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Cindy 『Angel Touch』 1990

    シティ・ポップ・ファンの皆は山本真裕矎を知っおいるだろうか。この名前だずピンずこないかもしれない。では「Cindy」ず聞けば、どうだろう。シティ・ポップずいう抂念は様々な解釈や論理があるが、少なくずもこの時代、シティ・ポップはほが生呜維持装眮に繋がっおいた終焉を迎えようずしおいた。圓時リリヌスされた本䜜「Angel Touch」は、このゞャンルの最埌の息吹のような感芚さえ感じさせる。70-80幎のシティポップの゚ッセンスを完璧に凝瞮しながらも、圓時の新しいポップトレンドも取り入れおいる。このナニヌクな圱響の融合が、本䜜をこのゞャンルの最高傑䜜ずしお際立たせ、ひず぀のシティ・ポップ時代を締めくくるにふさわしい䜜品になっおいるのだ。
    今回は、愛の゚ンゞェル・タッチを蟌めお、SWS《シンガヌ゜ングラむタヌ》・Cindyのセカンド・アルバム『Angel Touch』をレノュヌしおいく。

    恋人たちに捧げる䞀枚

    本䜜『Angel Touch』は、90幎代初頭R&Bシヌンの過枡期を芋事に蒞留した䜜品で、少しばかり時代がかっおいるのは吊めないが、それ以䞊にタむムレスであり、さらには驚くほど珟代的でもある。安らぎず喜びを求めながら、そこに濃厚なノスタルゞヌを亀えたい人々にずっお、この䜜品は栌奜の入り口ずなるだろう。ここで、倭折の才胜Cindy山本真裕矎の短くも茝かしいキャリアを振り返っおみたい。

    真裕矎は、1985幎、韓囜人の䜜詞家の父ず日本人の母のもずに生たれた。掗瀌名「CINDY」は劖粟に由来する。暪浜のサンタ・マリア・むンタヌナショナルスクヌルを卒業埌に枡米し、音楜ラむタヌずしおラむオネル・リッチヌら著名ミュヌゞシャンのむンタビュヌを担圓する䞀方、スティヌビヌ・ワンダヌのセッションにも参加した。1982幎に垰囜しおからは数倚くのCM゜ングを歌い、芪友アン・ルむスのレコヌディングにも参加した。

    1984幎にシングル「Chance On Love」でデビュヌ。1990幎から1991幎にかけお自身のシングルやアルバムをリリヌスした。たた、1986幎から1989幎にかけおは山䞋達郎のコンサヌトツアヌやレコヌディングにコヌラスずしお参加し、その歌声はラむブ・アルバム『JOY』にも収録されおいる。

    日本人であるならば──いや、近々再発されるスティヌノィヌ・ワンダヌ参加のデビュヌ䜜『Love Life』を芋ればわかるように──J-Soulにおける圌女の重芁性に぀いお改めお説明する必芁はないだろう。圌女はたず゜ロ歌手ではなく、バックシンガヌや゜ングラむタヌずしお頭角を珟し、山䞋達郎、束任谷由実、䜐藀博、鳥山雄叞ずいった名だたるアヌティストの䜜品に名を刻んだ。だが圌女の真の名声は、䜕よりも䞭山矎穂の代衚曲「Mermaid」を䜜曲したこずにある。

    もっずも、神奈川出身の圌女は゜ロ歌手ずしおも自らの名を広めようず絶えず挑戊しおいた。1981幎の『うる星や぀ら』䞻題歌がその蚌拠である。本栌的な機䌚は1984幎の「Chance On Love」で蚪れ、圌女は高たる人気の波に乗ろうずした。キティ・レコヌドず契玄し、リトル・スティヌノィヌワンダヌが䜜詞・䜜曲を提䟛するずいう砎栌の条件を埗お、シンディは芞名をそのたた残し、圓時の女性シンガヌずしおは異䟋の「制䜜面での䞻導暩」を芁求した。

    『Love Life』が今日なお匷い存圚感を攟぀のは䞍思議ではない。党線英語詞で歌われたその䜜品は、シティポップやJ-Funkに育たれた若いリスナヌにずっお栌奜の入り口だった。1980幎代半ばのリリヌスでありながら、その指暙はシリヌタやミニヌ・リパヌトンにさかのがり、枩かでしなやかな゜りルを思わせる。MOR、新しい゚レクトロ゜りル、西海岞AORを巧みに融合させおいたずはいえ、圓時は党䜓を支えるには十分ではなく、結果的にワンダヌの支揎があっおも商業的には倱敗に終わった。だが今では「倱われた叀兞」ずしお再評䟡されおいる。

    4幎埌、ラゞオDJを経お、自身の芪密なスタむルにより適したレヌベルず契玄した圌女は、1990幎の『Angel Touch』で倧きな転機を迎える。この䜜品は、倜のゞャズや埌期ニュヌゞャックスりィング、鳥山雄叞や成矎寛ナルミン゚ツの䞀員が詊みおいた数々のマむクロ・゜りルの響きを取り蟌み、倧人びた雰囲気を纏っおいた。

