
雪の舞う囲炉裏ばた 海辺の一家 番外編
清ばぁちゃん 子供の頃
今は海辺で暮らす清ばあちゃんだが、生まれ育ったのは貧しい山村でした。
今回は、幼い清ちゃんのお話です。
その頃 清ちゃんは、山の一軒家に両親と三人で暮らしていました。
戦後 世の中は復興への道を歩んでいましたが
清ちゃんの暮らす山村では、エアコンも ストーブもない冬の暮らしです。
お正月が過ぎると、山の家はぐんと寒くなった。
それでも、父さんは山の仕事に出かける。
母さんも、井戸の冷たい水をタライに汲んで洗濯している。
手が真っ赤だ。
清ちゃんだって、納屋にしまってある白菜を抱えて来たり
鶏にエサをやったりと、がんばってお手伝いしている。
そんなある日、朝起きるといつにも増して冷え込んでいた。
台所では、昨夜のお粥が シャリシャリに凍っているし
囲炉裏ばたには うっすらと雪が積もっている。
家の中で吐く息も、いつもよりうんと白い。
母さんは、震えながら囲炉裏に火を起こし自在鉤に鍋をかけた。

雨戸を開けた父さんが「よう積もったなあ」とつぶやく。
あたり一面が雪で真っ白だった。
さすがの父さんも今日は仕事に出られない。
鶏小屋と羊小屋まで雪かきをして、エサをやると
「う〜 寒ぶっ」と囲炉裏ばたに座り込んだ。
温めたお粥でお昼にした後は、囲炉裏の横で ノコギリの手入を始める。
母さんは、暮れに行商のおじさんから買った赤い毛糸の束を出して
「ちょっと 手伝って」と
庭の雪で遊んでいた清ちゃんを手招きした。
掘りごたつに座った清ちゃんの小さな両手に
大きな毛糸の束を引っ掛けると、クルクルと糸を巻き取っていく 🧶

囲炉裏の上の天井に空いた煙出しの隙間から、時々雪が舞い込んで来る。
パチパチと火の粉がはぜて、天井に登ってゆく。
囲炉裏と言っても、かまどみたいにご飯も炊くしお魚も焼く。
薪がちゃんと燃えないと、あたりが煙くて大変だ。
こんなふうだから
あちこちが煙でいぶされて、茶の間の張りも 天井も 柱も真っ黒に光っている。
清ちゃんの手からしゅっと毛糸が消えて、糸巻きはお終いになった。
母さんは毛糸の玉を脇に置くと
囲炉裏の中から大きなさつまいもを引っ張り出し
パタパタと灰を払って、こたつの上に乗せた。
「熱いよぉ 気ぃつけて」
父さんも手を休めて、皆でお茶の時間になった。
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