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音楽業界とは無関係の一般人がRadioheadのトリビュートアルバムを作るまで

日本の15組によるRadioheadトリビュートアルバムは、どうすれば本当に発売できるのか


音楽業界で働いた経験もない
レコード会社とのコネもない

そんな一般人が

「日本のアーティストによるRadioheadのトリビュートアルバムを企画し、実際に販売する」

としたら、どのような過程を辿ることになるのか

企画するアルバムは

『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』

Radioheadの楽曲を日本のアーティストがそれぞれの解釈で再構築し、一枚のアルバムとして収録する

CDとして販売し、SpotifyやApple Musicなどでの配信も想定する

ここでは一人の一般人が思いついた構想が、企画書になり、制作チームが生まれ、アーティストへの正式なオファーを経て、一枚の商業作品として発売されるまでを順番に考えていく

※本文に記載する費用は、実際のアーティストや所属事務所が提示した金額ではなく、この規模の企画を検討するための仮予算としている


■ まずアルバムそのものを設計する

最初に決めるのは作品の基本構造

タイトルは

『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』

収録曲数は15曲

Radioheadのどの時代から選曲するのか
代表曲を中心にするのか
アルバム全体をどんな作品にするのか
CDと配信の両方で発売するのか
日本だけでなく海外でも配信するのか

こうした基本条件を決める

ジャケットについても、この段階では商品版ではなく作品の世界観を伝えるためのコンセプトアートとして作っておく

まだアーティストへの正式な依頼は行わない

まず一枚のアルバムとしての設計図を作る


■ 企画書にする

次に『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』を15〜20ページ程度の企画書にする

内容は

企画概要
作品コンセプト
Radioheadを取り上げる理由
日本版トリビュートとして制作する意味
収録候補曲
作品全体の方向性
アートワーク案
権利処理方針
制作方法
CD・配信計画
制作スケジュール
予算計画
プロモーション
収益モデル
企画者プロフィール