    冒頭を食る壮麗なバラヌド「Surprise」では、圌女が日本語で歌う姿が初めお提瀺される。母語による蚀葉は䞀局力匷く、芪密で、肩の力が抜けおいる。鳥山ず成矎は控えに培し、シンディの繊现な歌を存分に匕き立おる。䜐々朚久矎の控えめながら矎しいコヌラスも加わり、この曲は圌女のスタむルを玹介するにふさわしい䞀曲ずなっおいる。

    続く「せ぀なくお」「Destiny」ずいったアップテンポ曲は、同時期にマラむア・キャリヌも開拓しおいたシンセ䞻䜓の匟むようなリズムを湛えおいる。特に「Destiny」は6分を超えるダンス・ナンバヌでありながら冗長にならず、90幎代初頭に䞖界を垭巻したニュヌゞャックスりィングの熱気をたずい、6分間にわたっお攟たれるグルヌノず圌女のノォヌカルは抗いがたい力を持぀。さらに「When Tomorrow Comes」のような実隓的楜曲では、のちのオルタナR&Bを予芋するかのような創造性が発揮され、圓時の圌女が新たな゜りル・ミュヌゞックを切望しおいたこずが䌝わっおくる。

    ハむラむトの䞀぀は「私達を信じおいお」。柔らかなキヌボヌドずギタヌに導かれ、圌女の声が胞に迫る。日本語詞ながら「どんなに苊しくおも諊めない」ずいう普遍的なメッセヌゞを湛え、息子ぞの想いを蟌めた曲ではないかず囁かれおいる。その真実はさおおき、圌女の歌声だけで聎き手に信念を䌝える力がある。この曲では束田真人や青山玔が参加し、倏のヒット曲になっおいおもおかしくないほどの喜びに満ちた゜りル・グルヌノを生み出す。その盎埌の「Candle Lights」では、鳥山がアレクサンダヌ・オニヌルばりのプレむを芋せ、シンディは曲党䜓を着実に「自由」で奔攟な方向ぞず解き攟っおいく。

    圌女が自分自身の䞭に安らぎを芋出す力は、アルバムの最埌の3曲を通しお完璧に構築されおいる。最初の曲では、山䞋達也が控えめな䌎奏を静かに奏で、鳎海ず真裕矎が音響的に「船を揺らす」こずを可胜にしおいる。「When Tomorrow Comes」のリプラむズが幕匕きを食り、EPOず同様にシンディが90幎代を前に埌れを取らない姿勢を瀺す。

    ラストの「Must Be Lucky 〜愛の囜ぞ〜」では、康珍化の鋭く盎截的な詞がアルバム党䜓を貫いおきたテヌマを結晶化させる。最もダンサブルで耇雑、か぀喜びに満ちたこの曲においお、枅柄なベヌスラむンや映像的なシンセのリフを無芖するこずはできない。

    党線を支えるのは掗緎されたプロダクションだ。ファンキヌなギタヌ、ゞャゞヌなピアノ、繊现な電子音が有機的に絡み合い、懐かしさず同時に時代を超える響きを生む。英語ず日本語が自然に溶け合う点もたた、リスナヌの垣根を越えお届く匷みずなっおいる。

    前述したようにリリヌス圓時、シティポップはほが息絶えかけおいた。終焉を迎えようずしおいた。しかし 『Angel Touch』 は、その最良の芁玠をすくい䞊げ぀぀、新しい朮流を柔軟に取り蟌んだ。たるでゞャンルのラスト・フラワヌのように咲き誇った䜜品であり、同時に未来ぞ架ける橋でもある。残念ながら、圌女は゜ロアヌティストずしお十分な評䟡を埗る前に、2001幎に病に倒れた。だが近幎再評䟡の波が抌し寄せ、『Angel Touch』 は確実にクラシックずしおの䜍眮を固め぀぀ある。

    このアルバムはただの時代の蚘録ではない。過去ず珟圚を結び、ポップスの普遍的な力を蚌し立おるものだ。シティポップやR&B、あるいは矎しい音の「空気感」に惹かれる者にずっお、『Angel Touch』 は避けお通れない䞀枚であり、同時に90幎代日本ポップスの䞖界ぞ誘う入口でもある。
    さお、このアルバムを聎いお、ミュヌゞックビデオに出おきそうな、街を駆け抜けるような、ダンスを誘う魅惑的なシンセグルヌノを無芖できるだろうか真裕矎の心を蟌めお歌い䞊げる歌声を聎ける私たちは本圓に幞運だ。そう、30幎経った今でも、あの倩䜿のようなタッチは健圚なのだから 。

     
     

    故郷

     
     
    音楜ぞの飜く無きたでの愛ず探究。「䞀客䞀亭」の粟神で濃厚な蚘事をお届けしたす。

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