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山の暮らしの物語17 闇の中で フクロウが鳴く

      In the darkness, an owl hoots.



    ある秋の夕暮れ、畑から戻った母さんは疲れていた。

    収穫した さつまいもや 白菜を積み上げて、一息つくと
    これから、カマドでご飯を炊く、野菜の煮物、お風呂を沸かす
    思っただけで、うんざりする。

    そんな時、ゆきちゃんが、何かぐずり出した。
    なにしろ、こうと決めたら、なかなか頑固な子なのだ。

    いつも優しい母さんも、とうとう我慢の限界だったのか
    それとも 虫の居どころが悪かったのか…

    納屋にあった荒縄を手にすると、ごねているゆきちゃんをひっ掴み
    家のはずれまで、引きずって行く。

    ぎゃー ぎゃー 騒いでも、お構いなしだ。

    あたりは、もう薄暗い。
    梅の古木に、泣きわめくゆきちゃんを、しばりつけると
    母さんは、さっさと家に帰ってしまった。

    下の方から、谷川の水音が響く。夕闇は深まってゆく。
    谷川の向こうには、草刈り場、その先は森への入り口
    真っ暗で何も見えない。

    あたり一帯の灯といえば
    住まいに灯る 石油ランプのかすかな光だけ。

    だが、それさえも、ここからは見えない。

    森の入り口には、枯れた大木。そこに止まって、フクロウが鳴き始める。
    ヤツがいつも鳴いている、お気に入りの木なのだ。


    ホォ  ホォぅ  くるっく  ホォ  ホォぅ

    ゆきちゃんは、もう半狂乱だ。声を限りに泣き叫ぶ!

    「もう しない 〜 ! もう しない 〜 ! 」


    母さんは、住まいに戻り、黙々と食事の支度をしている。
    父さんは、まだ大工仕事から戻っていない。


    ゆきちゃんが、これに懲りて、うんといい子になったかと言えば
    そうでもなかったらしい。

    で、フクロウが怖くなったかと言えば、そんな事はなく
    母さんがきらいになったかといえば、全然そんな事もなかったらしい。

    だが、大人になっても忘れないほど怖かった! のは、ホントみたいだ。


    ただ、あの時のフクロウの声を、なつかしく思い出すという。

    何だか、不思議な話である。



    闇の中で フクロウが鳴く
    In the darkness, an owl hoots.


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