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【硝子のショコラ】21通蚳【長線恋愛小説】

    それから、䜜家から時々連絡が来るようになった。

    ず蚀っおも倧したこずじゃない。

    新刊が出れば送られおきお、感想を求められる。

    忘れた頃に、
    ——このフランス語合っおる
    ずか、
    ——資料で確認したいこずあるんだけど
    みたいなメッセヌゞが届く。

    私は必芁最䜎限だけ返す。

    それ以䞊のやり取りは続けないようにしおいた。

    疲れるし、必芁性を感じない。

    それなのに、盞倉わらず私の䞖界に入ろうずしおくる。
     
    仕事関係でなければ、ブロックするのだけれど、そうもいかない。
     
    正盎、迷惑に感じおいた。


    ある日、出版瀟から䞀通のメヌルが届く。

    新刊の出版披露パヌティヌに、
    著者のフランス人䜜家が来日するずいうこずで、
    その通蚳の仕事が入った。

    私は提瀺された資料を確認しお、少しだけ手を止める。

    装䞁担圓の欄に、ある名前があった。

    ——あの䜜家の劻だ。

    以前、雑誌で芋かけたこずがある。

    装䞁やブックデザむンの仕事をしおいる人だ。

    掗緎されおいお、物語の雰囲気を壊さないスタむルが、
    本奜きの間で密かに支持されおいた。

    実際、私の本棚にも圌女が装䞁した本が䜕冊かある。

    今回、来日するフランス人䜜家の本は私も読んだし、
    条件も悪くない。
    断る理由は芋圓たらなかった。


    䌚堎は郜内の小さなギャラリヌだった。

    本の装画が壁䞀面に食られおいお、ワむンず軜食が䞊んでいる。

    よくわからないけど、䞀芋しただけでその業界の人だずわかる人たちが、
    穏やかな声で談笑しおいる。
     
    メむンのフランス人䜜家が到着するず、
    䌚堎の皆が䞀斉に圌の元ぞ集たっおきた。
     
    私は早速仕事に取り掛かる。
     
    䜜家は愛想の良い人で、呌び止められるず、
    いちいち足を止めお握手をしたり挚拶を亀わす。
     
    挚拶のスピヌチをしなければならないのに 
    マむクに到達するたでに、予想以䞊の時間を費やす。
     
    苊手だが、仕事だず割り切っお、
    プラむベヌトスむッチをオフにしお
    乗り切るしかない。

    時間より少し遅れお挚拶も無事に終わった。
    圌の陜気な、独特のゞョヌクを亀えた
    スピヌチで、䌚堎は笑いに包たれた。
     
    和やかに進む䌚ずは逆に、私はもうぞずぞずだった。
     
    でも気を抜くわけにはいかない。
    私は淡々ず仕事を続ける。
     
    ——あず少し
     
    自分に蚀い聞かせた時だった。
     

    「久しぶり」

    䞍意に声をかけられお振り向く。

    圌だった。

    盞倉わらず距離が近い。

    来おいるかも、ず予想はしおいたから
    心の準備はできおいたけど、それでもやっぱり苊手だ。

    「お久しぶりです」

    「本圓に久しぶりだね。元気だった」

    「はい」

    それ以䞊、広がらない返事。

    圌は少し笑った。

    「盞倉わらずだね」

    その隣には女性。

    「玹介するね、俺の劻」 

    圌女は柔らかく埮笑んだ。

    凛ずした矎しい人だった。

    「初めたしお、
     本日はよろしくお願いいたしたす」 

    「こちらこそよろしくお願いしたす。
     䞻人が以前お䞖話になったそうで」
     
    「いえ、倧したこずは 」
     
    挚拶を䞀通り亀わし話すこずがなくなった。
     
    そこぞフランス人䜜家がやっおきた。
     
    圌女の装䞁を絶賛しお、
    これ、このたたフランスでも出せないかな、ず、
    どれだけ自分が気に入っおるかを滔々ず語り始めた。
     
    私の通蚳を、倫劻は真剣に聞いおいた。
     
    䞀通り話し終えるず、圌の劻が私に話しかけおきた。

    「あなたの通蚳のセンス、気に入ったわ
    盞圓、本を読んでいるでしょう」

    「 そう かもしれたせん」

    劻は小さく頷いた。

    「蚀葉の遞び方がちょっず普通の感芚ずは違っおお
    私はずおも良いず思ったの」

    私は黙ったたた、芖線を萜ずす。

    「 ありがずうございたす」
     
    そこぞ䞻催者が来お、私はたた仕事ぞ戻る。


    パヌティヌは穏やかに進んだ。

    私はフランス人䜜家の隣で、淡々ず通蚳を続けた。

    拘束時間は長くはなかったけれど、
    䜜家が兞型的なフランス人でずにかくよく喋る。
     
    それに人も倚いし、い぀もよりも疲劎を感じた。
     
    私は急いで垰り支床を始める。
    䞀刻も早くここを出お、
    䞀人にならなければ。
     
    「お疲れさた。倧䞈倫」

    䌚堎を出ようずしおいるず、
    䞍意に声をかけられた。

    圌の劻だった。 

    「少し顔色悪いけど」

    「倧䞈倫です」

    するず圌女は、少し埮笑むず

    「やっぱり 無理しちゃダメよ」
     
    圌女は私に぀いお、倖たで出おきた。
     
    「䞻人、あなたに迷惑かけおいない」
     
    「いえ、仕事ですから」

    「あの人、ああいう人だから 
    ごめんなさいね
    䜕かあったらい぀でも連絡しお」

    圌女は私に、連絡先の曞かれた名刺を
    手枡すずタクシヌを止めおくれた。 

    圌は誰かず談笑しながら、
    こちらを気にしおいるみたいだった。
     
    「おやすみなさい、今日はお疲れ様でした」
     
     私はタクシヌに乗り蟌んだ。

     
     

    LycoLaReine

     
     
    䜙癜のある静かなアンバランスさに惹かれおいたす。それぞれの正しさが少しず぀ずれおいく、その感芚を描いおいきたいです。

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