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「50歳のわたしが、突然ゴールドのピアスを買った理由。」

反対側の話。

50歳になった日に、ひとつ決めたことがある。

「今までとは違うことをする」

それは、特別な挑戦とか、大きな冒険とか、そういう話ではない。

もっと小さくて、もっと日常的なこと。

例えば、マックに行けば、いつも同じ朝マックを頼むこと。

カラオケでは、毎回なんとなくドリンクバーを選ぶこと。

アクセサリー売り場に行けば、迷わずシルバーのピアスを手に取ること。

人は「いつもと同じ」が好きだ。

安心するし、失敗しないし、考えなくて済む。

気づけば毎日は、その「いつも通り」でできている。

わたしもずっとそうだった。

だけど、50歳になってふと思った。

この“いつも通り”を何十年も積み重ねてきて、今の自分がいる。

もちろん悪くない。

でも、もし人生を少し変えたいなら、

選ぶものを変えなきゃいけないんじゃないか。

それも中途半端じゃなく、

いっそ反対側を選ぶくらいでちょうどいい。

そう思った。

だからこの前、アクセサリー売り場で、いつものようにシルバーのピアスを手に取って――

そして、置いた。

代わりに選んだのは、普段なら絶対に選ばないゴールド。

「似合わないかも」

「やっぱりいつもの方がいいかも」

そんな声が頭の中でうるさかったけれど、無視して買ってみた。

家に帰ってつけてみたら、

思った。

……なんか、いい。

たぶん変わりたかったのは、ピアスの色じゃない。

“いつもの自分”から少しだけ出てみたかったんだと思う。

人は、自分で思っている以上に、

「これは私らしくない」

を勝手に決めている。

でも、その“らしさ”って、

ただ慣れているだけなのかもしれない。

だから最近は、

わざと反対側を見てみることにしている。

いつも選ばない道。

いつも入らない店。

いつも頼まないメニュー。

小さなことだけど、

その小さな違和感が、

固まっていた自分を少しずつ動かしてくれる。

50歳。

もう遅いんじゃなくて、

やっと「好きに選んでいい」と思えた年齢なのかもしれない。

#創作大賞2026
#エッセイ部門

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