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Photo by09chiharu

誕生日なのに、彼は圏外。でも愛されてると思えた理由


    誕生日。なのに彼氏がいません。


    いや、実際は”いる”。
    物理的にはいないだけで、いる。

    ただ今ちょっと、彼は草原にいるもので。
    電波が届かず、音信不通なのです。


    彼氏は、モンゴルの遊牧民の生まれ。
    別の仕事をしたり、実家の遊牧を手伝ったりしている。やぎや羊や馬に囲まれて、だいたいなんの仕事してても、山か大自然にいるような人。
    今は、モンゴルの西の方の山にいる(どこそれ?)

    少し前までは電波がまあまあ通じていたのに、この数日はまったくダメ。
    メッセージすら届かない。

    たぶん、生きてはいると思う。
    こういうとき、マグロ漁船の妻ってこんな気持ちなのかなと、ふと思ったりもする。


    そもそも、モンゴル人が日本に来るのはめちゃくちゃ大変。
    彼は以前、日本に5年住んでいたけれど、たとえ数日間の滞在でも、来日には膨大な書類が必要。
    私もいろいろ書かなきゃならない。

    会いたいと思っても、簡単には来れないのだ。


    ちょっと前に、彼が言った。


    「もうすぐ誕生日だね。なのにごめんね、大切な日なのに、会いに行けなくて」

    世界で一番好きな人に会えない誕生日。
    寂しくないと言ったら嘘になる。


    でも、不思議と、私の心はぽかぽかしている。



    なんでだろう?って考えてみて気づいた。
    そうだ、だって彼から毎日ギフトをもらっているから。


    誕生日という「特別な日」のためじゃなくても、彼は日常の中で、毎日ギフトをくれる。
    「おはよう」「おやすみ」「大好き」「かわいい」。


    そしてこの前は、ふとこんなことを言った。

    「元気でいてくれてありがとう」

    なんでありがとうなの?と聞くと、笑いながら言った。
    「だって、あなたが元気で幸せなことが、私にとって一番幸せだから」
    そんな当たり前のこと聞くの?とでもいうかのように。


    彼は惜しみなく、自分から愛を差し出す。
    「愛されたら愛そう」なんて考えが、1ミリもない。
    「こう言えば嬉しいでしょ?」なんて計算もない。

    「ただそう思っているから伝える」。
    それだけ。


    ああ私はこの人の、あったかい心を好きになったんだなぁと思わされる。


    そして、その言葉は「あなたが大切だ」というメッセージとなって、日々私に届いている。
    年に1度のプレゼントよりも、もしかしたら毎日の言葉のギフトの方が、ずっと心を満たしてくれるのかもしれない。


    でも、この日々を何年も続けていくには、お互いの努力が必要だとも思う。
    人の気持ちは変わる。だからこそ、言葉のギフトを届けあっていこう。
    こんな約束を、私たちは付き合った頃からしている。

    関係性は、最初から深いわけではない。
    育てる中で、育まれていく。

    まあ、でも…ちゃんとプレゼントは要求するよ!笑
    昔のいい子ちゃんの私なら「うん、会えなくても仕方ないよね」なんて、“いい女”ぶってたかもしれない。
    でも今の私は、ちゃんとお願いもする。


    「日本にちゃんと会いにきてね。それが何よりもプレゼントだから」


    それが、結構大変なプレゼントだということも、もちろんわかっている。


    「はい、わかりました」


    そう答えた彼は、プレゼントを要求されているくせに、なんだかうれしそう。


    「何もないのに、愛されてる」って感じられる未来は、やっぱり2人で育むものだ。


     
     
     
    モンゴルの遊牧民と結婚した40代都内会社員。元IPO人事13年、なぜかこういう人生になってました。夫が草原で馬に乗ってる間、私は室内で白玉を食べながら文章を書いてます。「ちゃんとした生き方」の外側にも、幸せはあるらしい。そんな日々の観察記録です。旅とお昼寝が好き。

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