居酒屋で他人の注文に点数をつける嫌なやつでした
他人の注文した料理が気になる!!!!!
当たり前なのだが、他人にいきなり声をかけ
「う〜ん、その組み合わせ64点」
とかふざけた事はもちろんしていない
私は、居酒屋に着くとまず生ビールかハイボールを注文し、なるべく早く提供されそうな冷たいおつまみメニューを頼む
(だいたいキュウリの漬物を頼む)
最初の注文が終わると、次の本命おつまみ注文のために、メニューの隅から隅まで全てを確認したり、メニュー表には載っていないオススメメニューが店内に貼り付けられているのではないかと、周りをキョロキョロしてしまう
そのキョロキョロ中にどうしても他人の頼んだ料理が目にはいる
おっ!あの刺身盛り合わせいいじゃん!
とか
うーん、あの量の鉄板焼き餃子は今日はいらないかもな
とか
次の本命注文のための参考として
視界盗み食いをするのだ
そして、それと同時に勝手に注文の組み合わせ採点を行う
栄養士なのだから、彩りや栄養バランスを踏まえたうえで採点するんでしょ?
と思うかも知れないが、全くそんなことはない
私の採点基準は
いかにイケている組み合わせを選べているか
これだけなのである
私は基本的には
主役となるおつまみ(肉か魚)
サブ(変わり種か揚げ物)
箸休め(キャベツ的な冷たくてさっぱり系)
の3種類の構成で頼むことが多い
無意識のうちにこの構成で頼んでいる人も多いんじゃないだろうか?
そしてその3種類の構成の中身をどうするのか、そこが腕の見せどころなのではないかと思っている
あまりにも変でダサい組み合わせをしている人を見かけると
ふーん、君はまだそこなのか
と勝手に優越感に浸るのだ
数年前、私は仕事終わりに気分転換としていつもとは違う居酒屋に行くことにした
そして、先程のルーティンを一通りこなし
ビールを飲みながら店内をキョロキョロしていた
お、あのサラリーマンなかなかセンスいいじゃん
ハムカツ、たこぶつ、冷やしトマト
なるほどね
わかってる
80点は問題なくいける無難な組み合わせ
ハムカツの重たさに対して2種類の冷菜で対応した型ってやつだ
どれどれ…
今度はあっちの大学生風の若そうなお兄さんはどうなんだい…
え!?!?
…フライドポテト2皿!?!?
さっきメニューを隅から隅まで確認したから分かるが
おそらくあれはバター醤油ポテトとガーリックシュリンプポテトだ…
なんたる暴挙
私のスカウターは爆発して弾け飛びそうだった
私がベジータだったら
「やつの戦闘力は8000以上だ!!!」
と叫んでいたし
私が英語版のベジータだったら
「イッツオーバー 9000!!!」
と叫んでいただろう
幸いにも私は、ベジータではないので
ただただ、その欲望丸出しの注文内容に恐れおののくだけで済んだ
バランス感覚も何もない、その素直で、晴れやかで、元気いっぱいの注文に心奪われてしまった
私もそれ頼みてぇ…
大人になると何だか料理の注文にすらマナーや礼儀があるような気がして、少し背伸びしたような、いい子ちゃん優等生って感じの頼み方を自然とするようになっていた
聞く所によると、なかには他人の注文内容を勝手に見て採点を行い、内心見下すような行為を楽しむとんでもない奴がいるらしい
本当に許せない行為だと思う
私はそんなやつに舐められたくない
という気持ち一心で、なんとなくバランスの良い組み合わせで注文を行なっていたのだ
私はすかさず店員さんに声をかけ
2種類のフライドポテトを頼んだ
さっきのお兄さんはおそらく気にしていないだろうが、なんとなく恥ずかしくてそちらを見ることは出来なかった
(多分この話のオチとしても、そのお兄さんと仲良くなりホッコリして終わる的な展開のほうが良かったと思うのだが、現実はそう上手くはいかないもんだ)
目の前にフライドポテト2つとビールが並んだ
ビール…!
芋…!
ビール…!
芋…!
キュウリ…!
芋…!
ビール…!
私は無心で食べて飲んだ
正直なところ味はあまり覚えていないのだが
何故だか幸せだったのは覚えている
多分こんな頼み方はもう2度としないのだろうが、忘れられない一人飲みの日の記憶として私の心に残り続けるのだろうと思った
その日以来、私の他人の注文メニュー採点基準は
その人らしさがいかに出ているか
に変更された
