いも寄らなかった。

    山科疏水周辺は住宅地で、飲食店がほとんどない。ビシッと予約したまえ。他を探しても見当たらないから無駄だ。

    本圀寺ほんこくじ

    疏水沿いの橋を渡ったところにあるので時間は取らない。ちょっくら寄ってみよう。

    日蓮宗の寺なので身延山みのぶさんチックなのは言うまでもない。こんなに比叡山に近いのに。

    山科陵やましなのみささぎ

    中大兄皇子なかのおおえのおうじ(天智天皇)の陵墓、御陵みささぎの地名・駅名はこれにちなむ。森に囲まれて静寂を感じる。門まで行こうとしてやめてしまったのは、遠回りになるので歩き疲れたからだ。陵墓めぐりを趣味としている人向けかもしれない。近江大津宮を開いた人物なので、頭を垂れておくべきだったと反省している。

    御陵駅から蹴上駅までは、歩かずに地下鉄に乗ることをお勧めする。疏水はまったく見えずに、道の両側にはまたしても飲食店がほとんどなく、ただただ登り坂が続くからである。住宅地に接続する車止めから御陵駅を目指そう。疎水ウォーキングは全長が長いし、完歩にこだわっても仕方ないというのが結論である。電動アシストがない自転車で疎水沿いを走る場合も、御陵駅に自転車を置いて地下鉄に乗るがいい。

    蹴上けあげから先

    びわ湖疎水船は蹴上が終点となる。蹴上にはインクラインや発電所があり、疏水も分岐する。

    日向ひむかい大神宮

    京都の伊勢神宮とも言える面白い神社なのだが、疏水ウォーキングではスルーされることが多い。

    拝殿までは少々歩くことになるが、蹴上の乗下船場から一直線に行ける。京都に飽きてきた人ほど足を伸ばすことをおすすめする。意外なほど京都っぽくないのだよ。

    蹴上インクライン

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    蹴上インクライン 「BUROKI design」より

    南禅寺とセットで見ることが多い桜の名所が蹴上インクラインだ。当時の鉄路がそのままに開放されており、ゆっくり桜を楽しめる。
    ただ、大津から行くと蹴上からは急に若者の姿が多くなり、おっさんとしては落ち着かなかった。
    歩行者用のトンネル通路ねじりまんぽなど見どころも多い。
    ここから近い蹴上発電所はいかにも近代産業遺産の趣きだ。

    南禅寺

    京都五山に列する南禅寺は、何と言っても三門の威容が印象に残る。

    南禅寺の境内を貫く水路閣は、疎水分線の一部となる今も現役の上水道である。

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    水路閣 「旅色」より

    アーチの感じが古代ローマっぽいね。

    琵琶湖疏水館

    最初に疏水ウォーキングに出かけたときは、チェック不足で見学できなかった。私は資料館の類が好きなので地団駄を踏んだ。

    展示は、模型がわかりやすくてなかなかに楽しめた。

    岡崎疏水と鴨東おうとう運河

    琵琶湖疏水記念館が面する南禅寺船溜から先は、岡崎疏水となる。ここから先は文化施設や飲食店が多くなるので、詳しくは書かない。
    岡崎疏水にもお花見クルーズがある。疎水船と併せて乗れたら最高だね。

    岡崎より先の琵琶湖疏水は、クランク状になっている鴨東運河から鴨川へと注ぎ込む。

    岡崎公園

    公園周辺には、京都市美術館、京都市動物園、京都府立図書館などの施設がある。

    疏水ウォーキングでは公園周辺施設はパスして、後日にゆっくりと見て回るほうが良さそうだ。

    岡崎アートスポットめぐり

    岡崎公園周辺は、美術館、博物館、図書館、劇場などの、アートが好きな人には堪らないいくつかの施設を、歩いてコンパクトに回れる。

    平安神宮

    明治期に創祀された桓武天皇を祀る神宮。大津の近江神宮と比べてみるもいい。

    夷川えびすがわ船溜と夷川発電所

    岡崎さくら回廊十石船めぐりは、夷川船溜が終点だ。
    船溜にある発電所はこじんまりとしているが、今も現役で発電を続けている。

    夷川船溜から鴨川までは約300メートルとすぐ先だ。あと一息。

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    鴨川左岸に沿う鴨川運河

    まとめ

    疏水ウォーキングもいいが、浜大津で電動自転車を借りるのがオススメ。ただし、国道1号線(逢坂越)は自転車の通行には適さず、かなり危険なので通らないほうが賢明(懸命)だ。狭くて死ぬかと思った。

    私は歩きと自転車(レンタサイクルのママチャリ)と疏水船で、それぞれ一度ずつ疏水沿いを辿った。このコースは自転車の機動力が周辺施設を回るのに適している。しかし、前述のとおり、電動アシストがないと辛い。日ノ岡から蹴上までの長い坂をママチャリで走っている人は、ただの一人として見かけなかった。

    琵琶湖疏水沿線を歩くことは、桜の美しさもさることながら、大津と京都との距離感や京都の近代産業の歩みが肌で感じられる点でお勧めできる。
    自らに高負荷をかけることに慣れている成瀬あかりは京都大学に在学する。におの浜の自宅から在学する京大までは長い道のりだ。しかし、成瀬のことだから時間が余ったときには、琵琶湖疏水に沿ってスタスタと歩いていることだろう。


    次回は、三井寺へと向かう。

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