覗かれるための日記
今では手帳に日記を書くのが、心地よくて。つまりそれは手帳が好きなのだと思った。可愛いシールを貼ってみたり、レイアウトを凝らしてみたり、きっと文房具は楽しいものなのだと信じた。けれど実際のところ、文房具の良し悪しによって気分が浮くようなことはまるで無かった。シールを貼るのは数ヶ月で飽きた。けれど日記を書く行為は飽きることがなかった。
ここだけの話。数年前、あなたに話したこと、日記が趣味なんて嘘だった。書いていた時期こそ一時的にあれど、すぐに書くのを辞めてしまっていた。スマホの日記帳アプリの更新は1ヶ月に2か3あるかないか。なんだったら、話した当時なんか半年は日記書いてなかったんじゃないかと思い返す。
あなたに日記を読みたい、なんて言われた時、私は困った。穴だらけの日記、そもそも人に見せる想定でなんか書いていない。けれど、読みたいという言葉がすごく嬉しかった。本当に日記を書いてこなかったことを、少しだけ恨んだ。
その日から日記を真面目に書くようになった。次第にそれは記事だったり、ツイートだったり。いろいろな形を試すようになった。そうして、辿り着いたのが手帳という形だった。手帳に毎日を書いていく。それをたまにあなたが後ろから覗きに来る。嘘から始まった日記。それがいつしか、私にとって大切な時間になった。日記を書くことが趣味だ。あなたが覗きに来てくれるのを楽しみに、私は今日もペンを取る。
