
65歳のイケオジをLINEスタンプにしたら世界がやさしかった話
わたしには、マブダチのイケオジがいる。
イケオジは、ある研修会にいったときのクラスメイトだった。ここでは親愛の意味も込めて、オジと呼ばせていただく。
最初に出会った時、1番後ろの席で、眉間にシワをよせ、腕をくんで座っていたオジ。
それでもどこか隠し切れない人の良さが滲んでいた。
そんな予感は的中し、オジとは数ヶ月の研修会を通じてだいぶなかよくなった。
オジはその間に、すっかり愛されキャラになっていった。
やっぱり人柄の良さが、かくしきれない。
そんな彼をみて、ある衝動がわいた。
「この人を、LINEスタンプにしてみたい」
念のため、オジ本人と、これまたイケてるオジ嫁(語呂がいいため、ここではそう呼ばせていただく)に確認した。
オジ嫁は、イケオジの隣にふさわしい、太陽のように明るい女性だ。
「オジをLINEスタンプにしたいんだ」
オジは抵抗風を装っていたが、オジ嫁はあっさりおっけーしてくれたため、私はスタンプづくりを強行した。
そして最初につくったのはこれだ。

オジはうっすら喜んでくれた。
私は十分イケてる写真だと思ったが、
彼なりにうつりを気にしているようだった。
オジ嫁にも、さっそく報告した。

よろこんでくれ、購入までしてくれた。
うれしい。
味をしめた私は、そこからオジのスタンプシリーズを作りつづけた。
オジも気に入って使ってくれているようだった。

オーマイガーな出来事も、オジスタンプで、わたしもほっこりした。
気がつくと、同じコミュニティの人達も、どんどんオジスタンプを使うようになっていった。
そのスタンプは、オジの知らない人にまで拡散され、いつしかオジは「スタンプの人」になっていった。
そして私は「あ、あのオジスタンプつくったのわたしです」というと、知らない人でも、一瞬で仲良くなれた。
あまりに拡散した結果、多少気恥ずかしさがでたのか、オジは若干の抵抗を見せるようになった。

怒った風を装い、荒ぶれた風を装うようになった。
それでもオジは、スタンプを使うことはやめなかった。

ちなみに「おまえさぁぁ」は、オジの口癖だ。
なにより、彼の家族であるオジ嫁がよろこんでくれることが、わたしの何よりのモチベーションになった。
オジ嫁はせっせと、スタンプの素材になるオジ写真をわたしに送ってくれた。
もはや彼女も共犯だった。
新作の制作にとりかかる度に、必ずクオリティチェックをオジ嫁にしてもらった。


オジへの愛も感じ、心がほっこりした。

せっせと拡散までしてくれた。
自分の夫が、変なスタンプにされているのに、
一緒に楽しんでくれるなんて、なんて懐が深いのだろう。
もちろん、スタンプにされているオジも。
いつしかオジ嫁とのLINEも、オジスタンプであふれた。

65歳のイケオジをスタンプにしたら、
なんだかやさしい世界がひろがっていった。
オジもまんざらでもないし、オジ嫁はとてもよろこび、おそらくオジファミリーにも多少なりとも笑顔が増やせたに違いない。
オジはますます人気者になっていった。
こんなバカバカしいスタンプにされてるオジがいるなら、自分ももうちょっとがんばってみようかな、きっとそんな風に励まされた人もいただろう。
オジ、ありがとう。
そんなオジとオジ嫁は、とても空気の良い、素敵なおうちに住んでいる。
「あんな夫婦になりたい」と、若い子たちからも憧れの的だ。
いくつになっても挑戦して、人生を楽しんでいる。そして、ボランティアで何度もわたしの仕事を助けてくれるような、貢献心にあふれている。
そんな2人がわたしは大好きだ。
そんなオジとオジ嫁の人生に、ちょっぴりイロドリを添えられたならうれしい。