など

音楽業界との接点がない一般人から始まる企画だからこそ、口頭で熱意を伝えるだけではなく

「資料を読めば、何を、誰と、どのような方法で作ろうとしているのかが分かる状態」

まで持っていく

この企画書が、その後のプロデューサー、制作会社、レコード会社、権利者、アーティスト側へ企画を説明する共通資料になる


■ Radioheadの楽曲について権利関係を調べる

収録候補となる15曲について、一曲ずつ権利関係を調べる

JASRACの作品データベース「J-WID」などを利用して

楽曲名
作詞・作曲者
音楽出版社
日本国内での管理状況
録音利用
配信利用
編曲についての確認先

などを整理する

Radioheadは外国作品なので、日本側のサブパブリッシャーなどが関係する場合もある

さらに今回の企画では、原曲をそのまま演奏するだけではなく、それぞれのアーティストによる独自の再解釈を想定している

そのため通常のカバーとしての利用と、大幅な編曲や翻案についての許諾を分けて確認する

この段階で音楽著作権に詳しい専門家にも企画を確認してもらう


■ Radioheadの既存音源は使わず、15曲すべてを新録する

作品の基本方針は

「全15曲完全新録」

Radioheadが発表した既存のレコード音源を使用するのではなく、参加アーティストが新しく演奏し、新しい録音物を作る

既存のRadiohead音源をサンプリングすれば、楽曲そのものの著作権とは別に原盤についての権利処理も必要になる

そのため最初から新録作品として設計する


■ 制作プロデューサーや制作会社を探す

企画書と権利関係の一次調査ができたところで、音楽業界側の制作担当を探す

候補になるのは

音楽プロデューサー
A&R経験者
音楽制作会社
アーティストマネジメント経験者
レコード会社経験者

など

ここで求めるのは単なる「有名アーティストを紹介してくれる人」ではない

『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』の

制作進行
アーティスト交渉
マネジメントとの調整
レーベルとの調整
権利処理
契約
予算管理

まで関われる制作パートナーを探す

ここから

一般人である発案者
+
制作プロデューサー
+
制作会社
+
権利・法務担当

という小さな制作チームへ変えていく


■ ここで初めて、依頼したい15組を具体的に出す

作品の基本設計と制作体制が見えてきた段階で、具体的な参加希望アーティストを提示する

今回『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』への参加を依頼したいのは


1. King Gnu

2. THE YELLOW MONKEY

3. サカナクション

4. 宇多田ヒカル

5. スピッツ

6. Mr.Children

7. 羊文学

8. Cornelius

9. 青葉市子

10. 電気グルーヴ

11. UA

12. 東京事変

13. L’Arc〜en〜Ciel

14. 藤井風

15. Cocco


この15組にRadioheadの15曲を一曲ずつ担当してもらう構想

もちろん現段階では参加が決まっているわけではない

正式な承諾を得るまでは

「参加希望アーティスト」

あるいは

「オファー予定アーティスト」

として扱う

ここから実際のオファーへ進んでいく


■ では、一般人が実際にどうやってこの15組へ依頼するのか

ここがこの企画の中でも特に現実的な問題になる

King Gnuや宇多田ヒカル、Mr.Children、L’Arc〜en〜Cielなどに参加してほしいと思っても、本人のSNSへ

「Radioheadのトリビュートを作るので参加してください」

とDMするだけでは、正式な商業案件として進めるのは難しい

まず15組それぞれについて

所属マネジメント会社
所属レコード会社
所属レーベル
法人向け問い合わせ窓口
制作・出演依頼の窓口

を調査する

ここで重要なのは、ファンクラブやチケット問い合わせ窓口へ無差別に企画書を送らないこと

問い合わせ先が分からない場合には

「商業録音作品への参加依頼について、どちらの部署へ問い合わせればよいでしょうか」

と確認するところから始める


■ 制作プロデューサーの名前で正式な商業案件として届ける

制作プロデューサーや制作会社が決まっているなら

企画者個人
↓
アーティスト本人

ではなく

企画者
↓
制作プロデューサー/制作会社
↓
アーティストのマネジメント/レーベル/A&R
↓
担当マネージャー
↓
アーティスト本人

というルートを作る

最初の連絡は長文にしない


例えば


「『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』という商業トリビュートアルバムを企画しております

Radioheadの楽曲を日本のアーティストが一曲ずつ新録する作品で、CDおよびストリーミングでの発売を予定しています

○○様にはRadiohead『○○』の新規録音をご相談したく、ご連絡いたしました

現在、楽曲の権利確認および制作体制の構築を進めております

本企画をご検討いただけるご担当者様へお取り次ぎいただくことは可能でしょうか」


という形

最初から大量の資料を送りつけるのではなく

誰が連絡しているのか
何を制作するのか
誰に何をお願いしたいのか
商業作品なのか
制作責任者は誰なのか

を短く伝える

担当者から企画書の送付を求められた段階で正式資料を送る


■ 担当者につながったら条件を具体化する

企画に興味を持ってもらえたら

担当してほしいRadiohead楽曲
アレンジの自由度
レコーディング方法
希望納期
CD販売
ストリーミング配信
海外配信
原盤権
アーティスト印税
二次利用
プロモーション
制作費
アーティストフィー

