
出せないファンレター
北山陽一様へ
いつからだろう
あなたと相対するとき
ものすごく緊張してしまって
何もできなくなってしまうようになったのは
周りのみんなは笑ってるのに
自分だけ緊張で固まってしまう
あなたがすごい人だと思えば思うほど
でも
あなたが素晴らしい人物である事に変わりはないから
そしていつからだったんだろう
あなたの声が
焦がれるほどに恋しくてたまらなくなってしまったのは
確信したのは
あのトンネルでAG♯EC♯Bって鳴らしたとき
こんなに美しい歌声を、声変わり後の男の人が出すことができるんだ
って思った
あのとき確かに
あなたに恋してしまっていた
歌声にはその人の心が表れるっていうよね
きっとわたしは
あなたの声と心に恋してしまっていたんだ
あなたはとてつもない努力の末にその声を手に入れた
苦手だったはずの歌で、人の心を震わせるまでになった
わたしなんかじゃ到底真似できないこと
もう痛いのとか苦しいのとか悲しいのとかつらいのとか、あなたはそういうものから全部遠ざかっていてほしい
むしろそういう暗いものが寄ってきそうになったら、わたしが盾になりたい
ずっと笑っていてほしいから
そもそも住む世界が違う
なのに、どんな人に対しても謙虚で
年下の人にも教えを乞うことができる
できないかもしれない事にも果敢に挑戦することができる
なによりも
人を想う歌をうたうとき、心の底からの本音であるかのようにうたうことができる
こんなに素晴らしい人のこと、ほんとうに沢山の人が慕っているに決まっていて
遠くから眺めるだけのわたしにできることなんてたかが知れてる
求められたときに歌うことくらいかな
でもわたしの声だけでは
この気持ちを全て表すには力不足みたい
「会えて嬉しいよ」
それすら態度で示すことができない
それでもわたしは
あなたの声が聴きたい
いつかあなたに相対するとき
笑顔でいられる自分になれる日は来るのかな
もしもそうなれたら
ただ笑っていてほしいな