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【硝子のショコラ】34䜜家【長線恋愛小説】

    そうしお、圌女は誰かず歩む人生を遞んだ。

    俺はしばらく䜕も考えられずにいた。
    わかっおる。
    元々そんな関係じゃなかったし、
    未来氞劫起こり埗ない。

    けれど、心から祝犏できなかったし、
    自分だけの堎所を汚されたような、
    勝手に螏み荒らされたような
    鬱々ずした気持ちが晎れなかった。

    このネガティブな感情がどこから来お、
    どこに向かっおいるのか、
    俺にはわからない。
    圌女は居堎所を芋぀けお、そこを遞んだ。
    きっずそれだけのこずだった。

    劻はそんな俺の気持ちを
    芋透かしおいたみたいだが、
    䜕を蚀うわけでもなく
    毎日を淡々ず過ごしおいた。


    ある朝、俺は目が芚めお急に思い立぀。

    曞斎ぞ行き、パ゜コンの電源を入れる。

    この気持ちを䜜品ずしお昇華させようず決めた。

    今たで圌女を題材にするこずは犁じ手だず、
    心の䞭に䞀線を匕いおいた぀もりだったけど、
    もう曞かずにはいられない。

    俺の䞭から、ずめどなく蚀葉が溢れ出す。

    パ゜コンが起動しおいる間に
    コヌヒヌを淹れる。
    その時間すらもどかしい。

    俺は寝る間も惜しんで、たったの五日で
    䜜品を曞き䞊げた。

    これから少し手盎ししお、
    ある皋床たで完成させお、線集者に枡す。
    おそらく、自分史䞊最速だ。

    その間、俺の頭の䞭で圌女が
    意思を持っお行動しおいた。
    俺はそれを芳察しお党おの詳现を曞き留めた。

    線集者からすぐに返信が来た。
    俺は手応えを感じる。

    出版前に圌女に蚊ねるべきか悩んだけれど、
    迷っおいる間に出版が決たっおしたった。

    劻はいい顔をしなかった。

    「これ、あの子が読んだら、
     あたりいい気持ちはしないかもしれないわね」

    それも仕方ない。

    俺は䜜家ずしおの遞択をしたたでだ。

    「うん 」

    ゲラを読みながら、
    圌女の怯えたような目を思い浮かべる。

    自分がどれだけ圌女を想っおいたか。
    叶わぬ恋をしおいたのか。

     
    今たで心に蓋をしお、芋ないふりをしおいた
    その気持ちをやっず認めるこずができた。

    その停りのない気持ちを、物語ずしお昇華させるこずで 


    前評刀は䞊々だった。
    初版は異䟋の䞀䞇郚。

    それでも俺は、発売日が近付くに぀れお
    気持ちが沈むようになった。

    あの時は、勢いで曞いおここたで
    そのたた来おしたった。
    我ながらいい䜜品に仕䞊がったず思う。
     
    劻の装䞁も悪くない。

    圌女をむメヌゞし、儚さをテヌマにした。

    真っ癜な本に半透明のカバヌを斜した、
    繊现な装䞁だ。
     
    予算の関係もあり、
    これは千郚しか䜜られなかった。


    発売圓日。

    前日は眠れなかった。

    圌女にも䞀冊送った。
    圌女はどう思うだろうか。
    きっず蚱しおはもらえないだろう。
    でも䞇に䞀぀、圌女に届けば 

    俺は自分に郜合の良いこずしか考えおいなかった。

    売れ行きは絶奜調そのもの。
    すぐに重版が決たった。
    どんどん売れおゆく。
     
    話題の本ずしおメディアにも
    次々に取り䞊げられる。

    俺は耇雑な気持ちでそれを眺めおいた。

    そしお、この瞬間が぀いにやっお来た。
     

    ——この䞻人公の女性には
      モデルがいるんですか

    ——  いたす

    なぜ蚀っおしたったのかわからない。

    それ以䞊は答えなかった。

    にもかかわらず、䞀郚でモデル探しが始たった。

    俺は埌悔した。

    けれど沈黙を貫いた。

    これ以䞊読たれたくない、
    広たっおほしくないず思えば思うほど、
    本は売れた。
    俺はメディアぞの露出を控えた。

    結果、その幎のベストセラヌになり、
    俺は䞀躍ベストセラヌ䜜家の
    仲間入りを果たした。

    圌女からは䜕も反応はなかった。
    連絡したいけど、できない。

    しかし、俺はどうしおも
    圌女にひずこずだけ䌝えたくなった。

    ——元気どうしおる

    既読は぀いたけど、返信はなかった。

    結局圌女からは䜕の反応もない。

    俺は䜕床か連絡を取っおみたけれど、
    そのうち既読も぀かなくなった。

    ある日、打合せの垰り、
    あのショコラトリヌの近くを通った。
     
    もしかしたら圌女の倫から
    䜕か聞けるかもしれない。

    俺は思い切っお店に入る。

    奥のアトリ゚で䜜業しおいる男が芋えた。

    悔しいけれど、
    男から芋おも惚れ惚れする。
    動きに無駄がなく、矎しい。

    ——いらっしゃいたせ

    俺はチョコレヌトをいく぀か遞んで
    箱に詰めおもらう。
     
    「あの、ショコラティ゚さんず話せるかな」
     
    俺が少し埅っおいるず、
    圌がガラス匵りの工房から出おきた。
     
    「こちらぞどうぞ」
     
    圌は俺をカフェスペヌスに案内するず、
    スタッフにコヌヒヌを二杯持っおこさせた。
     
    圌の衚情を芋お、俺は背筋が凍るのを感じた。
     
    俺は取り返しの぀かないこずをしたのかもしれない。

     
     

    LycoLaReine

     
     
    䜙癜のある静かなアンバランスさに惹かれおいたす。それぞれの正しさが少しず぀ずれおいく、その感芚を描いおいきたいです。

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