などを提示する

ここで初めて

「参加するとしたら、どのような条件になるのか」

という具体的な交渉に入る


■ 15組一斉ではなく、最初の数組から始める

15組すべてを同時に交渉するより、最初は数組へ正式オファーする


3組程度へ正式オファー
↓
1組から前向きな回答
↓
条件交渉
↓
契約
↓
次の数組へオファー


という流れ

そして最初の参加アーティストが決まる

ここが企画にとって大きな転換点になる

外部への開示が契約上認められる場合には

「すでに○○の参加が決定している」

という事実を、次のアーティストやレコード会社への提案材料にできる

こうして

1組
↓
数組
↓
さらに次のアーティスト

と広げていく


■ 数組の参加が見えてきたところで資金調達を本格化する

ここで

レコード会社
音楽制作会社
スポンサー
共同出資者
流通会社

などへ企画を提示する

この段階になると

「一般人がRadioheadのトリビュートを作りたい」

というアイデアだけではない

企画書がある
権利調査が進んでいる
制作チームがある
アーティストとの交渉が進んでいる
参加の見通しが立っている

という状態になる

そこで本制作に必要な資金を集める


■ 参加が決まった15組と正式に契約する

契約では

制作費
アーティストフィー
原盤権
印税
CD販売
ストリーミング
海外配信
二次利用
MV
宣伝での名称・写真利用
契約期間

などを決める

15組すべてが同じ条件になるとは限らない

そのため制作会社と音楽・著作権分野に詳しい弁護士などを入れ、個別契約を整理する


■ 15曲をレコーディングする

契約が成立したアーティストから順番に制作へ入る

アレンジ
演奏
録音
編集
ミックス

までを各アーティストの普段の制作チームで行い、完成した音源をプロジェクト側へ納品する方法も考えられる

15曲が揃ったら最終マスタリングへ進む

別々の環境で作られた15曲の音量や質感を調整し、一枚のアルバムとしてまとめる


■ ジャケットと商品を完成させる

同時に

ジャケット
ブックレット
CD盤面
帯
クレジット
配信用アートワーク
広告素材

などを完成させる

企画段階のコンセプトアートから、実際に販売できる正式な商品デザインへ移行する


■ CDとストリーミングへ

完成した原盤について必要な権利処理を行い、CDを製造する

同時に

Spotify
Apple Music
Amazon Music
YouTube Music

などへの配信準備を行う

CDについてもレコード店、EC、自社通販などの流通経路を確保する


■ 結局『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』にはいくら必要なのか

最後にまとめて予算を考える

以下は正式な見積額ではなく、この規模の商業作品を検討するための仮予算


企画書・デザイン・プレゼン
10〜30万円

初期の権利調査・専門家相談
10〜30万円

制作プロデューサー・制作会社
50〜200万円以上

オファー・交渉実務
50〜200万円以上

法務・契約
100〜300万円以上

15組の参加・制作関連費
約5,800万円〜1億2,400万円

追加レコーディング関連費
0〜1,500万円以上

マスタリング等
50〜150万円

正式アートワーク
30〜150万円

著作権・編曲等の権利処理
利用条件・製造数などによって変動

CD製造・流通・配信準備
50〜300万円以上

プロモーション
100〜2,000万円以上

MV等
0〜数千万円


特に15組の参加・制作関連費については、各アーティスト本人や所属先が公表した料金ではない

「この金額を払えば参加してもらえる」という意味でもない

実際の条件は正式なオファー後の交渉によって決まる


すべてを大規模に行えば

「1億円を超えるプロジェクト」

になる可能性がある


ただし、最初から1億円を用意する必要はない

最初に必要になるのは

企画書
権利調査
専門家への相談
制作プロデューサー
制作会社
第一陣への正式オファー

までを動かすための資金

その初期段階を

「100〜200万円程度」

の予算枠で進める

そこで最初のアーティストから前向きな回答が得られるかを見る


一般人による構想
↓
企画書
↓
権利調査
↓
制作プロデューサー
↓
最初の3組程度へ正式オファー
↓
最初の1組との交渉成立
↓
次のアーティストへ
↓
レコード会社・スポンサー・出資者
↓
本制作
↓
15曲完成
↓
発売


音楽業界とは無関係の一般人が思いついた『RADIOHEAD / JAPAN — A Tribute』が、最初から巨大なプロジェクトとして存在するわけではない

一枚の企画書から始まり、一人の制作担当者が加わり、一組のアーティストが加わり、そこから人と会社と資金が少しずつ集まり、一枚のアルバムになっていく

現実に作るとすれば、おそらくこのような過程を辿ることになる

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