
誕生日なのに、彼は圏外。でも愛されてると思えた理由
誕生日。なのに彼氏がいません。
いや、実際は”いる”。
物理的にはいないだけで、いる。
ただ今ちょっと、彼は草原にいるもので。
電波が届かず、音信不通なのです。
彼氏は、モンゴルの遊牧民の生まれ。
別の仕事をしたり、実家の遊牧を手伝ったりしている。やぎや羊や馬に囲まれて、だいたいなんの仕事してても、山か大自然にいるような人。
今は、モンゴルの西の方の山にいる(どこそれ?)
少し前までは電波がまあまあ通じていたのに、この数日はまったくダメ。
メッセージすら届かない。
たぶん、生きてはいると思う。
こういうとき、マグロ漁船の妻ってこんな気持ちなのかなと、ふと思ったりもする。
そもそも、モンゴル人が日本に来るのはめちゃくちゃ大変。
彼は以前、日本に5年住んでいたけれど、たとえ数日間の滞在でも、来日には膨大な書類が必要。
私もいろいろ書かなきゃならない。
会いたいと思っても、簡単には来れないのだ。
ちょっと前に、彼が言った。
「もうすぐ誕生日だね。なのにごめんね、大切な日なのに、会いに行けなくて」
世界で一番好きな人に会えない誕生日。
寂しくないと言ったら嘘になる。
でも、不思議と、私の心はぽかぽかしている。
なんでだろう?って考えてみて気づいた。
そうだ、だって彼から毎日ギフトをもらっているから。
誕生日という「特別な日」のためじゃなくても、彼は日常の中で、毎日ギフトをくれる。
「おはよう」「おやすみ」「大好き」「かわいい」。
そしてこの前は、ふとこんなことを言った。
「元気でいてくれてありがとう」
なんでありがとうなの?と聞くと、笑いながら言った。
「だって、あなたが元気で幸せなことが、私にとって一番幸せだから」
そんな当たり前のこと聞くの?とでもいうかのように。
彼は惜しみなく、自分から愛を差し出す。
「愛されたら愛そう」なんて考えが、1ミリもない。
「こう言えば嬉しいでしょ?」なんて計算もない。
「ただそう思っているから伝える」。
それだけ。
ああ私はこの人の、あったかい心を好きになったんだなぁと思わされる。
そして、その言葉は「あなたが大切だ」というメッセージとなって、日々私に届いている。
年に1度のプレゼントよりも、もしかしたら毎日の言葉のギフトの方が、ずっと心を満たしてくれるのかもしれない。
でも、この日々を何年も続けていくには、お互いの努力が必要だとも思う。
人の気持ちは変わる。だからこそ、言葉のギフトを届けあっていこう。
こんな約束を、私たちは付き合った頃からしている。
関係性は、最初から深いわけではない。
育てる中で、育まれていく。
まあ、でも…ちゃんとプレゼントは要求するよ!笑
昔のいい子ちゃんの私なら「うん、会えなくても仕方ないよね」なんて、“いい女”ぶってたかもしれない。
でも今の私は、ちゃんとお願いもする。
「日本にちゃんと会いにきてね。それが何よりもプレゼントだから」
それが、結構大変なプレゼントだということも、もちろんわかっている。
「はい、わかりました」
そう答えた彼は、プレゼントを要求されているくせに、なんだかうれしそう。
「何もないのに、愛されてる」って感じられる未来は、やっぱり2人で育むものだ。