
愛の中の罪悪感と被害妄想
私は、泣き叫んでいた。親の前で。
目の前にいるのは、私を愛し、生活を支えてくれている親だ。頭の片隅ではそれが分かっている。私を捨てるわけじゃないことも、冷静になれば、理解できる。
でも、私の脳にとって、向けられた怒りや圧迫感は、単なる注意や、話し合いではない。私という人間の存在そのものを、根底から焼き払おうとする、地獄の火みたいなものだ。逃げ場のない家の中で、その熱い火を全身で浴び続ける。拒絶されたという思考が、心を覆い尽くした。
「あんたがこうしたから」
息が、うまく吸えない。心が破裂しそうだ。いや、今、私は、引き裂かれている。声も、聞こえるけれど、頭からすり抜けていく。
気づけば、爪が腕の皮膚に食い込んでいた。ガリガリと、無意識に、必死に皮膚を掻きむしる。
言葉を返そうとしても、口から飛び出すのは理性的な反論ではなく、惨めな悲鳴と泣き叫ぶ声。
「やめて、私は、悪く、ない!」
私は、自室に逃げた。
親から見れば、支離滅裂な被害妄想にしか見えなかっただろう。私は愛されているのに、攻撃をぶつけたんだ。
ちゃんと薬を飲んでいたはずだった。精神的な重い依存と過敏すぎる私の脳の、壊れた計算機みたいな掛け算の前では、その盾は、あっさりと貫通された。
泣き叫び、暴走し、腕を真っ赤に腫らしたあとに残るのは、罪だった。
私が全部悪いのだ。何もわからなかったけど、あれだけ怒るということは、私が何かしたんだ。そうに違いない。死ぬべき、そう思った。でも、死んで離れ離れにも、なりたくない。
ガチャリ、ドアが開いた。
私はその瞬間、適当に謝った。なぜ怒られてるのかわからないけど、もう、怒られたくなんか、なかった。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
親は、「わかった」とだけ言い、部屋から出ていった。何も、わかってないくせに。私がパニックになったのも、親のせいじゃないかと、思ってしまった。愛してるなら、私を傷つけるはずがない。私が、勝手に、傷ついたのに。他責なんかしたくないのに。全部私のせいなのに。
私は布団に潜り込んだ。声を殺して、泣いた。それでも、嗚咽が漏れた。
バレたら、きっと、捨てられる。
バレなくとも、捨てられる。
今すぐ、抱きしめてほしかった。存在していいって、言ってほしい。でも、そんなの、図々しい。
私みたいな、自己愛の化身に、受け取る資格なんてない。世界は自分を中心に回っていると、本気で思っているような、自分専用の特等席に住み続ける独裁者の私に、他者からの愛を受け取る受給権はない。
手足が、ずっと、ふわふわと、痺れていた。
胸が、ずっと、重く、引き裂かれていた。