
🐈⬛ 消えたクロちゃん 2/3
< 失踪の翌日 >
夜があけて
「猫を探しています」という迷子ポスターが
マンション エントランスの掲示板に貼られた。
お母さんは、明るくなってから何度もあたりを探しまわった。
お姉ちゃんは、半泣きで保健所に電話している。
だが、その日の夜になっても見つからない。
ひとつ上の6階では
「5階のお宅、ネコちゃんがいなくなったみたいよ」
「そうらしいね〜 心配だね」
ポスターを見た家族が話している。
< 失踪後 2日目 >
「いったい、どこへ行っちゃったの?」
どこかに閉じ込められているのか
誰かに連れていかれたのか
もしや 道路に出て車に…
もうこのまま、帰って来ないのでは…
一家の不安は、だんだんふくれあがる。
ひとつ上の6階では
「ネコちゃん、まだ見つからないみたいよ」
「意外と、どっかに入り込んで閉じ込められてたりして…」
「そういえば ママ ここんとこ なんか気配を感じない?」
「気配〜?」
「うん なんか居るような…」
「やだ やめてよ 変なこと言わないで
いたら にゃーとか鳴くでしょ
第一 どっから入るのよ?」
「そうだけど … 気のせいかな」
< 失踪後 3日目 >
あの子は どうしているのだろう。
ポスターをはっても 目撃情報もない。
ご飯は ?
お水は ?
生きているだろうか
もうダメなんじゃないだろうか
いや あきらめるのは まだ早い
いろんな思いが交錯する。
仕事中のお父さんも
家にいるお母さんも
それぞれ出かけている子供達も
どこかうわの空で、落ち着かない一日を過ごしていた。
その頃、ひとつ上の6階では
いつもより早めに帰った小学生の女の子が、ガチャっと玄関の鍵を開けた。
あの、気配を感じていた子だ。
他の家族は、まだ誰も帰宅していない。
すると 何か黒っぽいものがふわっと廊下を横切って
玄関脇のクローゼットの部屋に飛び込んだ… ような気がした。
( ん 何! … 目の錯覚 ? )
女の子は 目をシバシバしてから バッグをげた箱の上に置くと
恐るおそる その部屋をのぞき込んだ。
何もいない。
だが 彼女は
クローゼットの中で、ワンピースの裾が揺れているのを見逃さなかった。
そして、その淡いピンク色の奥で 真っ黒な仔猫が声も出せずにふるえていた。
やっぱり いたんだ!
「クロちゃん?」
女の子は、そっと呼んでみた。
〜 続く
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