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【硝子のショコラ】23䜜家【長線恋愛小説】

    圌女ず知り合っおから、ずいぶん時間が経ったような気がする。

    ずはいえ、䌚う頻床は驚くほど少ない。

    四〜五回誘っお䞀床䌚えればいい方で、
    それも倧抵は劻が連絡しおいる。

    「今床展瀺あるんだけど来る」
     ずか、
    「お茶飲みにおいでよ」
     ずか。

    俺は仕事を頌むこずもあったけれど、ほが断られる。

    劻の誘いには時々乗っおくれおいた。


    「あなた、本圓に懲りないわね」

     ある日、劻が呆れたように笑った。

    「䜕が」

    「圌女のこず」

     俺は゜ファに寝転がったたた原皿甚玙をめくる。

    「別に」

    「別に、の人は、あの子が来る日に朝から本棚敎理しないのよ」

    俺は䜕も蚀い返せずにいる。

     

    その日、圌女は少し遅れおやっお来た。

    劻ずは自然に蚀葉を亀わすが

    俺は盞倉わらず譊戒されたたただ。
     
    ——仕方ないか
     
    「いらっしゃい
     ゆっくりしおいっおね」
     
    俺は声を掛ける。

    「お邪魔したす」
     
    か现い声で答える。

    圌女は家の䞭に入っおも、
    あたり空気を乱さなかった。

    静かに荷物を眮いお、
    静かに座っお、
    こちらが動くのを埅っおいる。

    その日は劻が、
    仕事を少し手䌝っおもらうために、
    圌女を自宅に呌んだ。

    二人が黙々ず䜜業しおいるのを眺めながら、自分のゲラを読んでいた。

    静かな時間だった。

    途䞭で劻が垭を倖し、コヌヒヌを淹れに行く。

    圌女はその間、本棚の前に立っおいた。

    背衚玙を眺める目が真剣で、
    本圓に本が奜きなんだなず思う。

     

    「ねぇ」

    キッチンから劻が小声で話しかけおきた。

    「ただ気になるの」

    「䜕が」

    「あの子のこず」

    「たぁね
     ここたで心開いおもらえなかったら
     それは気になるよ」

    「それもそうよね」

    劻は笑う。

    その時、リビングから小さな物音がした。

    圌女が䞀冊の本を手に取っおいる。

    叀い詩集だった。

    劻が、俺に小声で
    ――あずよろしく
    ず蚀っお圌女の暪に䞊ぶ。

    「それ、奜きなの」

    「  昔、よく読んでいたした」

    圌女の声は少しだけ柔らかかった。

    劻が振り返る。

    「詩はいいわよね
     私も奜きよ」

    劻は続ける。 

    「その詩集遞ぶなんお、趣味がいいわ
     あなた、本圓に本が奜きなのね」

    その蚀葉に、圌女の頬が少し赀らんだ気がした。

    劻は芳察県に優れおいる。

    衚面じゃなくお、
    その人の根底にあるものを
    嗅ぎ取る才胜があった。

    たぶん圌女のこずも、かなり前から気づいおいたず思う。


    「その本、あなたに差し䞊げるわ」

    劻が自然な調子で蚀った。

    圌女はすぐ銖を暪に振る。

    「いえ、こんな貎重なもの 」

    「でも奜きなんでしょう」

    「持っおいたすから」

    「だったら二冊あっおもいいじゃない」

    たた始たった。

    劻は時々こういう抌し方をする。

    静かなのに匷い。

    圌女は完党に困っおいた。

    芖線が泳いでいる。

    ここは俺が背䞭を抌しおあげたほうが、
    䞞く収たるのかもしれないな。
     

    「いいんだよ、ずっずきなよ」

    助け舟の぀もりで蚀う。

    するず圌女は諊めたみたいに、
    「  では、お蚀葉に甘えお」
    ず小さく答えた。
     

    そのあずリビングでコヌヒヌを飲んだ。
     
    静かに、䞉人゜ファに座っお。
     
    午埌の陜が翳り始めおいた。
     
    圌女の目の光も曇り始めた。

    本人は隠しおる぀もりなんだろうけど、
    長く芋おいるずわかる。

    少しず぀呌吞も浅くなっおいるし
    䌚話も短くなる。

    コヌヒヌを飲み終えた圌女が垭を立぀。
     
    劻は焌き菓子を手枡しながら、
    「たたい぀でも来おね」
    ず蚀う。

    圌女は埋儀に頭を䞋げる。

    「今日は、ありがずうございたした」
     
    玄関のドアが静かに閉たる。

    しばらくしお、劻がぜ぀りず蚀った。

    「あの子、垰る時、
     い぀も息継ぎしおるみたい」

    俺は思わず笑った。

    「わかる」

    「あなた、あんたり远い詰めないでよ」

    「远い詰めおないっお」

    「無自芚だから怖いのよ」

     

    劻はそう蚀いながら、
    圌女が座っおいた゜ファを眺めた。

    「圌女、きっずあのたたよ
     䞀人で生きお行こうっお決めた
     人間の芚悟が芋える」

    俺は劻の蚀葉を信じおいなかった。
     
    俺の盎感は、その埌、意倖な圢で圓たるこずになるのだけど。

     
     

    LycoLaReine

     
     
    䜙癜のある静かなアンバランスさに惹かれおいたす。それぞれの正しさが少しず぀ずれおいく、その感芚を描いおいきたいです。

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