
【歴史SF】歴史研究所 第3歴史観測課 #1
「もしタイムマシンがあったら、過去と未来どっちに行く?」
という問いを、一度は考えたことがあると思います。
私の場合は、迷わず過去へ行きます。
教科書や史料だけでは分からなかった、本当の景色を見てみたいからです。
今回は、私が理想だと思うタイムマシンについて考えていきます。
※この先は、yasukeが創作した歴史SF物語です。「また始まったな」と温かい目で読んでいただけると嬉しいです(笑)。
もしタイムマシンがあったら
「タイムマシン」と聞くと、まず思い浮かぶのがドラえもんです。
でも、私はずっと疑問に思っていました。
実際に過去へ行っても、あまり楽しめないのではないかと。
なぜなら、
服装が違う
言葉が違う
昔の道具の使い方が分からない
そもそも、見慣れない格好をしている時点で怪しまれてしまい、まともに生活することすら難しい気がします。
せっかく過去へ行ったのに、「生き延びること」で精一杯になってしまいそうです。
そこで、私は一つのタイムトラベルの方法を考えました。
それが、「憑依型タイムトラベル」です。
憑依型タイムトラベルとは、肉体ごと過去へ行くのではなく、過去の特定の人物の無意識下に憑依するという方法です。
ただし、歴史は変えることはできません。
あくまでも、無意識下で憑依先の行動に少しだけ影響を与えながら、過去の人物の行動や思考を通して、歴史調査を行うことがミッションです。
ー憑依型タイムトラベルにおける歴史研究
22XX年。
人類は、過去の人物の無意識へ同調(憑依)する技術を開発しました。
「特定の年代」と「地点」を指定することで、その場所に存在する人物の無意識へ入り込み、当時の世界を追体験できるようになったのです。
この技術は、歴史研究を大きく変えました。
もはや教科書や史料だけを読む時代ではありません。
研究者たちは、まるで出張へ行くような感覚で過去へ向かい、自らの目で歴史を観測する時代になったのです。
しかし、それには厳格なルールが存在しました。
タイムトラベルのルール

① 指定できるのは年代と地点だけ
研究者が指定できるのは、
年代
地点
のみです。
人物は指定できません。
例えば、
1567年○月○日AM9:30・岐阜城内部
のように指定します。
誰に憑依するかは、その場へ行ってみるまで分かりません。
運が良ければ歴史上の有名な人物。
運が悪ければ、全く無名の人物かもしれません。
また憑依中は、現代との通信はできなくなります。
② 滞在できるのは最長1か月
技術的な限界により、タイムトラベルは最長1か月です。
期間終了後は、自動的に現代へ帰還します。
延長はできません。
③ 研究者の肉体は生命維持装置に入る
タイムトラベル中、研究者の肉体は生命維持装置の中で保護されます。
装置が正常に動いている限り、必ず現代へ帰還できます。
④ 憑依先が死亡すると強制帰還
病死、事故死、戦死など、憑依された人物が死亡すると、その時点でタイムトラベルは終了します。
研究者は即座に現代へ帰還します。
そのため、戦国時代や幕末は危険度が高いとされています。
⑤ 1年に2回しか行けない
タイムトラベルは脳への負担が非常に大きく、生命維持装置から出た後は回復期間が必要になります。
そのため、研究者は1年に2回しかタイムトラベルを行うことができません。
「今年、どの時代へ行くのか」は研究者にとって、とても重要な選択なのです。
タイムトラベルの危険性
過去の人物の無意識は、少しずつ研究者にも影響を与えます。
これを「憑依後遺症」と呼びます。
例えば、
・無意識に思考回路が憑依先と似てしまう
・過去で見た衝撃的な記憶が思い出される(PTSD)
などの症状が現れます。
重症化すると、
「これは自分の感情なのか、それとも憑依先の感情なのか」
の境界線が曖昧になってしまいます。
これによって精神を病み、研究者を引退する者も少なくありません。
生命維持装置
生命維持装置は、単なる寝台ではありません。
研究者の脳波、精神状態、無意識との同調率を24時間監視しています。
もし、あまりにも憑依先の影響が強くなった場合は、タイムトラベルを強制終了します。
研究者が自分自身を見失うことは、現代での死を意味します。
研究者の目的
研究者の目的は、過去を変えることではありません。
過去の人物の無意識下に寄り添い、その時代の空気感や思考、価値観を観察することです。
歴史上の人物を一人の人間として見る。
そして、現代の価値観を一度手放し、当時の人々の行動と思考を知る。
それが研究者たちの第一目的です。
研究員・yasukeのプロフィール
職業:
歴史研究所 第3歴史観測課 研究員
専門:
日本史・生活文化研究
タイムトラベル歴:
6回
性格:
真面目だが、少し妄想癖あり
直近の調査スケジュール:
織田信長上洛前の岐阜城を調査
口癖:
「教科書の外側が気になるんだよなぁ。」
一言メモ:
元々は一般人だったが、タイムトラベルの研究が進んでいると知り、必死に勉強して研究員となった
出発前
年2回の歴史調査。
今年もその時がやってきた。
私は家族に、
「今回は岐阜城だよ。また1ヶ月出張に行ってくる」
と言い、家を出る。
荷物はとても軽かった。
研究所の生命維持装置の蓋がゆっくり閉じていく。
研究員が話しかける。
「今回の目的地を確認します。」
1567年○月○日AM9:30・岐阜城内部
「滞在期間、最大30日。」
「危険度、レベル3。」
「脳波、正常。」
「同調準備、開始します。」
私は少し緊張しながら目を閉じる。
「どちらにせよ、楽しみで仕方がない。」
そう心の中でつぶやき、悠久の歴史調査へと旅立つのだった――。
・
・
・

<続く>
yasukeのあとがき📝
歴史が好きだからこそ、タイムトラベルにはとても憧れます。
現代では、参考文献や史料、写真、肖像画など、さまざまな情報から歴史研究が進んでいます。しかし、実際にその時代の人々と出会うことはできません。
そこに浪漫を感じる一方で、「やっぱり会ってみたい」という気持ちもあります。
もしタイムトラベルができるとしたら、会ってみたい人がたくさんいます。
ただ今回の設定だと、私は共感しやすい性格なので、すぐに自我を失って戻れなくなりそうだなと思いました(笑)。
次回からはメイン記事に戻って更新したいと思います📚
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