
【硝子のショコラ】4|通訳【長編恋愛小説】
大学に入学してからは、とにかく忙しかった。アルバイトと勉強に明け暮れた。
私は自活していかなくてはならないから、遊んでいる暇などなかった。
奨学金ももらっているし、成績も落とせない。
科目はなるべく得意なものから選んで、成績が落ちないように気を配った。
アルバイトは学業に差し支えない程度に押さえた。
生活費は時々、両親から振り込まれていたので
そこまで心配する必要はなかったが、
あの人たちのことだから、いつ打ち切られるかわからないので、
なるべく手をつけずそのままにしておいた。
人付き合いと言うものが全くわからないので、
相変わらず友達はいないし、ずっと一人だった。
皆楽しそうに、大学生活を送っているように見えたけれど、
羨ましいとも思えなかった。
たまに話しかけてくる人はいたけど、
私が彼らの期待に添えるような会話ができないので、
誰とも仲良くなれなかった。
私は一人でいることに慣れすぎていたし、
他人の機嫌に振り回されて生きることだけはこれ以上願い下げだった。
そして、卒業を機に、私は両親との関係を完全に絶った。
自分一人の戸籍を作って、今住んでいる家に転籍した。
新しい戸籍謄本を受け取って、自分の名前がそこに一人で載っているのを、何度も確認した。
名前も変えた。
これは手続きに少し時間がかかったけれど、うまく行った。
ここまでしてやっと私は呪いが解けた気がした。
やっと私の人生を生きられる。